2017年2月27日

バーチャルとリアルの掛け合わせで、遊びの面白さを拡張する ー “チャンバラ合戦 -戦 IKUSA- ” で実現するRPGの世界

”世界一平和な戦”として、子供から大人まで遊べる「チャンバラ合戦」を世界に仕掛けるスタートアップ、NPO法人ゼロワン。今回は代表の米田さんにその挑戦の全貌と、遊びを通じて叶えたい未来を聞いてきました。


こんにちは!in.LIVE編集長の田中です。
突然ですが、イアステリアでは「パンゲア2.0」というスタートアップ企業の支援プログラムを行っています。IoT領域で世界を目指すスタートアップに無償でアステリアの会議室やオフィススペースを貸出し、さらには当社CEOによる経営相談を含めた様々なノウハウを提供するもの。

過去には、クラウドソーシング事業を手がけるランサーズ株式会社などもこのプログラムを活用していた歴史があるのですが、ここ最近、非常に面白いスタートアップ企業がこのパンゲアのプログラムを活用しているという噂を耳にしました。

是非一度、話を聞いてみたい!ということで、アステリアのオフィスを見渡すと・・・・


あ、あの袴姿は・・・・・・!!!! (あれに違いない!!!)


えーと、、、 もしかして ”チャンバラ合戦-戦 IKUSA” の米田さんですか??
はい!! 間違いありません!!!

株式会社TearsSwitch代表取締役、NPO法人ゼロワン代表理事
米田真介(よねだ・しんすけ)氏

1984年生まれの32歳。 WEB制作会社を経営する傍ら、チャンバラ合戦 戦 –IKUSA- を全国で展開する。

というわけで今回は、この袴姿が印象的な米田さんに、チャンバラ合戦のことや活動の原点、さらに現在進めているという「チャンバラのIoT化(!?)」という気になるトピックまで、お話を聞いてきました。

本業は制作会社の社長!?人生を変えたヒッチハイク日本一周

早速ですが、そもそもこの「チャンバラ合戦」の活動は、いつ頃からスタートされたんですか??
最初の発案は2011年でした。
当時は大阪にいたのですが、「大阪から世界に何か面白いことを発信していけないか!?」ということを仲間たちと飲み会で話していて。そこから本格的にNPO法人として活動し始めたのは2年後のことです。
もともと本業としては2012年から自身で制作会社も運営していました。
え!チャンバラが本業ではないんですか!そして社長さんなんですか!
実は二足のわらじです・・・。
日本のことをもっと知りたい!と思って、8年前にヒッチハイクで日本一周をしていたんですが、当時、車に乗せてくれた人の一人が、今の共同代表の赤坂でして… 。
共同代表とヒッチハイクでの出会い!?
なにやら色々な出来事(ツッコミどころ)が交差していますので、全体の経緯がわかるように、今回は年表を作ってみましたよ!どん!!!

ほほ〜〜。
こうして見ると、米田さんの精力的な活動が、次々と全国に波及しているのが伝わります。そもそも最初のきっかけとなったヒッチハイクはどんな想いでスタートされたんですか?
最初に就職するときから、仕事を3年間続けたら旅に出る!と決めていました。僕は昔からゲームとマンガにすごく助けられてきたんです。

人生の目的や何のために人が頑張るのかが分からなくて辛かった高校時代、たまたまプレイした「ファイナルファンタジーⅩ」と、世界のために戦う主人公にものすごく魅了されたんですよね。壮大な目標に向かって突き進んだり、仲間との出会いや別れがあったり。そうしたRPGの大冒険のような世界を、自分でも実現したいという野望が芽生えていました。
原体験となったのはファイナルファンタジー!
もしかして、それがきっかけでコンピュータ専門学校に?
単純ですが、そうなんです(笑)。
ただゲームのように一部の人に感動を与えるよりも、もっと多くの人の人生を変えられるような仕事をしたいと思うようになり、新卒では制作会社に入社しました。
そしてその後は、ヒッチハイクの旅へ?
そうです。沖縄から出発して半年間、合計216台の車に乗せてもらいました。その中の一人が、今の共同創業者である赤坂だったんです。
確かにそんなに沢山の出会いがあれば、人生も変わりそう…。
ヒッチハイクから帰ったあと、まずは前職での経験を活かして個人事業としてスタートしました。ただその2年後、何度か赤坂と話すうちに一緒にやれるのでは?と仲間になって、法人化に至った感じです。

こうして聞くと、本当にゲームみたい!(笑)
チャンバラの活動を始めたのもその頃でしょうか?
チャンバラの活動を始めたのは、その少し前です。
ヒッチハイクから帰ってきたあと、大阪の仲間たちと「何か面白いことを発信できないか」と話していて。

子供から大人まで皆を笑顔にできて、海外でもウケて、日本が持つ資産である歴史や文化を活用できるようなコンテンツ、それがチャンバラだったんですよ。

子供から大人まで笑顔になる、”世界一平和な戦”

ところで「チャンバラ合戦」って、具体的にどんな風に遊ぶんですか?
僕らがやっているチャンバラ合戦は、やわらかなスポンジ素材の刀を使って、相手の肩につけた「命」に見立てたボールを落とすという簡単なルールです。子供から大人まで、もちろん100対100といった大人数でも楽しめます!

大阪から誕生したこともあり、最初の開催は2011年7月。場所は大阪城公園でした。

うおー!大人も子供も本気のチャンバラ!これはめっちゃ楽しそう!
そう、めっちゃ楽しかったんですよ!!
後ろから狙われるドキドキや、敵を倒したときの爽快感、チームの一体感も、走りながら笑いすぎて息がきれるほど(笑)。

なにより、自分がゲームの主人公になったような高揚感がありました。

それがきっかけで「これはイケる!」と思ったわけですね。
最初は誰でも無料で参加できるイベントとしてやられていたのでしょうか?
そうですね。そこから、一度参加してくれたメンバーが「この楽しさを広めたい!」と運営チームに関わってくれたりしながら、月1ぐらいでチャンバラ合戦を全国各地で開催しました。

2017年の今、立ち上げからは早くも6年が経ちましたが、現時点で200合戦以上、侍は2万人を超えています。
「侍」・・・!!
あ、チャンバラ合戦に参加した方たちのことです(笑)
今では、僕らが自主開催するよりも、地方の活性化としての企画やお祭りなどのイベント、さらに企業研修やレクリエーションとして呼ばれることの方が多いですね。
企業研修でチャンバラですか!
上司を斬るってなかなか緊張感がありますね(笑)
そうですね。でも僕らの独自のルールの中で楽しみながらやるので、もちろん皆大盛り上がり。大勢の大人たちが、童心を取り戻したかのように笑顔になりますよ。

普通の研修に比べてだいぶ楽しそうですが、実際にやった人たちはどんなことを学んでいるんですか?
企業研修としてやる場合は、「どんなことを目的にチャンバラ合戦をしたいか?」というプランニングから入ることがほとんどです。例えば、各事業部のマネージャーを武将にしてチームの結束を高めたい、だとか、新人研修としてやりたいだとか。

敵のチームの動きを見て、それに対して自分たちがどう戦うべきか?という戦術を立て、それを細分化して役割に落とし込む。スムーズにやるための指示・命令を行う、というのも、自分たちが「できる!」と思ってやってみても、意外とうまくいかないケースも多いんですよ。
なるほどな〜。チャンバラ合戦、思った以上に深い!
身体を動かして、頭を使って、何より楽しい!って、最高ですね。

「文化」を遊びに落とし込めば、言葉を超えて楽しめる

もともと世界に向けて発信したい!という野望があったかと思うのですが、こちらは具体的に進んでいるのでしょうか?
はい。実際にネパールやニュージーランドでチャンバラ合戦をやったり、日本国内でも英語しか使えない「インターナショナルチャンバラ」を開催したりしています。

おおお!チャンバラが国境を超えていく…
印象的だったのが、ネパールで子どもたちとチャンバラ合戦をやったとき。
どうしても「それはダメ!」と言ってもルールを守れずズルをする子がいたりしたんですが、「その行為は “武士道” じゃない」という説明をすると不思議と聞いてくれるんですよ。

そんな工夫や面白さがネパールでも話題になり、国営放送の番組でチャンバラの様子が取り上げられたりもしました。
すごい!ただの遊びを通じて、武士道やチャンバラといった日本の文化や伝統が伝えられるんですね。
僕らは、僕らのチャンバラ合戦を「世界一平和な戦」だと言っています。
大阪から始まった僕らならではの発想で、侍文化や武士道精神をポップに伝えられるのは唯一無二の価値だと思いますよ。

IoTで遊びをもっとリアルに!ゲームの主役により近づくために

最近ではこのチャンバラ合戦の技術や仕組みも、どんどん進化していると聞きました。
そうなんです。今僕らは積極的にIoT化を進めていて、勝敗の結果をアプリを使ってリアルタイムに追いかけられるようにしたり、光るチャンバラを開発したり…
 
チャンバラのIoT化ですか!!
ただの遊びがどんどん進化している!やっぱり時代の波に乗ろうと..?
 
いやいや、この構想も実は6年前のアイデア発想時からずっとあったんです。理由は明確で、 “遊びをもっと楽しくして自分が主人公になるため” です。
「遊びをもっと楽しくして、自分が主人公に」??

チャンバラ合戦がアプリ化された際のイメージ


はい。IT化されることで、各参加者の戦いのログを残せるようになり、それによって「強さ」を可視化することができるんです。

これまで参加した合戦数や勝った回数が分かれば、個人の参加モチベーションにもなりますし、同じ合戦に参加する戦友とも繋がれるようになれば、周りがその人の強さを見ることができるので、戦い方も劇的に変わるんですよ。
強さの可視化!
確かに、相手の戦闘力や強さが分かるなんて、なんだか一気にゲームの世界ですね!
これがまさに僕がずっと考えてきたことで、IoTを通じてできることは「楽しみの拡張」なんです。

ゲームの世界と聞くとどうしても家に閉じこもって遊ぶものだと捉えられがちですが、僕らが掲げている「外遊びをもう一度日本の文化に」というミッションは、こうしたバーチャルとリアルの融合によって、もっと現実的に叶えられると思います。
米田さんの原体験にもなっているRPGの面白さに夢中になった経験や、そこで感じた純粋なワクワクや感動が、このチャンバラの活動をさらに進化させているのですね。

ちなみに今回はアステリアの「パンゲア2.0」を利用されるということで、どんなことに期待されていますか?
やっぱり、一番は「相談できる人がいる」ということでしょうか。
大阪で誕生し、東京支部も立ち上がって一年ほどですが、まだまだ足りないスキルもあります。そんな時にこのパンゲアを活用することで今の自分たちに足りないパーツを集め、新たな仲間をつくって、さらに夢の実現に近づきたいと考えています。

実際すでに、アステリアの社内に広報やPRの部分でご協力いただいている方もいて、これまでリーチできなかった層への認知も広がってきています。こういったコラボレーションは、非常に嬉しい限りですね。
ぜひ!沢山活用してください。
イフラボに、米田さんのIoTチャンバラが並ぶ日を楽しみにしています!

“チャンバラ合戦-戦IKUSA-” で実現するRPGの世界、まとめ

今回お話を聞いて、日本一周のヒッチハイクに、起業に、チャンバラに… と、様々な活動をされてきた米田さんが、強い信念と野望のもとに生み出したものの一つが、NPO法人ゼロワンなのだと知りました。

“自分たちだからこそできる価値“ というものをブレずに持ち、そのために必要な仲間や資源をRPGのように集めて突き進んでいく。これまで沢山の仲間たちが米田さんの元に集まってきたというのも、米田さん自身の魅力はもちろんのこと、米田さんが描く「遊びの拡張」という未来にワクワクしたからに違いありません。

2月には山城跡にて初めて関東圏でもチャンバラ合戦が開催されたり、3月5日にはアステリアの社長の平野の故郷でもある、熊本県での開催も決定しているそう。直近のイベント情報は公式サイトよりご覧いただけます。今後の活動・活躍にも、どうぞ皆さんご注目くださいね!

また「会社でチャンバラ合戦をやってみたい!」という方も、ぜひ公式サイトの方から問い合わせてみてください。

皆さま、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

関連リンク

チャンバラ合戦-戦 IKUSA- 公式サイト
アステリア パンゲアに関するプレスリリース

この記事がよかったら「いいね!」
この記事を書いた人
田中 伶 アステリア株式会社 コミュニケーション本部・メディアプランナー。 教育系のスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げを経験。話題のビジネス書や経営学書を初心者向けにやさしく紹介するオンラインサロンを約5年運営するなど、難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。台湾情報ウェブメディア編集長も務める。