凋落?跳躍!

frogsleap440.png
 先日、Evernote社が主催し、TOYOTAなどが協賛するHackathonというイベントに審査員として参加しました。Hackathonとは、HackとMarathonを掛け合わせた造語で、ハッカーレベルのエンジニアが一同に集まって短時間でテーマに沿ったソフトウェアを開発しその出来を競い合うイベントです。
 エントリーは19チーム。制作時間は、実質丸1日しかありませんでしたが、本当にレベルの高い作品が多くて入賞作品の選定に困りました。審査員一同悩んだあげく、追加でゲスト審査員の古川さんと私がそれぞれ特別賞「Sam賞」と「Pina賞」を追加することにしたのです。


benzu440.png 「Pina賞」を受賞したのは、「べんず」というチームの「Otsukai」。子育て中の人をターゲットにした、プライベート買い物代行の仲介サービスです。プログラムの出来だけでなく、社会問題に技術で取り組もうという作品に共感しての選定です。ちなみに、「べんず」は、スマートフォン向けソフト開発ベンチャーのFuller株式会社のメンバーで構成されたチームです。
 昨日、Pina賞の副賞「シリコンバレーを擁するカリフォルニアのワインを飲みながら技術ベンチャーの将来を平野と語る会」を開催し、「べんず」の構成メンバーだった、Fuller CEOの渋谷さんと、チーフデザイナーの櫻井さんが参加してくれました。会場は、インフォテリアのIPO記念でできた「ワイン蔵」。選んだワインは、これからの2人の跳躍を祈念して「Frog’s Leap」のシャルドネ。カエルの「跳躍」を描いたエチケットのワインです。
 2人と話すうちに、Fullerという会社にどんどん興味が湧いてきました。Fullerという会社は、主として高専出身のメンバーで出来ています。オフィスはあえて都会でなく「つくば」の地に一軒家を借りています。メンバーは、22歳〜26歳という若さ。発想も価値観も面白く、しかもHackathonでも見せたように技術力も高い。投資家と直接交渉できるほど英語もバリバリ。さらに、渋谷さんと櫻井さんの信頼の絆がものすごく強くて魅力的なチームです。
 Hackathonでのレベルの高さをみるに、この2人だけでなく、他のチームのメンバーも同様に技術力、発想力、コミュニケーション力、実行力なども高いのだろうと容易に想像がつきます。そう、日本の若いエンジニアのパワーは大いに期待できると改めて感じるのです。
 日本企業の凋落が叫ばれていますが、問題は企業側が旧いハコのままなことでしょう。日本人は凋落してない。実際、デキる日本人エンジニアは、今回主催のEvernoteにもいるし、Googleにも、Facebookにも、Appleにも、Samsungにもいて世界に向けて活躍しています。一方で、政府があの手この手で支えようとしている企業には、こういうハッカーレベルのエンジニアは行かないんだろうなと考えると、「日本再生」を挙げた政策のベクトルはこれでいいのかと考えてしまいませんか?
 30年ほど前、私が日々徹夜でプログラミングをしていた頃、その頃はまさに「Japan as No.1」と言われた時代でしたが、その頃のエンジニアと比べると、エンジニアの国際競争力は上がっていると感じます。例えば、明らかにプレゼンテーションの能力が上がっています。「良いもの作ればいい」から「伝えてなんぼ」に明らかに進化しています。凋落なんかしていない。問題は、そういう連中の行きたい会社や、居たい社会になっているかということ。
 2人と話し込んでいるうちにあっという間に時間が過ぎ、つくばへの終電車の時間に。2人は「本当に刺激になりました」と言ってくれましたが、いやいや私の方が大いに刺激になった一夜でした。多謝!
関連記事:「ITと異業種の化学反応で新サービスを生み出せ」、“異種格闘技ハッカソン”開催 – ITpro


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

※日本語文字が含まれない投稿は投稿されませんのでご留意ください。