オバマ氏以上に素晴らしいのは、その国民だ

 20日深夜、オバマ新大統領の就任式をライブで見ました。CNNやNHKより0.5秒ほど早くかつそれなりに高品質なUSTREAM(インターネット動画配信サービス)に、インターネット技術の進歩を感じながら。テレビカメラでも端を見通すことのできない膨大な人数が参加して行われた就任式に他国民ながら身震いを感じました。


 私がオバマ氏の演説以上に感銘を受けたのは、あれだけ階級意識の強かったアメリカで歴史を乗り越えてアフリカ系アメリカ人の一人を国の代表として国民が選び、そしてその就任式に200万人以上が駆けつけ、推定1億人以上がテレビやインターネットで参加して、未来に希望を見いだそうとしているアメリカという国の人々です。

 金融危機を境に、アメリカの時代は終わるだとか、日本の時代が来るだとかいう言説があふれはじめましたが、大統領の就任式でその国の人々に感銘を受け、一方で日本では首相が漢字が読めるだとか読めないだとかを国中で騒いでいる状況を振り返るに、国の力というものは、リーダーの力もさることながら、国民の力によるところが大きいのだと改めて感じました。

 私は、20年ほど前から10年ほど前まで、保守的と言われる東海岸ボストンを中心とした人たちと大変親しくさせてもらっていましたが、表向き人種差別は無くなっていたものの、実際には彼らの心の中ではまだ差別が存在していました。私は、アメリカ社会は表裏の激しいところなのだと感じ、そしてこの問題はこれからもアメリカの社会構造として続くのだろうと理解をしていたものです。

 しかし、アメリカは新たな変革の1ページを手にしました。大統領選の結果が出る直前まで、当のアメリカ人でも「結局は白人が勝つんだよ」と言っていた人もいましたが、国民は歴史を乗り越えてオバマ氏を選んだ。ここにアメリカという国のダイナミズムがあります。アメリカという国の本当の強さは、「チェンジ」ができると信じる国民がいることでしょう。物事を成すことは「信じる」ことから始まります。

 今、確かにアメリカは、金融危機だけでなく、折からの自動車産業の問題、戦争の問題など、課題山積です。オバマ氏もその克服は簡単ではないと言っています。しかし、昨日のワンシーンだけを見ても、「変わるかもしれない」「変えられるかもしれない」という熱気が海を越えて伝わってきます。

 そこには「希望」があります。現時点のスナップショットだけ見て「日本のほうがましだ」と言っている場合ではありません。アメリカは今、意志を持って「未来を変えよう」としています。これから何を信じ、どう行動するかが問題です。これは、国だけではありません。会社もそうだし、個人だってそうです。

 私の座右の銘、Alan kayの言葉、「The best way to predict the future is to invent it.」を再度かみしめました。


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