2017年11月22日

日々の“癒されたい”を叶える!ユカイ工学から生まれた、極上のしっぽ型セラピーロボット「Qoobo」に会いに行ってきた

2017年の秋にお披露目され、驚異的なスピードで一躍人気となった ”心を癒すしっぽクッション” 。その開発秘話や反響について、開発者であるユカイ工学株式会社のデザイナー・高岡さんに伺いました!


in.LIVE読者のみなさん、こんにちは。ライターの鈴木しのです。

突然ですが、みなさんは最近癒されていますか?毎日、自宅と職場の往復でなかなか癒しを感じられていないという方は意外と多いのではないでしょうか。(わたしもそのうちの一人です)

実は今、そんな方におすすめのアイテムが登場しているのをご存知でしょうか?

ーー “心を癒すしっぽクッション”、名前は「Qoobo(クーボ)」

製品リリースに向けたクラウドファンディングでは、募集を開始してからわずか6日間で目標金額を達成と、驚異的なスピードで一躍人気となったセラピーロボット。

今回は、こちらの「Qoobo」の開発者であるユカイ工学株式会社のデザイナー・高岡尚加さんに開発秘話や製品に込められた思いを伺ってきました。

一人暮らしの女性の癒しに……「Qoobo」の開発秘話

高岡尚加(たかおか・なおか)さん
ユカイ工学株式会社 デザイナー

東京藝術大学で陶芸を専攻。 普段使いの食器や陶器の創作人形などを制作していくなかで、「作った人形を動かせたら良いな」との想いを持ち、ユカイ工学に入社。 毎日の生活に欠かせない食器のように、生活に溶け込むロボットを作りたいと考えている。

今日はよろしくお願いします。
早速ですが、まずはじめに「Qoobo」を作ろうと思った経緯を教えてください。
最初のきっかけは、今年の春に社内で行われた“開発合宿”でした。
開発合宿……
具体的にどのような活動をするのでしょうか?
アイデアをみんなで出し合う合宿として年に1回社内で設けられているんですが、そこでは 普段は作れないけれどじつは作ってみたかったものをそれぞれが発表するんです。

社内のメンバー4人で話し合っていたのですが、私がちょうど実家から出て一人暮らしを始めたタイミングだったので癒されたいと思っていて。「帰ったら家にいてくれて癒してくれる“なにか”が欲しい」というアイデアを出しました。
たしかに、一人暮らしだと「寂しいな……」と感じる瞬間はありますよね。
そうですよね。そして、そこから“なにか”のためのアイデアをみんなで出し合ったんです。

最初は抱き枕のようなものもアイデアとしてはあったのですが、イヌやネコに癒されたいっていう思いがあったので、それを反映させるような形で「Qoobo」のアイデアを練っていきました。
そのアイデアが製品になる、という見込みはその段階ではあったのでしょうか?
いえ、全くありませんでした! あくまでもその合宿は「アイデアを出すため」の合宿だったので、製品化するとかそういったことは考えていなかったですね。

最初は自分の作りたいものとして考えていたのですが、「意外と自分以外にも欲しい人がいるのでは……?」と思うようになり、会社のサポートもあって製品化へと結びつきました。

そうなんですね! 実際に製品化しよういう話になったときは驚きもありましたか?
はい。「……本当に?」みたいな感じでしたね(笑) 驚きもありましたが、意外とみんな癒されたいんだということがわかりました。

それに、「Qoobo」は私の発案で製品化された初めての商品なので、そういう意味でも嬉しさが大きかったです。
実際の製品化にあたって、苦労された点や難しかったポイントなどはありましたか?
まだまだプロトタイプ(試作品)の段階なので、これから進化させたいポイントはたくさんありますが、一番難しかったのは「しっぽ」の動きですね。しっぽって本来なら動物が何を考えることもなく自然に動かすものだと思うのですが、それを意図的に開発するというのはとても難しかった部分です。


ロボットのような動きになってしまうと違和感を感じさせてしまうので、動きのなめらかさは動画などを見ながらかなり研究をしましたね。一方で、持ち主を飽きさせないための動きなどもまだまだ工夫が必要そうです。
飽きさせないための動きですか!
はい。ただ「触るとしっぽが動く」というだけでは飽きてしまうので、ふとしたときに勝手に動いて持ち主を驚かせたりするような反応も必要かなと思っています。

できるだけ“本当に生きていてそこにいる”という感覚を実現したいですね。

ネコに見えても“Qoobo”は“Qoobo”。新しい癒しを与える存在に

ここで、実際にプロトタイプ(試作品)の「Qoobo」に触らせてもらうことに。
待ちに待った「Qoobo」との初接触です。ネコっぽいシルエットに心をくすぐられます。

……!!! 想像以上のかわいさに声を失います。ふわふわ……。これは癒される……。
優しく撫でるとしっぽも穏やかに、ワシャワシャ〜と撫でるとブンブンしっぽを振って喜んでくれるのです。かわいい。欲しい。

そして、思っていたよりもサイズも大きいです。ひざの上に乗せて、撫でたり抱きしめたりするのにちょうどいいと感じました。

我が子のようなかわいさに、ついつい笑みがこぼれます。今まで緊張していた私も「Qoobo」に触れた途端この表情。

その後も高岡さんと話している最中だというのにこの笑み。もはや気の緩みが見え隠れします(これでも話はまじめに聞いています)。

本当にかわいいです! 今すぐ欲しくなっちゃいました。かわいすぎる……。「Qoobo」ってネコがモチーフなんですよね?
あ、いや、じつはネコがモチーフなわけではないんです……。(笑)
え〜〜〜!? ネコじゃないんですか!? むしろ、一体なにがモチーフになっているのでしょう?
「Qoobo」には、決められたモチーフが無いんですよ。
見た目の感じや色味からネコと勘違いされやすいのですが、ネコとかイヌとか特定の動物をお手本にしてつくった製品ではないんです。

「これはネコです」と言ってしまうとイヌ派の人には刺さらないだろうし、モチーフをあえて作らないことで、その人にとって一番癒しとなる動物を想像してほしいという思いがあるんです。
(ネコにしか見えなかったわたしは、ネコを欲してるのか……。)
たしかに、「ネコ」や「イヌ」のように動物の縛りを与えてしまうと自由の幅が狭まるかも。
誰にとっても癒しを感じられる存在でいてほしいと思ったので、おしり以外の余白の部分は、みなさんの好きな動物をイメージしながら楽しんでもらいたいなと思います。日本人って、そういう余白の埋め方がとても上手だと思うんですよ。
余白を埋められるのは日本人ならではの感性、ということでしょうか?
そう思っています。じつは以前、「Qoobo」を海外のメディア関係者に向けてお披露目したときには、「なんだこの不思議な生き物は!?」「日本人がまたヘンなもの作ったぞ…」という反応だったんです。イヌやネコというよりも、なんだか宇宙からきた生き物のような…。

海外の方は“おしりしかない生物”は不思議だと感じることがわかっておもしろかったです(笑)
確かにそう考えてみると、日本人は余白を楽しめる方が多いのかもしれませんね。
そうですね。だから、しっぽしかない「Qoobo」をなにか別の動物に当てはめてもらってもいいですし、できれば「Qoobo」というまた新しい存在として考えてもらえると嬉しいです。

様々な動物の動きを研究して生まれた「Qoobo」のメカニズム

そうは言っても、「Qoobo」の開発を進めていく上では、やはり何かの動物を参考にしたのでしょうか?
はい、もちろんさまざまな動物の動きを研究してしっぽの動きを再現しました。メンバーも動物園に行ってはいろいろな動物のしっぽの動きだけをメモして帰ってきたり(笑)。最初の頃こそはいろいろと試してみていましたが、最終的な動きの部分はイヌとネコを参考にすることが多かったです。

というのも、イヌとネコってしっぽの振り方に差があるんです。ブンブンと根元からしっぽを振るイヌと、なめらかにユラユラとしっぽを振るネコ。どちらも参考にしながら「Qoobo」のしっぽの動きをより自然なものへと近づけています。
なるほど!ところで、「Qoobo」は撫でるスピードや勢いでしっぽの動きが変わりますが、どういった仕組みで動いているのでしょうか?
しっぽの部分ではない丸い本体の部分に、加速度センサーが仕込まれているんです。このセンサーで振動や触り方を感知して、実際にしっぽの部分へ動きを伝達しています。

……よければ、少し剥いてみますか?

と、ここで、高岡さんのまさかのご提案により、「Qoobo」の皮を少し剥いてみることに。
親心が働いてしまって、なんだか恥ずかしいような見てはいけないような不思議な気持ち……。

「じつはこれ、ファスナーで開くんですよ!」と言いながら、どんどん開けていく高岡さん。あれよあれよという間に現れる「Qoobo」の中身……。

現れたのは真っ白な「Qoobo」。なかなか衝撃的な姿です(笑)

すごい! 完全に丸ごと取り出せるんですね。
そうですね。最近って、よくぬいぐるみの着せ替えを作っている女性の方がいると思うんです。そういう方に、服を着せ替えるような感覚で楽しんでもらえたらいいなと思って丸ごと着替えられるようにしました。
なるほど、女性ならではの視点ですね。たしかに、服を手作りしてオリジナルの衣装を作ったり販売したりしている方は最近よく見かけるようになりました。
はい。最初は着せ替えのようなものを販売しようかとも思ったのですが、ひとつひとつお金がかかってしまうのも大変ですし、自分の「Qoobo」だけのオリジナルの洋服って愛着が湧くかなと思っています。

「Qoobo」から広がる、“生活になじむロボット”という考え方

「Qoobo」を利用してほしい方や世代の層などは絞っていますか?
そうですね。最初は私と同じように一人暮らしをしている方に使って欲しいという思いで製作していましたが、今はたくさんの方に広まって欲しいという思いがあります。

実は以前、介護施設に「Qoobo」を持って訪れたことがあったんですが、施設にいる方々の反応がとても興味深いもので。
介護施設ですか! なにか変わった反応だったりがあったのでしょうか?
はい、普段はあまり笑わないといわれていた方も「Qoobo」を触ったら「かわいい!」と言ってくれたり、反対に「変なの!」といったリアクションを取ってくれる方がいたりして。

どちらにせよ「Qoobo」がコミュニケーションを築くきっかけになったのだと思うととても嬉しかったですね
そんなことが……! 「Qoobo」は医療系の大学の監修も入っているんですよね?
そうですね。まだ試験段階ではあるのですが、「Qoobo」が持つ“癒し効果”も実証できればと思っています。 今後改良・試験を重ねていく上では医療的な目線から見たリラクゼーション効果も期待したいです。
ちなみにユカイ工学さんでは、「Qoobo」以外にも癒し系の製品をつくられているのでしょうか?
いえ、現在は癒しをうたった製品は「Qoobo」のみですね。 ただ、ユカイ工学という会社は、人と人とのコミュニケーションを社内でも製品にも大切にしているんです。
社内でというのは、冒頭の開発合宿のようなことですよね。製品、というのは具体的にどのようなものが挙げられますか?
たとえばユカイ工学でもっとも代表的な製品のひとつである「BOCCO(ボッコ)」は、“家族をつなぐコミュニケーションロボット”と位置づけています。


こちらは、留守番中や遠く離れた家族とのコミュニケーションを大切にするために開発しました。
御社の製品は、発想もさることながら開発へのモチベーションがすごく高いように感じます。
そうですね。会社ですぐに製品開発ができるための機材が揃っていますし、エンジニアやデザイナーの距離感も近いので、すぐに発想を形にしてみる体制が整っています。「BOCCO」や「Qoobo」もそうですが、私たちの製品は普段なじみのないロボットを違和感なく使ってもらえるように開発を進めています。

「BOCCO」であれば小さなお子さんのいる家庭に、「Qoobo」であれば一人暮らしの女性など、それぞれのターゲットに合わせて良い意味でロボットらしくない、“生活になじむ”製品を開発していきたいですね。

癒やされたいを叶える「Qoobo」に会いに行ってみた!まとめ

インタビューに同席いただいた、CMOの冨永翼(とみなが・つばさ)さんもご一緒に!

今回は、心を癒すしっぽ型セラピーロボット「Qoobo」についてお話を伺いました。
まだまだ女性にとっては抵抗感のあるロボットの世界。しかし、「Qoobo」に実際に触れてみると、ロボットとは思えないほどの動きのなめらかさに驚かずにいられませんでした。

ロボット工学そのものの進化はもちろんのこと、ユカイ工学株式会社のみなさんの製品に対する強い思いや温かさを実感し、たくさんの方に「Qoobo」が広まって欲しいと願うばかりです。

まだまだクラウドファンディングにて支援を募っている「Qoobo」。
2018年夏の正式な販売に向けて、さらにしっぽの動きを改良していくのだそう。ロボットと聞くと大掛かりなもののように感じますが、「Qoobo」はプレゼントとしてもちょうど良いお値段で、沢山の方の手にとってもらえる日も近いのではないでしょうか。

今後の進化がますます楽しみ!みなさんも、販売された際にはぜひ手にとってみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


関連リンク

・ユカイ工学株式会社:https://www.ux-xu.com/
・Qoobo製品ページ:http://qoobo.info/
・Qooboのクラウドファンディング支援はこちらから:
https://www.kickstarter.com/projects/1477302345/qoobo

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この記事を書いた人
鈴木しの
鈴木しの 95年生まれのフリーライター。2016年にライターとして活動を開始し、現在は取材・インタビューを中心に活動している。人の気持ちに寄り添うような、エネルギッシュで活力のある文章が得意。