2017年4月4日

BBCで話題になった「ハネムーントラベラー」は知ってる?海外ならではのドローン事情や今注目のテクノロジーを聞いてみた!

新婚旅行で世界一周。旅好きな方ならだれもが憧れるのではないでしょうか。そんな中、ちょっと変わったお供、”ドローン”を連れて世界一周をした山口夫妻にお話を聞いてみました!


こんにちは!in.Live編集部の石川です。
皆さんは「ドローン」と聞いて何を思い浮かべますか?

アステリアでは、秋田県仙北市との提携し、ドローンで撮影した映像データを「Handbook(ハンドブック)」という製品を通じて、現地を訪れずともどこからでも閲覧できるようにするなど、産業振興や地域創生などの分野でのICT導入に力を入れています。このように最近では、地方創生や荷物の配達、災害対策など、様々な分野で活躍の幅を広げ、なにかと話題になっているドローン

そんな中、ドローンと共に新婚旅行で世界一周をした山口夫婦が世界でも注目をされています。彼らが400日の旅路で撮影したドローンの動画は、イギリスの国営テレビ局BBCやNational Geographic等、海外メディアから国内メディアまで数多く取り上げられ、一躍有名に。帰国後に公開された”旅のまとめ動画”の再生回数は、本人たちも把握できないほど、世界各国のTVやSNSで拡散され、再生回数は数億回にのぼるのではないか、とも言われています。

その動画がこちら。まずは、見てみてください!

お2人の仲睦まじい姿から始まり、ドローンは高度を上げていきます。どこか写真で見たことがある世界のあの絶景が動き出し、空高くから見下ろすことができるのです。このようなドローンならではの”空飛ぶ絶景”は世界中の人々を魅了しました。

「正直、バズりは予想以上でした」

と、はにかむ千貴さん。2016年8月、お二人は日本に戻り、新たな暮らしを歩み始めています。ドローンと旅をしたことで、暮らしや働き方がどう変わったのか、なぜドローンと共に世界一周をしたのかを取材をさせていただきました。

山口 千貴さん(27)・真理子さん(35)

2015年7月から新婚旅行として、400日かけて世界を一周。ドローンと共に48か国を巡った山口夫妻。「ハネムーントラベラー」と名乗る彼らの自撮り動画は、イギリスの国営テレビ局BBCが報じたことをきっかけに世界中で話題となる。

・ハネムーントラベラー【Facebook/ Instagram/ Twitter
・山口 千貴さん 【Facebook
・山口 真理子さん 【Facebook

「一生分の夫婦の思い出を作ろう」から始まったドローンの旅

 

早速ですが、お二人が世界一周に出られたきっかけを教えてください!
結婚をした際に「一生分の夫婦の会話になるような思い出作りをしよう」と思ったのがきっかけです。もともと僕は、大学を休学をしてユーラシア大陸を旅したり、あとは卒業旅行でアフリカを旅したり、バックパックを背負って旅をしていたので、今度は2人で同じ体験を共有したいと思って。
私は主人と出会って、海外の話を聞いているうちに、だんだんと旅に興味を持つようになっていきました。2012年に主人と行ったインドが初めての海外旅行だったのですが、それがすごくハードで(笑)でも、すごく楽しかったんです。世界一周を提案されたときはびっくりしましたが、「面白そう!」と、すぐに乗り気になりました。
なぜ、そこでドローンを持って行くことになったのですか?お二人が出発された2015年はまだそこまで、ドローンは一般的なものではなかったように思うのですが。
IT業界にいたこともあって、ドローンなど先端技術についての情報に触れる機会が多かったんです。
それで、ドローンに興味を持ったということですか?
そうですね、はじめからドローンを持って行こう!と思ったわけではないんです。僕は何回か長期の旅をしたこともあったので、なんとなく旅のイメージができたんです。なので今回の新婚旅行は、前回までの旅とは違って、発信する側になりたいと思っていたんですよね。

そこでブログをやろうと思って、人気の世界一周ブロガーを研究して、どうやって差異化を図ろうかと、いろいろとアイデアを探していたんです。足袋が好きだったので「足袋で旅する」という案や、「8歳違いの凸凹夫婦」みたいのをサブテーマにしてみたり…(笑)
そんな時にドローンの情報が入ってきたのですね。
そうなんです。YouTubeでドローンの動画を見てみると、すごくかっこよくて。もともと旅の途中でたくさん自撮りをしたいと思っていたので、世界各国でドローンを使って二人の思い出を映像に残せたらいいなと思いましたね。そして各国でそのドローンの動画を撮りためて、最後にまとめた動画をバズらせたいと思ってました(笑)。
目論見通り、ものすごく話題になりましたよね!
正直、ここまでバズるとは思ってなかったので、本当にびっくりしています。
初めは小さな枠でメディアに取り上げてもらっていたのですが、イギリスの国営テレビ局「BBC」で取り上げてもらったのをきっかけに、国内外多くのメディアから取材の打診がきました。その後、講演や出版などの機会もいただくことができて感激しています。

お二人が日本を出発した日。ドローンと共に記念撮影。

ドローンを持った入国は拒否!?海外ならではのドローン事情

 

今ではドローンの映像クリエイターという印象を受けますが、ドローンの操作って難しそう… 。はじめはどのようにドローンの技術を習得したのですか?
ドローンは世界一周出発前に近所の公園で二回飛ばしてみたくらいで、あとは旅先でやりながら覚えていきました。
意外と操作しながら覚えられるものなんですね…!
現地でトラブルはありませんでしたか?
トラブルといえば、イスラエルからヨルダンに入国しようとした時に、ドローン持っての入国を許してもらえなかったことがありました。結局、国境にドローンを預けることで入国させてもらえたんですけど、ちゃんと保管してくれるのか不安でしたね。帰りは同じ国境からイスラエルに戻って、無事にドローンは戻ってきたんですけどね。

ドローンを国境に預け、入国したヨルダンでの一枚。ちょと不安な面持ち?

 

ヨルダンのように、ドローンを飛ばせない場所もあると思いますが、それらはどうやって調べましたか?
基本はネットで検索し、国の法律などを調べていました。
管理人みたいな人が現地にいればそこも確認しましたね。
私たちが旅をしていた2015年と2016年を比較しても、ドローンに関する規制は、どんどん厳しくなってるようですね。
ドローンを使用する人の増加に伴い、今後も規制が増えそうですね。当時旅をされていた時は、まだドローンが珍しかったと思うのですが、世界各国で撮影するなかで、周りの方の反応はどうでしたか?
興味を持って近寄る人が多かったです。知らない人からも沢山写真を撮られたり。中でも、アフリカの民族の方々が生まれて初めて見るドローンに興奮してたのがとても印象に残っています。

エチオピアのムルシ族と記念撮影。ドローンがあれば、言葉が通じなくても交流できる!

 

中でもお気に入りのドローン動画はありますか?
正直、どれも甲乙つけがたいですね。
強いて言うなら、レンソイス、ウユニ、ドゥブロヴニクあたりですね。
見ました!広大な絶景がどこまでも広がっていて、ついつい見入ってしまいました。これらの動画は、さすがに一発撮りではなく、何度も撮り直しているのですか?
そうですね、納得しないカットなら何度も撮り直していましたね。
ただ、撮影以上に大変だったのは持ち運びです。とにかくかさばるし、重い!バックパッカーにはキツかったです…。
たしかに、小さくてもけっこうかさばりそう…。
ちなみに、ドローンは何台持って行ったのですか?
出発時は日本で購入した「DJI社のPhantom 3 Advanced」というドローンを一台持って行きました。でも、ノルウェーの雪山で飛行中に無くしてしまって、二台目をフランスのパリで購入。その次は、ナミビアの峡谷でクラッシュしてしまって… 南アフリカのケープタウンで、三台目を購入しました。

すべて、日本から持って行ったのと同じ、「DJI社のPhantom 3 Advanced」を使用していました。

ドローンの次は!?今、注目しているの最新のテクノロジーとは

 

ドローンと一緒に世界一周を果たしたお二人ですが、今後ドローンを使ってさらにチャレンジしたいことはありますか?
将来的にドローンにネットが繋がる時代が来ると思うので、パソコンからネット経由で機体を操作するのも面白そうだなと思ってます。例えば、世界の反対側にあるドローンを日本で操作できたり、様々な可能性が一気に広がるのではないかと思ってますね。
誰よりも早く当時最先端だったドローンに目をつけられたと思うのですが、ドローン以外でも新たなテクノロジーやデバイスなど使ってやってみたいと考えているものはありますか?
映像関係なら360度や生配信、テクノロジー全般ならAIやディープラーニングに興味があります。最近はライブラリも増えて、より身近な存在になってきましたしね。
AIを使うことによってどんなことができるんでしょうか。あまりイメージがわかないのですが…。
機械が学習してどんどん賢くなるので、色々なものに応用されます。例えばiPhoneにあるSiriとかも、実は質問に対してより正確な答えを導き出せるように、世界中からSiriの使用データを大量に解析して、日々賢くなってるんです。

Siriといえば、AmazonがAlexaというのを出したり、LINEも出すと発表してたり、今年はAI音声アシスタントが普及しそうですね。

400日ぶりに日本に帰国した時の関西国際空港にて。

好きなことを発信し続けることで変わった未来

 

ドローンの動画が注目されたことで、帰国後にどのような変化がありましたか?
ありがたいことに、観光系の仕事や映像作成の仕事が増えて、今まで以上に”場所にとらわれずに好きな仕事”ができるようになりましたね。
もともとIT系の企業にお勤めだったのですよね。具体的にお仕事はどんな変化がありましたか?
実は、旅の途中もリモートワークという形で、プログラミングの仕事を続けていたんです。職業柄、パソコンと通信環境さえあれば仕事ができたので、旅の途中も空き時間に仕事をしていました。

帰国後は、ドローンの映像が注目されたこともあって、映像制作を依頼されることが増えてきました。例えば、「ドラえもん」の映画のプロモーションで南極に空撮に行ったり、ニューカレドニア観光局に招待していただいて空撮や映像制作を依頼される機会に恵まれたり、なかなかできない経験を沢山させていただいていますね。
それはドローンを仕事に繋げようと思っていたのではなく、好きで始めたドローンの撮影が話題になったことで、新しい仕事のチャンスがやってきたということですか?
そうですね。好きで続けていたことがきっかけで、仕事の種類の幅が広がりました。今は何かと決めずに、いろんなものに手を出して、最終的には決めていけたらいいかなと思っています。

真理子さんは、帰国後はどのように暮らしの変化がありましたか?
私は、旅に出るまで10年以上、スイミングインストラクターをしていたんです。帰国後は、旅をきっかけに、取材や講演、出版の機会をいただくことができたので、本の執筆やメディア対応など主人のサポートをしています。主人についていけば間違いない!と思っているので、今は主人が仕事に集中できる環境を作っていきたいと思っていますね。
相手を信頼していないとなかなかできることではないですよね。それは旅に出たからこそ、そう思えるようになったのですか?
言ったことを結果としてちゃんと出してくれる人なんだなって、二人で旅をしてより信頼できるようになりましたね。旅の途中は、大変なこともたくさん乗り越えてきたので、時間の流れよりも速いスピードと濃度で絆が深まったと思っています。

<お2人の出版された本はこちら>
【朝日新聞出版 ドローン片手に世界一周 空飛ぶ絶景400日】

ドローンと共に世界一周した夫婦に話を聞いてみた!まとめ

「ドローンと共に世界一周新婚旅行」というキャッチーなキーワードで一躍有名になったお二人ですが、山口夫妻の魅力は、素敵なドローンの映像だけではなく、その裏にある夫婦の絆や、新たなチャレンジをし続ける前向きな姿なのかもしれません。

ドローンをただの「空撮の道具」として捉えるのではなく、これからは山口夫妻のように、自分たちを表現するための手段として、こうした新しいテクノロジーを使う人が増えてくるのではないでしょうか。

ITの進化と共に、人間らしさが失われてしまうのではないかと危惧される時代だからこそ、山口夫妻の心温まるストーリーは、多くの人の心に残るのかもしれません。
山口夫妻の今後にもご注目ください!

関連リンク

Kaz&Mariko@ハネムーントラベラー
山口 千貴 // Kaz Yamaguchi
山口 真理子@オランダ

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この記事を書いた人
石川妙子 アステリア株式会社 広報・IR室。in.Live編集部。 大学卒業後、大手銀行にて勤務。その後、自由大学の運営を経て、2015年より世界一周の新婚旅行へ。帰国後は、編集者として活動。インバウンドや農業メディアにも所属。2018年より長野を拠点に移し、東京との二拠点生活中。