2017年2月4日

若者の就職先として ”林業” を普通の選択肢に ー 林業女子・入交律歌さんの考える、林業✕ITの可能性

立派な杉を使った林業が盛んな熊本県阿蘇郡の小国町(おぐにまち)。インフォテリアとも深いかかわりを持つ小国町の森林組合に若くして移住し、現在は貴重な”林業女子”としても注目されている入交律歌さんにお話を伺いました。


こんにちは!インフォテリア メディア編集部の田中です。
突然ですがインフォテリアでは、2015年9月より熊本県の阿蘇郡小国町(おぐにまち)と森林保全活動で提携を行っています。

具体的には、森林保全活動の一環として「インフォテリアの森」プロジェクトを行ったり、全国で9番目の企業としてウッドスタート宣言を行い、小国杉(おぐにすぎ)を使ったおもちゃやノベルティの制作にいち早く取り組んでいたり…。

また、当社のオフィス1階に2016年10月27日にオープンした「IoT Future Lab.」にも、この小国杉が至るところに使われていて、杉の香りとぬくもりがいっぱいに溢れる温かい空間を演出してくれています。

そんな取り組みの中で大変お世話になっているのが、熊本県小国町(おぐにまち)森林組合
記者会見にも実際にお越しいただくなど、これまで何度もご一緒させていただいていたのですが、その中に一人若手女性の姿が目立っていました。

入交律歌(いりまじり りか)さん、32歳。
とても明るく朗らかな入交さん。最初の写真で入交さんが紹介されているのは、小国町と連携している北九州市のYK STORES と北九州高専 Next Technologyとで共同開発された、人の表情を読み取るセンサーが付いた「小国杉のアロマディフューザー」です。

体温計などで有名なOMRONのエモーショナルセンサー技術を活用し、ストレスを感じた表情を感知すると自動的にアロマオイルが噴霧されるそう。また、近年話題のIOT技術を活用し、データの蓄積も行うことで、人が集まる空間の環境改善に役立つ効果も期待されているのだとか。

そんな最先端の製品について、自信を持ってプレゼンテーションされていた入交さん。地元では”林業女子”として多くメディア出演もされています。入交さんがメディアで取り上げられる度、小国町への移住定住がPRしやすくなる、また誰かさらってくるのでは!?と騒がれているそうで、まさに今この小国町では注目の人物なんです。

そんな入交さん、聞けばなんと小国町の出身ではないとのこと!
地元である高知県を離れ、林業という世界がこれからおもしろくなるはずだ!と思い立ち、自ら実践する人になろうと4年ほど前に移住されたのだそう。そんな異色のキャリアを持つ入交さんに、これまでの経緯や林業への想いを聞いてきました。

”林業” に情熱を注ぐ32歳、入交律歌さんの挑戦

林業のために、熊本県小国町に移住! … すごい熱意ですね。そもそもどういった経緯で林業に興味を持たれたのでしょうか?
最初に「林業」というものに興味を持ち始めたのは、高校2年生のときです。将来なにをやりたいだろう?と考えたときに、テレビや教科書で環境問題に触れることが多くあり、きっと10年後には環境ビジネスが盛んになっているだろうなと考えました。
自分が食べていくなら、林業だろうな、と。直感的に思ったんですよね。
直感的に林業!って。それもなかなか珍しいですよね。
その頃から林業の道を志していたのですか?
その想いが醸成されたのは、その後、大学院に入ってからですね。
私は、純粋に「杉が大好き!」というタイプではないんです。ただ、山が荒れると魚が採れなくなるとか、山から流れてくる土に鉄分やミネラルが含まれているからこそ農業ができているんだとか。大雨が降ったときに、土砂崩れを防いでいるのも、林業でしっかり保全されている立派な木があるからだとか。

そんな風に、直接的ではなくても、農業・建設業・水産業、あらゆる産業の中で、下支えになっているのが林業だということを、大学院などで勉強していて。そうした産業を、生業(なりわい)として粛々とやっている町の人の生き方や在り方みたいなのに魅了されて、この世界をもっと知ってほしいと気付けばここまで来た!という感じです。
森林組合でお仕事されるまでは、どういった仕事をされていたのですか?
九州大学の大学院を卒業してからは、福岡のマスコミ系の会社に入りました。
大学院ではすごくレベルの高いことを日々学んでいましたが、アカデミックな世界で完結していることが多くて。

もっとしっかりと情報発信の仕方を学ぶことで、皆に知ってもらうためのお手伝いができるようになりたいというのが、裏にあった想いでした。
確かに、同じ林業に携わるといっても、情報発信という切り口もありますよね。
現在森林組合でのWEBサイトやチラシ制作時のディレクションや、メディアやクリエイターのみなさんに見つけてもらえるよう常に発信しようとしているのですが、そうした姿勢はあの頃に学んだことが活きたからこそだとも感じます。
退職後は、当時の取材先でもあったNPO法人で3年ほど勤め、今の小国町森林組合に転職しました。小国町に移住したのもその時が初めてです。
確かに、小国町森林組合の公式サイト、すごくスタイリッシュだなあと思って見てました。でも、そこからの転職先が森林組合って、なんだか新鮮…!
今のお仕事の内容について、簡単に教えてください。
ありがとうございます!
そうですね、現在の業務は、木材や木製品・アロマオイルなど商品の受注販売や営業、企画やお客さまのアテンド、SNS等を活用した日々の情報発信など、木を使いたい人と接すること全般です。

他にも木の家づくり助成金の受付窓口をしたり、木材関係の施設の運営 をしたり、保育園や学校での木育の先生や、時には大学での非常勤講師などを業務として行うこともあります。

は、幅広い!
林業というと、現場での力仕事というイメージばかりでした。でも、実際に林業の現場に携わるお仕事してみて、どうですか? 理想と違った!なんてこともあるんじゃないかと思いますが…
そうですね、いい意味で違っていました。
田舎の林業の現場というと、新しいことになかなか手が出せない凝り固まったおじさんばかりで、しかも男社会だし女性は窮屈なのかもしれないと覚悟の上で来てみたんです。

ところが、全然違っていました!うちは上の人の方が若手よりも動くし、アイデアをたくさん持っている。
私が女だからといって軽くみることもなく、尊重して好きなことをさせてもらえる。むしろもうちょっと事務所に座って偉そうにしてもいいのに!と思うぐらいです(笑)。
なんだか私も、森林組合のイメージがどんどん覆されていきます…(笑)。
入交さんご自身は「林業女子」としてメディアに取り上げられることも多いかと思いますが、そんな風に注目されることについては、どう思いますか?
”林業女子” という世間では特殊カテゴライズされる存在だからこそ、活動を見てもらえるわけで大いにありがたいです。ただ、その特殊さをもてはやしていただくだけではなく、この業界がきちんと「仕事」になるんだという日々の泥臭いところも一緒に掘り下げていただきたい。林業が若者の就職先として、普通の選択肢になる。そう感じてもらいたいのが一番です。

林業女子なんて言われていますが、実際、そんなにかわい気のある存在ではないですよ。一次産業の中でも特にGDPが低く、斜陽産業と呼ばれる林業の世界だからこそ、私みたいな凡人でもいろいろやっていけるスキマがあるはずだと狙って入り込み、町が大切に育ててきた小国杉をダシに好きなことをさせてもらっている。
地元の人にとってはもはや寄生虫かもしれません(笑)。

林業に携わるってなんだか別世界のようなイメージもあるのですが、実際に入交さんがご自身のキャリアとして目指されている「ロールモデル」のような方っているんでしょうか?
難しい質問ですが、 モデルはいないのかもしれません。
他の企業に入ったとしても、きっと同じようなことをしていたと思います。

別世界のようかもしれませんが、私たち(森林組合)はクライアント(山主)の希望に応じて財産管理のプランを提案(木の管理や伐採、販売)します。そこで得た手数料で、別事業部では自社製品(木材)を企画開発(製材加工)し、販促して、結果から生産性を上げるにはどうするかをみんなで考える。普通の会社と一緒ですよね。

ただ、扱う素材が一般的になじみがないもの、育てるのに50年以上かかる息の長いもの、そして個人の利益の世界だけでなく、地域を守る公益的な性格を持つものというだけです。
確かにそう言われてみれば、普通の会社と一緒!なんとなく「林業」と効いただけで先入観がありますが、実際はそんなことないんですね。
一方で、現在一緒に色々と取り組ませてもらっているインフォテリアのようなIT企業に対しては、何か今後も期待されていることはありますか?
これに関しては、一つは山の現場の管理や生産の効率化を、IT業界の目線からぐいぐいアイデアを頂きたいです。 ドローンを飛ばして風に影響を受けずに、どこの山にどれだけの大きさの木がいくらあるかをデータ習得するとか、業者がVRで森の中から欲しい木を選んで、それがすぐに流通に乗るとか。

もう一つは、消費者と木材、森をもっと近づけるアイデアがほしい!
小さな町が木材を必死になって売るこれまでの仕組みって、その枠の中で考えるのはもう限界がきているのではないかなという気がします。でもその考えから抜け出せない。

IT企業だからこその新しいテクノロジーを活用した発想で、全く違う角度から切り込んでいただけると大喜びです。

入交律歌さんインタビューまとめ

今回は、熊本県小国町森林組合で働く、入交律歌さんにお話を伺いました。これまでのキャリアはもちろん、入交さんのお話の端々から、パワフルなお人柄と林業に対する野心が伝わり、非常に濃い内容のインタビューとなりました。

また実際に質問をしていく中で、私たちが「林業」というものに対して、強い先入観を持っていたことに気付かされるシーンも多くありました。入交さんの話されていたとおり、取り扱っている商材に日常的に馴染みがないとはいえ、実際の仕事は一般的な会社で行われている生産活動と同じ。そうした発見や気付きも、今後はもっと、当社との取り組みなども通じて発信していきたいと考えています。

入交さん、貴重なお話を本当にありがとうございました!
”様々な業界・産業の下支えとなる”という意味では、林業にも、IT企業にも同じことが言えそうですね。今後のインフォテリアと熊本県小国町が共に描く未来にも、どうぞご期待ください!

関連リンク

小国町森林組合ウェブサイト
小国町森林組合 入交律歌インタビュー「林業のここが私には刺さる」
インフォテリア、「IoT Future Lab.」を開設(プレスリリース)

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この記事を書いた人
田中 伶 インフォテリア株式会社 広報・IR室。メディアプランナー。 大学在学中に人材育成会社を立ち上げ、その後はスタートアップでPRや法人向けの新規事業立ち上げなどを経験。話題のビジネス書や経営学書の解説をするオンラインサロンを個人で運営中。難しいことをやわらかく、平たく解説するのが得意。