2017年7月5日

海外で余った外貨が身近な電子マネーになる「ポケットチェンジ」を徹底取材!ウェブ系エンジニアだからこそできるハード開発の裏側とは?

株式会社ポケットチェンジ代表取締役の青山さんにインタビュー。サービス誕生のきっかけや、ウェブ系エンジニアたちがハードウェア製品を開発できるようになった時代について伺いました!


こんにちは!in.Live編集部の石川です!

「余った外貨、どうしよう…」

海外旅行好きな方や海外出張の多い方なら、いつもこんな悩みを抱えているのではないのではないでしょうか?少額のお金は両替もできないし、「次回行く時に使おう!」と思っていても、なかなか予定通り使い切ることは難しいですよね。

今回は、そんな「余った外貨を身近な電子マネーに交換できる!」という画期的なサービスを提供している株式会社ポケットチェンジ代表の青山さんにお話をお伺いしました。

青山新(あおやま・しん)さん
株式会社ポケットチェンジ代表取締役

東京芸術大学院映像研究科卒。産総研や楽天等にてエンジニアとしてキャリアを重ね、(株)スポットライトにて、超音波解析技術を用いたスマートデバイスの設計、開発およびアンドロイドアプリ開発、サーバサイド開発に携わる。2015年、(株)ポケットチェンジを創業、同代表取締役を務め、ソフト/ハード両面で開発をリード。第5回 ニコニコ学会βシンポジウムにて「研究してみたマッドネス」大賞を受賞。最近のヘビロテはトムヤムクン。

余った外貨を短時間で身近な電子マネーに交換できる「ポケットチェンジ」

本日はどうぞよろしくお願いします!
早速ですが、ポケットチェンジでできることについて教えてください。
ポケットチェンジは、海外旅行で余った紙幣やコインなどをキオスク端末で簡単に電子マネーに交換できるというサービスで、銀行で両替してもらえないような少額なものまで扱うことができます。

実際のキオスク端末がこちらです!

なるほど。それは便利ですね。
実は、ポケットチェンジ以外にも外貨を電子マネーに変えることができるサービスを聞いたことがあるのですが、ポケットチェンジは具体的にはどのようなところに違いがあるのでしょうか?
はい、他のサービスは、メールアドレスや氏名などを入力して後日受け取るというパターンが多いのですが、ポケットチェンジは、その場ですぐにポイントやマネーをチャージでき、電子マネーへの交換をシンプルに完結できるのが大きな違いですね。

お金をキオスク端末に入れてから電子マネーを受け取るまでの時間をできるだけ短くするため、画面を極力シンプルにすることにこだわりました。また、コインを複数通貨、複数枚数、一緒に入れられる点もこだわったポイントです。従来は、硬貨を一枚一枚通貨ごとに入れる機械が多いのですが、このように一度にまとめて入れられたほうがスピーディーですよね。

あとは交換先のサービスが、日本の方々に身近な電子マネーやギフト券にも対応しているため、便利にお使いいただけると思います。

異なる国のコインも、投入すれば自動で識別してくれる!これは簡単ですね!
ちなみに「身近な電子マネーやギフト券」とは、具体的にどういったものがあるのでしょうか。
まだこれから増えていく予定なのですが、現時点ではこのようなラインナップになっています。楽天Edyや、WAON、日本のAmazonギフト券などが日本のお客様には人気ですね。

訪日外国人向けの交換先サービスであれば、台湾だと「LINE台湾」、中国だと「WeChat(ウィー・チャット)」など、各国の方たちが使いやすいものを選んでいます。
ちなみに、手数料やレートはどうなっているのでしょう。
両替レートとして手数料をいただいています。

ベースとなる為替レートは1時間ごとにインターネットから取得していまして、そこに手数料分の割合を細かく設定しています。通貨ごと、金種ごと、サービスごとに手数料は細かく変わってきますので、一概には言えないのですが、電子マネーのキャンペーンなどによっては、銀行で両替するよりもお得になることや、為替レートよりお得になることもありますよ。

私も世界一周をしていた経験があり我が家に大量の外貨が眠っているので「ぜひ利用してみたい!」と感じました。今はどこでポケットチェンジを使えるのでしょうか。
現在は、羽田空港国際線到着ロビー、福岡空港国際線到着ロビー、新宿のインバウンド向け施設に設置しています(2017年6月現在)。今後は日本国内の空港や駅だけではなく、海外の空港にも設置しようと交渉中です。

実際に羽田空港に行って「ポケットチェンジ」を使ってみた!


まずは使ってみないと分からない!
ということで、実際に羽田空港に行ってきました!!

ポケットチェンジが設置されている、羽田空港の国際線ターミナルへ。

2階到着ロビーに向かってすぐ左手。

到着ロビーを正面に、左手にある緑色の機械がポケットチェンジです。

では早速、使ってみましょう!スタート!

まずはじめに、交換先の国を選択します。

画面に国旗や電子マネーのマークもあるので、これはシンプルでわかりやすい…!
国ごとに交換先のマネーも全然違いますね。では、日本を選択してみましょう。

続いて、交換先のサービスを選択します。電子マネーと寄付に分かれています。
では、試しにWAONを選択してみましょう。

次に、お金を投入します。まずはじめにコインを。
投入出来る硬貨の枚数は一回あたり約20枚、一取引で計100枚まで、金種や国を問わず入れることができます(交換できない金種は自動で弾かれ、戻ってくるようです)。

続いて、紙幣を投入すると、合計金額を機械が計算してくれます。

合計金額が提示されたら、タッチをしてチャージ!!

取引が完了しました。

最後に、取引のレシートを受け取って完了です!


あっという間に余った外貨が電子マネーに交換できました!

たったの3ステップ、表示されたアイコンをタッチするだけで終わるので、時間の短縮だけでなく、タッチスクリーンに慣れていないご高齢の方も利用しやすいのでは?という印象。思っていた以上に操作がシンプルで、あっという間にで電子マネーに交換することができました。

また実際に利用するとなると、海外から帰国したタイミングで行うため、旅の疲れもあるし面倒なのでは…?と懸念していましたが、これなら短時間で終わるのでストレスは一切無し!ということが実際に使ってみてわかりました。

家に積もりに積もった外貨を処理することもできてスッキリ!
これからもポケットチェンジにお世話になりそうです!


【羽田空港の設置場所の詳細】

羽田空港国際線ターミナル:到着ロビー階(2階)到着口向かってすぐ左
帰国した方:ロビーを出てすぐ右
その他の方:到着口向かってすぐ左

【福岡空港の設置場所の詳細】

福岡空港国際線ターミナル:到着ロビー階(2階)到着口向かってすぐ右
帰国した方:ロビーを出てすぐ左
その他の方:到着口向かってすぐ右

【歌舞伎城の設置場所の詳細】

新宿歌舞伎町ゴジラロード沿い TOHOシネマズ手前
地下鉄丸ノ内線「新宿駅」B10出口より徒歩6分
JR線「新宿駅」東口改札より徒歩7分
新宿歌舞伎町インバウンドビル 歌舞伎城1階

『ウェブ系エンジニア』たちがハードウェア製品を開発できる時代に

そもそもですが、青山さんがポケットチェンジの開発を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
もともと、ポケットチェンジのビジネスアイデアは、親会社である株式会社コイルの代表でもある、松居が思いついたものなんです。海外旅行に行ったり、出張に出たりしたときに、いつも外貨が余ってしまうのを何とかできないか?と考えたのがきっかけです。

5年ほど前から、この ”余った外貨を電子マネーに交換する” というアイデアを温め続けていたのですが、当時はお互いに他の仕事があったのため手を付けられず、2015年の夏頃、松居と私がちょうどフリーになったタイミングで「よし、やってみよう!」と動きはじめたんです。周りからもぜひやってほしいという声が多かったので、背中を押されたのもありましたね。

ポケットチェンジのように、多くの人が「あったらいいな」と思うものを形にするのはハードルが高いと思ってしまうのですが、実際に開発をする上で大変だったことはありますでしょうか。
そうですね。僕はウェブ系エンジニアだったこともあり、例えば、投入されたコインがどの国のものなのかを判定するユニットや、紙幣を判定するユニット、プリンタなど、複数のハードウェアを同時に制御するようなプログラムを書くことが大変でした。

あとは、コインを仕分けし、一時的にプールする機械も必要だったのですが、そういったものは既存の手頃な製品がなく、ゼロから開発せざるを得なかったため、ハードウェアやそれを駆動する電子回路、ファームウェア、通信プロトコルからアプリまですべて設計しなければならなかったのも大変でした。

もちろん、キオスク端末を製作した経験もないですし、まして、筐体(きょうたい:機械の外側)なんて作ったこともないので、板金加工業者を探すところから始めなければならないなど、わからないことだらけだったので、メンバーみんなで協力しながら一つ一つ解決していきました。

でも、ウェブ系出身のエンジニアだった我々がこうやってハードの開発をできてしまうのもなんだか時代には合っていますよね。
「時代に合っている」というのはどういったことでしょう…?
例えば、経験のない我々のような者たちがハードウェアを開発できたのは、普段のウェブ開発と同じように、トライアンドエラーを繰り返すような手法で、素早く知見を貯め、製品をブラッシュアップし続けることができたからだと思っています。

実際、ポケットチェンジ端末の中には、3Dプリントしたプラスチックや、レーザーカットしたアクリル、CNCで加工した部品などを使った機械が幾つもつかわれていまして、問題を見つけるたびに細かくバージョンアップを重ねていっているんです。

こういったことができるようになってきたのも、最近になって、十分な性能の3Dプリンタ、レーザー加工機、CNCなどが、安価に手に入るようになってきたからだと思うんです。例えば、これが5,6年前ですと、まともな設備はまだまだ高額でしたし、かといってメーカーに発注して型を作ってもらって検証して…などしていると、開発サイクルが長くなってしまいますし、そもそもお金も高くなって手が出ないということになってしまいます。

CAD/CAMソフトも非常に安価なものが出てきたので、使い方さえ学べば設計できますし、基板CADソフトもオープンソース(ソースコードを公開していて、自由に使用ができること)のものが出ていたりします。つまり、必要なのは知的資本がほとんどで、その気になればウェブ系エンジニアでもハードウェア製品を作れてしまう時代になったんです。

そう考えていくと、40年前にほぼ知的資本しかかからない『ソフトウェア』に目をつけ、マイクロソフトが急成長できたような時代と、今の時代はある種似通っているかもしれませんね。今はまだ過渡期ですが、ハードウェアがどんどん『ソフトウェア化』しているように感じるんです。

(オフィスには、歴代の基盤が並んでいました)

なるほど。そう考えると今後はソフトウェアとハードウェアの垣根が無くなっていきそうですね。今回実際に空港で使ってみて、操作画面や外観がとてもシンプルで、他の筐体メーカーにはあまりないようなデザイン性を感じました。これもやはりソフトウェア出身だからこそできることなのでしょうか。
はい。ウェブ上で重視される使いやすいデザインにはこだわっています。実は、ポケットチェンジの中もほぼウェブの技術で動いているんですよ。画面もウェブ出身のデザイナーが設計していますし、ただのWebサイトとして実装されているので、画面デザインを更新するのも簡単です。実際、テスターを呼んでレビューしてもらいながら、すでに3回くらいデザインをゼロから作り直しています。

一般的な自動販売機などは、筐体メーカーが大量に作り、年単位のサイクルでゆっくり改善するといった運用だと思うのですが、我々は一週間に1度はソフトウェアアップデートをしています。

インターネット経由でいつでも、今稼働している全ての端末のソフトウェアをアップデートをできたり、機器の状態、操作情報をリアルタイムに分析できるなど、ウェブを支えている技術を使って管理することで、スピード感をもって運用できるのは、我々の強みかもしれません。ハードウェア製品ではありますが、ウェブの標準レベルのPDCAを回したいと思っているんです。

ハードウェアの話もでてきましたし、実際にポケットチェンジのハードの部分(筐体)を作っている場所を案内しましょうか?
ぜひ、見てみたいです!

ポケットチェンジの工場に潜入
ひとつひとつ丁寧につくるものづくりの現場

オフィスから徒歩3分ほどの場所にポケットチェンジの工場がありました!
先ほどのオフィスでは、みなさんパソコンに向き合って作業を進めていましたが、こちらは、ハード面(筐体部分)を開発するエンジニアたちが機械に向き合い作業を進めていました。

出荷される前のポケットチェンジがたくさん並んでいます…!

細かい手作業や最終チェックは人の力。
青山さんも慣れた手つきで作業をされていました。

なかなか見ることのできないCNCや3Dプリンターなどの機械もたくさん。
ポケットチェンジの内部にある部品は、これら3Dプリンターでできたものも多いよう。

筐体メーカーのように機械化された流れ作業ではなく、人の手や目で確認しながら、ひとつひとつの機械を丁寧に作り上げている印象を受けました。

お仕事中のみなさん、ありがとうございました!

フィンテックの逆を行く!?「お金の必要ない時代」に向かう今だからこそ、あえて現金にこだわる

貴重な現場の裏側を見せていただき、ありがとうございました!これらの機械がこれからどんどん海外や日本国内に羽ばたいていくんですね。実際に、羽田空港に設置をしてから半年が経ちましたが、お客さんからの声や反応はどうでしょうか。
ありがたいことに、現状は「こういうのが欲しかった!」「使いやすかった!」というような、好意的な意見がほとんどです(笑)。

今は空港の到着ロビーに設置していることもあり、日本人の利用者が多いですが、これから2020年に向けて、日本に来る海外の方も増えると思うので、訪日外国人向けのサービスも充実させて行きたいですね。また、海外の空港への設置の話も積極的に進めているところです。
そうなのですね!最近は電子マネーを利用する機会も増えたように感じています。フィンテックやビットコインなど”お金に関わるテクノロジー”の話題も増えてきましたよね。
たしかに、フィンテックはタイムリーな話題ですよね。ただ、我々は現金を扱えるというところに重きを置いているんです。なので、よくあるフィンテックのような、ITやビジネス、リーガルをハックしてスマートにお金を稼ぐといったモデルとは真逆のアプローチなのかもしれません。

ビットコインなどの仮想通貨に興味のある人が増えはじめ、少しずつ「現金の必要ない世界」に近づいていますが、あえて、現金にこだわることで見える世界もあると思っているんです。そういった意味では、僕らはもっと泥臭くて、ひょっとしたらフィンテックのアンチテーゼ的存在になるのかもしれませんね(笑)。

「ポケットチェンジ」を徹底取材!まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、余った外貨が電子マネーになる「ポケットチェンジ」を開発されている代表の青山様にお話をお伺いしました。

開発の背景を知り、現場を見せていただくことで、今の時代性が技術面でとても反映されいていること、一方で、あえて現金にこだわる点や、大量生産ではなく、ひとつひとつの機械が丁寧に作られている点など、時代的ではない部分との融合がとてもバランスよく、私たち利用者の目線で作られていることがわかりました。

これから、ますます設置が増え、身近になりそうな「ポケットチェンジ」。今後、海外から帰国された際はチェックしてみてくださいね!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


《関連リンク》

PocketChange(ポケットチェンジ):https://www.pocket-change.jp/ja/
撮影協力:東京国際空港ターミナル:https://www.tiat.co.jp/

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この記事を書いた人
石川妙子
石川妙子 インフォテリア株式会社 広報・IR室。in.Live編集部。 大学卒業後、大手銀行にて勤務。その後、自由大学の運営を経て、2015年より世界一周の新婚旅行へ。500日43カ国を旅し、現在インバウンドメディアの編集部にも在籍中。