ブロックチェーン特集:対談 Vol.02『世界最大級のプラットフォーマー、マイクロソフトにおけるフィンテック・ブロックチェーンへの取り組み』
【前編】オープンかつスピーディな組織として先端技術へ積極的に取り組むマイクロソフト
榊原 彰氏 × 平野 洋一郎

日本マイクロソフトCTO榊原彰氏 × インフォテリアCEO平野

先日のフィンテックビジネスセミナーのパネルディスカッションにもご登壇頂いた日本マイクロソフト株式会社CTO(最高技術責任者)の榊原彰氏に、インフォテリアCEO平野洋一郎が対談形式でお話を伺いました。2016年1月からCTOとして日本マイクロソフトにジョインした榊原氏に対し、マイクロソフトの動きを外部から来て感じた印象、そしてそのマイクロソフトがフィンテックやブロックチェーン、IoTに対してどのようなかかわり方をしていくのか、という点を中心に話は多岐に及びました。前編・後編に渡ってお送りする本対談、前編となる今回は榊原氏にマイクロソフトの変遷や今後注力していく点などについて話を伺いました。

過去と決別し、オープンかつスピーディな組織へと変わったマイクロソフト

会談するMS榊原彰氏とインフォテリアCEO平野

-平野 榊原さんは2016年1月にマイクロソフトの日本法人に新しくCTOとして着任されましたばかりですね。CTOの役割としてはマイクロソフトの全技術をカバーすることになると思いますが、榊原さんが特に得意な分野はどこになるのでしょうか。

-榊原氏 前職ではITアーキテクトをしていましたので、アーキテクチャ設計が専門分野です。アーキテクチャ設計は新旧広範囲の技術知識をベースに、適応箇所や組織、時代に合わせた最適解が求められます。新しいだけでもよろしくなく、古いだけでも然り。過去の資産をもとに未来に向けた設計を考えねばなりません。つまり個別の制約事項とか、前提条件に合わせたアーキテクチャを個別に考える、ということが得意というか気質としてあるかもしれません。

-平野 そういう設計ができる人材は稀少ですよね。さまざまな技術を把握しておくだけでなく、さまざまな配慮が必要になる、というのはなかなかできないことです。

-榊原氏 そうですね。例えば、SQLサーバをチューニングしてものすごいパフォーマンスを出す、というような技術的に深い部分を担当する人や、ゼネラルなアーキテクチャ構築を担当する人という言わば異なる指向を持つ人たちとともにプロジェクトを推進していかねばなりません。これは広範囲にソリューションを提供しているベンダーやそれらを使って構築を行うシステムインテグレータ企業はどこも同じで、もちろん前職の現場もマイクロソフトも同様です。

-平野 このあたりはタフな精神力も必要になりますよね。ところで、前職はマイクロソフトの競合ともいえる会社に所属されていましたが、外部から来た立場としてマイクロソフトの凄いところはどのあたりだと思いますか。

日本マイクロソフトCTO榊原彰氏

-榊原氏 これはマイクロソフトのCEOがサティヤ・ナディラに変わってから顕著だと思いますが、とてもスピード感があるように感じています。ナディラはクラウドファースト、モバイルファーストへ完全に舵を切り、それをスピーディに進めている。そのためにビジネスの体制も大きく変化させてきています。そしてアウトプットとしてそれらを支えるためのテクノロジーをしっかり生み出しています。

これまでのマイクロソフトはこうではなかったと思います。以前のイメージだとマイクロソフトはWindowsやOfficeの成功体験から築き上げた、テクノロジーを基盤としたビジネスを展開しているような印象があったかと思いますが、先ほども挙げたナディラ体制以降、大きく変わってきています。

今ではさまざまプラットフォーム向けにテクノロジーを提供したり、一部ソースコードをオープンソース化するなど、かつてとは隔世の感があります。また、オープンソースのコミュニティとセミナーやビジネスを一緒にやるようなケースも出てきており、だいぶオープンな環境に変わってきているのではないでしょうか。

-平野 以前だと、例えばWindows対Linuxみたいな構図がありましたが、こうした状況は大きく変わってきている、と。ではモバイルファースト、クラウドファーストに方針転換して以降、競合とみなす対象はどこになるのでしょう。

-榊原氏 仰るとおりですね。以前はLinuxを敵とみなすような風潮が社内にもあったかもしれませんが、今では全く逆の「Microsoft Loves Linux」とすら言ってもいいかもしれない。
Azureの入り口という観点から考えると、プラットフォームが多ければ多いほどよいので、Linuxは然り、例えば、AndroidやiOSなどまで含めてある意味、同士とすら言えます。しかし、ビジネスの戦場をデバイスという領域に置いた途端、これらのプレイヤーは競合となります。そのあたりの関係性は複雑なため、昔のように一言で表すのはなかなか難しい状況になっていると言えます。

 

マシンラーニングや仮想現実など、マイクロソフト発のテクノロジーは今後、どんどん加速する

弊社CEO平野写真

-平野 先ほどのお話にもありましたが、数年前と異なり、オープンな環境を提供しながらもテクノロジーを重視している、というのは弊社のような独立系パッケージベンダーでもその動きに注目をしています。そして榊原さんのような方がジョインすることでこの動きは加速していくのではないか、という期待を抱いています。

-榊原氏 マイクロソフトでは現在、いろいろな取り組みを進めています。たとえば象徴的なものだとマシンラーニングの世界や、仮想現実のHoloLens。そのあたりに対して今、マイクロソフトでは力を入れていますね。実際、3月末からアメリカ、カナダに住所があり、かつInsider Previewに登録しているデベロッパー限定とはなりますが、開発キットの有償提供を開始します。HoloLensはいろいろな産業でこれまでの仕事の仕方や仕組みすら変える可能性を有しており、自社のことながら今後の展開を楽しみにしています。

あと、AIのCortanaですね。Cortanaも今後どんどん発展していきます。マシンラーニング周辺で進めている研究結果をAPIとして公開しているProject Oxfordでは顔認識や画像認識、音声認識のあたりをまとめて提供しています。その技術を使ったFetch!というアプリケーションを今年の2月にリリースしました。リリース当初は日本では利用できなかったのですが、現在は日本国内でも利用できます。Fetch!は画像認識を利用したアプリケーションなのですが、写真に写っている犬の種類を判別します。ちなみに余談ですが、人間の写真でも判別するので、ぜひ試してみてください。ちなみに私はドーベルマンでした(笑)

-平野 なかなか興味深いアプリケーションですね。マシンラーニングなどの取り組みをフィンテック分野に応用していく、ということも考えられるのでしょうか。

-榊原氏 こちらは現時点でまだ進んでいないというのが正直なところです。フィンテック関連ではAPIを提供するとか、Ethereum Blockchain as a Service(EBaaS)のようなサービスをプラットフォーマーとしてやっていますが、マシンラーニングなどの取り組みをフィンテックに生かすこともできると思います。また、クラウドと仮想通貨の世界は親和性があると思いますのでそのあたりの領域でAzureがなにかできるとおもしろいですよね。

 

まとめ

今回は前編として主に外部から来た榊原氏の視点でマイクロソフトという会社がどのような変遷を遂げてきたか、今後どのような展開をしていくのか、という点を中心にお届けいたしました。次回後編ではいよいよマイクロソフトがフィンテック、ブロックチェーンにどのように関わっていくのか、という点について話を進めていきます。引き続き、ご期待ください。



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