2017年6月5日

〈イベントレポート〉AI・IoT時代のキャリアにおけるチャンスとは? PASONATECH CONFERENCE2017に行ってきました!【後編】

各種テクノロジーを活用したプロダクトやサービスに関わるキーマン達に、エンジニアとして今後のAI・IoT等の時代の流れをどう読み、どうキャリアに活かすべきか?どんなスキルが必要なのか?といったお話をお伺いしました!


こんにちは! in.LIVE編集部の石川です。

2017年5月13日に開催された「PASONATECH CONFERENCE2017/ AI・IoTの流れをキャリアに活かしたいエンジニアに送る2days」。こちらのイベントレポート【後編】をお伝えしていきます。

前編では、これからのエンジニアに必要なスキルや、AI・IoT時代の流れをどう読み、これからのエンジニアは何を学ぶべきか、といったお話をお伺いしました。

後編では、より具体的なAIやIoTを活用した事例、エンジニアのキャリアという視点では、今後どのようなチャンスが訪れるか?といったお話をお伺いしていきます。

人工知能(AI)をはじめとした技術にむけて
エンジニアは何を知るべきか、学ぶべきか

より具体的なAIに絞ったお話ですが、最近では「AIが仕事を奪う日が来るのではないか?」と言われたりもしますが、どうお考えでしょうか。AIを活用すると、オペレーション業務が減ったりもすると言われていますよね。
わたしは仕事は増えるのではないかと思っていますね。プログラミングの仕事は活用の幅が広がるので、特に増えると思っています。専門性のある仕事は減ることはなく、横に広がるのではないかと思っていますね。

例えば、LINEのカスタマーサポートはチャットで行うのですが、最初にAIが対応して、AIの対応に満足できなかった場合、人のサポートが入るようなシステムになっているんです。

このように、一次受けはAIがやって、ダメなら人がやるといった分業だったり、初めて来るような質問にAIは対応できないので、学習データを作る段階ではやっぱり人が必要になりますよね。特にエンジニアはAIを適用していくための業務が増えてくると思うので、そういった意味でも、仕事は増えると思っています。
データって結局、人が作らないといけないですよね。
そうですね。AIが現時点で活躍できる分野としては、コンピューターの中にデータが取り込まれて、それを処理して再現する傾向は今後も続くのかなと思います。

まだ足りてないのは、実世界でリアクションできるAI、仕事をそのままお願いできるAIでしょうか。こちらの登場は遅いのではないかと思いますね。そう見ると、人間がAIに動かされているのかもしれませんね。
AIのツール化じゃないですけど、AIをどう使っていくか?というテーマは、エンジニアリングをやる方に求められているとも言えますね。

IoTを活用しやすい分野、エンジニアならこれができる!

続いてのテーマはIoTです。先ほどの話でもあったように、やっぱりコンピューティングだけでは語れない要素が多いと思うので、改めて水引さんにデバイスや機械側の話と、ソフトウェア側のつなぎ方について伺ってみたいのですが…。
やはりここ最近は、レトロフィットという、キーワードで語られる製品が増えてきていると思います。
”レトロフィット” …?

これはどういったものかというと、たとえば、鍵や照明のような、今まで電気製品でなかったものが、インターネットに繋がるようになったことです。つまり、使い慣れたものをIoT化し,機能を追加することを指します。

ここ数年増えてきましたよね、この傾向はこの先しばらく続くのかなと思います。この中でも実用的なものは5年後、10年後当たり前のように家の設備としてあるんでしょうね。
そういった活用が増える中で、その世界にウェブのエンジニアが入っていけるのでしょうか。
このようなIoT製品って、限られたインターフェイスしか持っていません。パソコンのようにディスプレイやキーボードがあるわけではないので、結局その設定や、操作をウェブのUIから行ったり、専用のスマートフォンアプリから行うのが一般的なので、そういうところに必ずウェブの知識やフロントエンドの知識が活きてくると思います。
なるほど。
自社でも様々なプラットフォームを出されている松村さんいかがでしょうか。
大好物な話ですね(笑)。
IoTという分野では、”プロダクトのIoT”と”プロセスのIoT”の2つがあると思っています。

“プロダクトのIoT”というのは、今あるものにチップが組み込まれることで、その製品の魅力が上がるようなサービスです。例えば、歯ブラシにセンサーがついて、その歯ブラシをやりながらスマホを見ると「君はよく歯が磨けてますよ!」とか、「虫歯菌がここにいますよ!」みたいなことを知ることができるもののことです。でもよく考えれば、こういうプロダクトってみなさんが日常でDIY的にできるプロダクトですよね。

もうひとつの、”プロセスのIoT”というのは、業務のIoT化による改善ですね。
例えば、みなさんが机のメーカーだとしてください。今この目の前の机、実は揺れてて嫌なんですよ…。でも、まさかこの机が揺れてて嫌だなんて、誰も文句は言わないのでそんなのわからないじゃないですか。あ、運営者をディスっているわけではないですよ!全然嫌じゃないですよ!!!

(会場 笑)


例えば、嫌だったとします。
その場合、保守や交換もしてくれると思うのですが、そもそもメーカーの営業サイドが、この机が揺れているということがわかって、その状況に見合った営業に来ることができたら楽じゃないですか。そうすることで、アフターケア業務や営業業務が向上するっていうのが、プロセスのIoTです。
IT業界って専門性が高いイメージありますけど、そういう意味では、実はいろんな産業に組み込んでいますよね。畠山さん、なにかありますか?

AIって、「コンピューターに目をつけましょう、耳をつけましょう、言葉に書きましょう」ってところがとても大事だと思うんです。コンピューターができることって、人間がマウスを動かしたり、キーボードを打ったりしないとダメなんですけど、AIは、見たものを勝手にメモしたり、音も勝手に入ってきたり、出たりするわけですよね。つまり入出力が増えるので、みなさんが持っているプログラミングの知識でできることの範囲が増えると思うんです。

それと同時に、みなさんスマホで写真を撮ると思うんですけど、たぶん目で見たものと同じように撮れないと思うんです。これって、ここまでは機械でできるんだけど、こっから先は人間がやった方がいいっていう既存のデバイスの限界がよくわかるんですね。今は皆さんがお持ちの機械でできることがすごい増えているところにいるので、もっと色々なチャレンジをした方がいいと思いますね。
まさに変革期を体験できているところですよね。
例えば、日本特有の少子高齢化などに対して活用できそうなAIやIoTでエンジニアの活躍できる分野などあると思いますか?
ヘルスケアって非常に応用分野が広いと思っています。例えば、歩けなくなったおばあちゃんの足にロボットをつけて、歩けるようにするとか。あとは、島国ならではかもしれないですけど、離島に荷物を届けるとか。いくつか業種をしぼって突っ込んでいくと、より面白いかもしれませんよね。
なるほど、活用の仕方の視野を広げつつも、ターゲットを絞るということですよね。他になにかご意見ありますでしょうか?
やはり高齢者の方は今まで使い慣れているものをそのまま使いたい方が多いと思うんです。だけど、最先端の便利な機能も提供したい!と、なってくるので、使い慣れたものにちょっと差し込むことで便利になる、といったものが必要になってくると思いますね。

例えば、傘立てに天気予報の画面がでてきて、雨が降りそうな時はランプがつくみたいな…。 今まで使っていたものとほぼ同じ使い勝手で便利!といった世界を作っていけると思っているので、非常に楽しみですね。
当たり前に見えつつも、実はまだできてない分野が多そうですね。
先ほど、高齢者の話がでてきましたけど、子供の分野も面白いなと思っています。
例えば、アメリカでは子供に積極的にスポーツをさせるんですが、日本でもこれから子供にもっとスポーツをさせる傾向が増えてくるんじゃないか、と言われているんです。この分野でのIoT化はまだあまりされていないので、例えば野球のバッドやグローブがIoT化していくことも考えられますよね。
たしかに、スポーツの分野はまだまだこれからIoTでできる部分であるのではないかと思われますね、面白くなりそうですね。それでは、みなさまから最後に一言ありますでしょうか。

一昔前はおもちゃだったパソコンが、今では企業で当たり前に使うようになり、今までパソコンを使っていなかった方たちが、スマホを利用するようになり、ここ数年でもプラットフォームの変化がありましたよね。

このようにプラットフォームがパソコンからスマホに広がったときに、使える人が格段に増えたんです。これからIoT化が広がると、想像がつかないくらい多くのユーザーが増えると想定できるので、さらに市場が広がり、今よりエンジニアのニーズは増えると思っています。なので、エントリーするときも、未成熟の分野が増えると思うので、果敢にチャレンジしていってほしいと思っています。
わたし自身も趣味から始めたことが仕事につながったので、ぜひ、趣味のエンジニアリングを楽しんでほしいですね。スキルを身につけよう!というモチベーションだとなかなか続かないので、得意な分野や興味のある分野を探して、実際に手を動かして試してみると面白いと思いますよ!

たぶん、皆さんはこの業界が好きで入っていると思うので、それを忘れないように、半歩新しいものを楽しみながらやってみることも大事ではないかと思います。あとは、時々大きなメーカーのイベントなどに行って、新しい情報や最新の機器に触れたりして、興奮を忘れないことも、大事ですよね。
AIやIoTのような新しいものに対して、興味をもって、実際に試すことを積み重ねることで、時が経つといつの間にかできていた!ということも多いと思うので、手を動かして楽しんでみることが大事ではないかと思いますね。

「PASONATECH CONFERENCE2017」に行ってみた!まとめ

いかがでしたでしょうか。「AI・IoT時代のエンジニアの資質」というテーマで、様々なキャリアや経験をお持ちのパネラーのみなさんからのお話をお伺いしてきまた!

専門的でお堅い職業のイメージがあったエンジニアですが、様々な分野でのAI化・IoT化が進むにつれ、実はすごく身近な生活を支えてくれていたり、業務や働き方を改善をしてくれているのだということに気がつくことができました。

子供から高齢者まで、より暮らしやすい社会になるためのアイデアやツールが、これからの時代のエンジニアたちの中から生まれてくるのでしょう。数年後、予想もできなかった便利で暮らしやすいアイテムが当たり前のように、この先の世界で待っているもかもしれません。

in.LIVE編集部の石川がお届けしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人
石川妙子 アステリア株式会社 広報・IR室。in.Live編集部。 大学卒業後、大手銀行にて勤務。その後、自由大学の運営を経て、2015年より世界一周の新婚旅行へ。帰国後は、編集者として活動。インバウンドや農業メディアにも所属。2018年より長野を拠点に移し、東京との二拠点生活中。