ネパール震災に想う、更地と桜とそして笑顔と

ネパールでの震災の状況がわかるにつれ、その被害の大きさに驚かされます。

日本も含め世界各国から早速支援の手がさしのべられていますが、
日を追う毎に犠牲者が増え、
日を追う毎に被災者の方々の環境が悪化している状況を見るに、
自然の力の前にして、人間の無力さを感じずにはいられません。

東日本大震災の時も同じことを強く感じました。

しかし、新しい災害が起こると、
報道においても、人々の関心においても、過去の災害は徐々に上書きされ、
忘れられてしまいがちです。

東日本大震災は今年の3月で4年が経ち、復興の活動は5年目に入りました。

4月の半ば、復興に向けた気持ち・思いを忘れないため、
インフォテリアが義捐金を委ねたNPOの一つ「ジャパン・プラットフォーム」で
宮城県を担当されている三浦隆一さんを仙台に訪ねて、
復興の現状を伺うと同時に、南三陸町と石巻港を自分の眼で視てきました。

三浦さんに説明していただいた「ジャパン・プラットフォーム」の最新資料には、
復興の状況が地域毎、カテゴリー毎に詳しくまとめてありました。
ご多用のところ、時間を割いたご説明いただき、
個別具体的な状況や課題を理解する事ができました。

たとえば、
仮設住宅をようやく出ることができて復興公営住宅に移られた方々の方が、
実は生活満足度が低くなっているということなど、新たな課題を知る事もできました。

また、ご存じの方も多いと思いますが、
内陸部では数字的にも復興の着実な進捗が見られるのに対して、
沿岸部は復興にあと何年かかるかメドもたたない地域が多いという状況です。

足を運んだ、南三陸町では、
シンボルとなっている赤い鉄筋の防災対策庁舎の周りは未だにトラックが行き交い、
解体できないままのビルの残骸の周りには、更地が広がっていました。

かつてそこにあったという商店街は、
少し離れた高い場所で、いまだに仮設のプレハブで
「南三陸さんさん商店街」として営業中です。

商店街を率いるリーダーの「志のや」店主の高橋修さんとお話しすると、
「不満を並べたらキリがありません。
多くのお客様に来ていただいて営業できていることに本当に感謝しています。
とにかく皆で元気に頑張り続けます。」
とその顔立ちに似つかわない(失礼!)満面の笑顔でおっしゃいました。
こっちまで反射的にニコッとしてしまうその笑顔に、
「大変ですね」「頑張ってください」という言葉を飲み込んでしまいました。

大変だからといってキツい顔でいる、
辛いからといってしかめっ面になる。
そういうことなく、感謝の気持ちと笑顔で居られる。
それこそがリーダーの資質であって、
だからこそ、この店にも商店街にも活気があるのだと感じました。

「大変ですね」「頑張ってください」と言おうとしたのが、
上から目線であることに気が付きか、恥ずかしくなりました。

石巻港では、桜が満開でした。

しかし高台にある桜の向こう側はいまだに更地。
更地の手前つまり高台の麓にある、夥しい数の新しい墓石が、
否が応でも眼に入ります。

その風景を視ていると胸が熱くなるのですが、
地元の方々は、満開の桜の下で、陽気に花見の宴を繰り広げられていました。
その宴や皆さんの笑顔を視ていると、
たまにやってくるような外部の人間だから感傷に浸っていられるのだと気がつきます。
地元の方々は、苦しみも悲しみも、心に体に焼き付けて、
その上で陽気に笑って花を酒を楽しんでいらっしゃる。
復興の状況がどうであろうが、時が止まったように感じられようが、
人々の時は流れている、そこに生活のひとコマひとコマがあると改めて気づかされます。

この場所に来なければ、忘れてしまいそうな自分に恥じ入り、
この場所に来て感傷に浸っている自分に偽善的なものを感じ、
自己嫌悪に陥りました。

このようなこともあり、
今回の東北行きは、ブログに書くつもりはなかったのですが、
ネパールの震災の状況を見るにつけ、
「やらない善よりやる偽善」という言葉を思い出し、

少しでも多くの人に、新しい災害が重なっても、
東日本大震災もまだ過去のものではないと、
一言伝えられればと思い、恥ずかしながらのエントリです。

IRroidは電気羊の夢をみるか?

昨日はエイプリルフール。私のささやかな個人ネタは、Facebookのアイコン替えでした。

昨年は、ソフトバンクのCMをパロったアイコンにしましたが、今年は、QUICK社が行っているIRroidというIR萌えキャラ「繋りあ」ちゃんに1日限定で変身!というのも、逆にIRroidのサイトでは1日限定で、萌えキャラが本物の社長に替わるというエイプリルフール企画が実行されたからです(笑)。

さて、このIRroidという萌えキャラは、その名の通り、企業のIR担当者の代わりをやろうという趣向です。SF「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」に出てくるような精巧なアンドロイドにはまだほど遠いものの、IRroidもさらに擬人化が進み、喋りだしたり、ロボット化されたりすると、いつの日かIR担当者いらずというところまで進化するかもしれません(笑)。

ところで、エイプリルフールには、各社が競って面白いパロディーを繰り出してきます。今年もいろいろ出て来たなかで、最も私のツボにはまったのは、東急ハンズラボの「UMER」でした。このパロディは、世界の先進都市でで普及している(しかし日本ではなかなか普及していない)「UBER」を知らないとわからないと思います。こういうネタを持って来るあたり、東急ハンズラボのアンテナの高さを感じさせますね。

この他にも、様々なエイプリルフール企画。年度始めで慌ただしいなか、くすっと笑わせてもらいました。各社のエイプリルフール担当の方、お疲れさまでした。ジョークやユーモアがあまり上手でないと言われる日本人とのその社会において、数多くの笑顔を生んだことと思います。

笑門来福。今年度も多くの皆様、多くの会社に福が来ますように。

日本のエンジニアスタートアップの環境は酷いのか?

元ソフトウェアエンジニアとして、また資金調達をしてスタートアップした一人として、大変気になるブログ投稿がありました。

【とあるスタートアップを抜け、CTOを辞めた話。

内容はまさにタイトルの通りなのですが、私が気になったのはそのなかの「日本のエンジニアスタートアップの環境の酷さ」という節。その中に、こういう記述があります。

「日本の、VCや投資家が技術が全く分かってないのだ」
「投資する側が、技術理解せずに、その先にあるマーケット、ビジネス、社会システムを想像できず、そして、それにリスクを負うことができない」

筆者の気持ちが分からなくはないですが、「全く」や「できない」ということはありません。インフォテリアも「XML」という当時は極めてニッチな技術でしかも、その専業でスタートしたにもかかわらず、理解をしていただいた投資家はいました。その後、15年以上の間、国内外のVCや投資家と付き合ってきましたが、国内で技術が分かっている人は少数ですが全くいないわけではありません。一方でシリコンバレーなどは技術がわかっている人は確かに多くいます。

では、なぜ「少ない」のか?これはエンジニア側にも問題があります。それは、

  1. 日本では、エンジニアスタートアップの数が極めて少なく、技術がわかるVCや投資家のニーズが少ない。
  2. 筆者が挙げているシリコンバレーにおいては、技術がわかる投資家の多くはエンジニアの経験がある。

つまり、国内ではエンジニアがエンジニアの枠内に留まったままずっと雇われエンジニアであるために、外に出てスタートアップするケースが少ない事、エンジニアの枠から外に出て経験を活かした別の仕事につく人が少ない事、に筆者が嘆く事象は起因しているのです。

「環境」について補足しておきましょう。国内の資金調達の環境ということから言えば、インフォテリアが創業した1998年よりも圧倒的にスタートアップ投資への理解も実行も進んでいます。一方で、ブログではシリコンバレーのY-Combinatorの存在が挙げられていますが、彼らが、何ミリオンUSドルというような大きな投資をするのではなく、ある意味VCへのフィルタリングのような存在です。また、Y-Combinatorを卒業してもVCのオファーを受けられない企業もたくさんあります。

インフォテリアもY-Combinator企業に複数投資していますし、社外取締役には、シリコンバレーのVCの現役CEO(Anis Uzzaman:彼も元エンジニア)がいるので、目の前の話として知っています。とかく、シリコンバレーは憧れ先行になりがちですが、日本に届いている記事や噂だけで判断しないよう注意が必要です。

いずれにしても、エンジニアがエンジニア外の事を嘆いているだけでは何も変わらず、エンジニアこそこういう状況を変えられるのです。

「日本のエンジニアよ、もっともっと外に出よう!」

これが私の言いたいことです。「外」は、いまの会社の「外」、エンジニア「外」の仕事、もちろん国の「外」だってかまいません。とにかく、エンジニアスタートアップは少な過ぎるし、エンジニアを活かして他の仕事をやろうという人も少な過ぎる。「マネジメントは格好悪い」だとか「お金のことを考えるのは格好悪い」だとか、エンジニア原理主義のようなものを聞く事があります。しかし、仕事である以上、役に立ってナンボ。お金は価値創出のバロメーターです。私は、元ソフトウェアエンジニアだったことを今でも大変誇りに思っていますし、だからこそ出来た事がいくつもあります。

ソフトウェア業界にいると、そして元エンジニアという立場にいると、エンジニアの嘆きを聴くことが本当に多いのですが、腕に自信があるなら、自信があるからこそ、外に出てみましょう!そこに新しい人生を創ることも、社会の変化への貢献もできるはずです。

生きているうちに「イスカンダル」に行くことになるとは!!

「イスカンダル」と言えば、「宇宙戦艦ヤマト」!私と同世代でなくてもそうでしょう。

「宇宙戦艦ヤマト」に出て来る「イスカンダル」は、地球から14万8千光年離れた大マゼラン星雲サンザー太陽系の第8番惑星です。地球と同じように生命体があり、宇宙戦艦ヤマトは、その星にあるというコスモクリーナーを求めて「♪銀河を離れ イスカンダルへ はるばるのぞむ〜」のでありました。

つまり私にとって、そして多分多くの日本人にとって「イスカンダル」とは、スクリーンの中の存在、自ら行ける場所ではない存在であったわけです。

しかし!正に今、私は「イスカンダル」に向う道中にいるのです。

しかも!宇宙戦艦ヤマトがワープを駆使しながら急いでさえ1年かかったという道中を、なんとこれから1時間で行くというのです。いくらインフォテリアが「ASTERIA WARP」を持っているからと言ってもリアルなワープは不可能です(笑)

と、書いている間に「イスカンダル」に着いてしまいました(笑)

シンガポールからバスで1時間弱。そう、ここはマレーシアの「イスカンダル」という場所(写真)です。「イスカンダル」は、マレーシア政府の肝いりで開発されている人工的な大都市です。2つの橋でシンガポールと陸続きになっています。この2つの橋から広がるように建設されていることからもわかる通り、土地の少ないシンガポールのエクステンション(拡張)という位置づけで開発されています。

地図でもわかる通り、「イスカンダル」は、シンガポールの国土(地図の下部の島全体)より広く、国境を挟んだ新たな経済圏となるべく積極的に開発されている場所です。既に、食品産業、ヘルスケア産業、教育機関などが誘致され動き始めています。残念ながら、イスカンダル地区開発局(IRDA)のプレゼンテーションの中には、日本企業は1つもありませんでした。(日本の商社がからんでいるプロジェクトはいくつもあるらしいのですが、個別に認識されるほどではないということです。)

今年は、アジア版EUと言われる「AEC」(ASEAN Economic Community)がスタートする年です。ASEANを構成する10ヶ国の域ないで「ヒト・モノ・カネ」がさらに自由化され1つの経済圏が生まれます。それに先行して、「イスカンダル」のように国境を挟んだ経済は既に東南アジアのあちこちで始まっています。例えば、ミャンマー南部⇔タイ中部⇔ラオス南部⇔ベトナム中部を結ぶ「東西経済回廊(East-West Economic Corridor)」や、バンコク⇔アランヤプラテート⇔プノンペン⇔ホーチミンを結ぶ「南部経済回廊(South Economic Corridor)」も発達してきています。日本は、海に囲まれているため、このような国を超えた躍動を感じることはありませんが、国が陸続きであることの違いとポテンシャルを改めて感じます。

「宇宙戦艦ヤマト」では、「イスカンダル」は悲しい最期を迎えますが、こちらの「イスカンダル」はASEANの成長やAECの発展に支えられ、新しい東南アジア経済圏をリードする存在になっていくことを期待して、地球の「イスカンダル」に足を踏み入れました。

新年快乐!ASTERIA Cloud Conference 2015

新年快乐!(中国語で新年を祝う挨拶)

中華圏では、今日から春節。いわゆる旧暦でのお正月にあたります。新暦上の新年は毎年変わりますが、今年は2月19日。その大晦日にあたる2月18日にインフォテリアが開催したプライベートカンファレンスが「ASTERIA Cloud Conference 2015」です。

ASTERIA WARPが最初にクラウド上で稼働するようになったのは、5年前の2010年に出荷開始したASTERIA WARP「4.5」というバージョン。それから5年を経て、来る3月に最新バージョン「4.9」を出荷します。「ASTERIA Cloud Conference 2015」は、この「4.9」の出荷を記念し、ASTERIA WARPのそもそもの製品コンセプトや、現在のアドバンテージ、これから考える未来を伝えるカンファレンスでした。

まず基調講演では、私がクラウド化の先にある21世紀型の企業IT、組織そして社会の革命的変化についてお話をしました。続くゲストのAmazon Data Services Japanマーケティング本部長の小島英輝氏の話は「イノベーション」、Amazon Web Serviceの歴史をひもとき、現在の実績や、将来像までお話しいただきました。

そして、私はその場で小島さんに、先頃発表され話題となっている「Amazon Aurora」へのASTERIAでの対応をコミット。逆に、私たちが日本でのリリースを首を長くして待っている「AWS Marketplace」の提供時期について小島さんに質問すると、小島さんから「日本でも近々にリリースする」とのコミットいただきました(笑)

ASTERIAの最新バージョン「4.9」の説明を行ったのは、ASTERIAシニアプロダクトマネージャーの森一弥。このバージョンのテーマが、「共存〜共に在在し、力を合わせて栄える〜」であり、クラウドと既存システム、現場部門とIT部門、ベンダーとユーザーなど様々な「共存」を実現するためのデータ連携としてパワーアップしたことをサイボウズ kintoneやAmazon Redshiftとの連携デモを交えて説明しました。

さらに、サイボウズ社との協力で完成したASTERIA WARPのkintoneアダプターに関して、第2子誕生でイクメン中のサイボウズ青野社長からもビデオメッセージをいただきました。

迫力があったのは、サイバーエージェントの中澤洋雄さんの事例講演。kintoneのアプリケーションとASTERIAのデータ連携で、「完全自動化への挑戦」という話です。曰く、「処理時間2、3割改善などというのではダメ、処理時間ゼロを目指している。」と。目標を極めて高く掲げることで、ブレークスルーが生まれるという背景に触れました。

そして、Publickeyの新野淳一編集長がモデレータを務めるパネルディスカッションでは、クラウドとデータ連携の関係に迫りました。

「ぶっちゃけ、クラウド時代にデータ連携が必要なの?」という素朴な疑問に、Amazonの小島英輝さん、サイボウズのkintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆さん、そしてインフォテリアの営業本部長代理の熊谷晋が切り込み、データ連携ソフトウェアの価値を明らかにしました。

雨にもかかわらず、満員御礼の会場。通常の会議場やホテルでの開催とは違い、360度スクリーンの丸い会場の中は熱気に包まれていました。ご来場いただいた皆様に深く感謝いたします。

インフォテリアは、「つなぐエキスパート」として、これからもクラウド連携をはじめ様々な「つなぐ」の先頭を走っていきます。

Egisonに見る「イノベーション」の「べき」と「たい」

2月3日(火)に開催された日本情報処理学会主催のSOFTWARE JAPAN 2015の招待講演として「日本のソフトウェアはもう世界に羽ばたくチャンスはないのか?」と題して話をしました。イベント全体のテーマは、「日本から破壊的イノベーションを起こすには?」ということでしたので、大まかに以下のような内容で話を構成しました。

・ソフトウェアの輸出入格差、日本の市場シェア
・ソフトウェア企業米国輸出/撤退の数々
・米国と日本の違い:技術以上に経営とマーケティング
・破壊的イノベーションを阻害する3つの罠+最大の罠

その中でも特に私が強調したのは、イノベーションを阻害する最大の罠である「『べき』の罠」です。

このようなイベントで「イノベーション」が話題になるときに、よく聴くのが、「イノベーションを起こすにはどうすべきか/どうあるべきか」という言説です。しかし、私にはこのような大人数での討議や活動の「べき」論からイノベーションが起こる気が全くしません。「べき」で語られることは、全て誰かがやっていること、言っていることです。一方で、イノベーションは、その定義により「斬新なこと」ですから、そもそも「べき」とイノベーションは対局にあるのです。

私は、イノベーションを生み出す源泉は「べき」ではなく「たい」であると確信しています。そして、なんと同じSOFTWARE JAPAN 2015で、まさにその実例に遭遇したのです。

その実例とは、本編の一連の講演ではなく、「ソフトウェアジャパンアワード」を受賞した新プログラミング言語「Egison」。「Egison」は、その作者の江木(Egi)聡志さんが東京大学在学時に、「より人間の直感に近い表現でコンピュータを使いたい」という思いから生まれた新しいプログラミング言語です。具体的には、コンピュータ処理の中でも重要な要素の一つであるパターンマッチングを簡潔かつ直感的に記述できます。


江木聡志氏ソフトウェアジャパンアワード受賞スピーチ資料より

江木さん本人の受賞スピーチでその説明を聴いて、この言語が、まさに江木さんの「たい」を実現するために作られたことと、この言語がプログラミング言語の歴史の中でも破壊的なパワーを持つ可能性を秘めていることを感じ、身震いがしました。

Egison」は、まだほんの一部でしか使われていませんが、「Ruby」に続いて日本発で世界で使われる可能性を秘めています。まさしく、大人数でイノベーションを討議するよりも、一個人の「たい」が実際にイノベーションを起こしていく好例です。プログラミング言語に興味のある方は、ぜひ「Egison」に触れてみてください。

《関連リンク》
Egison受賞プレゼン(Slideshare)
Egisonウェブサイト

外に出よう!リスクが高くても。

「イスラム国」による人質が大きな問題となるなか、
「外は危険」という議論や意識がまた高まりかねません。

しかし、インターネットが世界インフラとなり、
好むと好まざるとにかかわらず、あらゆるものが繋がってきています。
そして、それはこれからも加速します。

外には様々なものがあり、様々な人がいて、様々な考え方があります。
そして、それぞれが繋がっていきます。否応なしに。
いよいよ、中に居て、中だけしか知らず、中の考えだけで行動することが、
逆に存在意義も存在価値も危険にさらしていくのです。

だから、私は「外に出る!」行動を強く意識しています。

すでに昨秋からシンガポールに住み、日本の外に出ていますが、
「外に出る!」のは場所だけの話ではありません。
いままでの「思考」から外に出ること、
いままでの「方法」から外に出ること、
いままでの「常識」から外に出ること。

実際、外に出ることで、初めて見えることがあります。
中に居ては、いつまでもわからなかったことがあります。

「中に居る」のは安全で、変化も少なく、居心地が良いものです。
しかし、視座は変わらず、刺激も少なく、故に自分自身の変化も限定的です。

もちろん「外に出る!」ことには、常にリスクが付きまといますが、
より広い世界を見渡すための高い視座を手に入れることに価値があります。

なぜなら、繋がることによって世界はよりフラット化していくからです。
様々なボーダーが無くなり、中と外の垣根がどんどん低くなり、
組む先も、戦う先も、これまでにない所に存在するようになっていきます。

今からちょうど10年前に出版されベストセラーとなった
The World Is Flat」(邦題「フラット化する世界」)に描かれた「未来」が、
デジタル化、モバイル化、クラウド化によって現実になりつつあります。

これから、さらに世界はフラット化していきます。全ての産業で。
フラット化とは、その日本語における語感とは裏腹に、
均一化ではなく、多様化への流れです。
固定化ではなく、流動化への道筋です。

日本と同じく「国土も資源もない」シンガポールに、
さらにフラット化した世界を垣間みる事ができます。

例えば、
シンガポールに住む人の39%が移民(10%)と外国人(29%)です。※1
私の息子が通う小学校の生徒の出身国は60ヶ国を越えています。
その小学校の通知簿にはあるべき姿として「Risk taker」が明記されています。

日本社会にいまだ根強い抵抗のある「違いがそこらじゅうにある状態」が目の前にあります。
世界がもっと繋がっていくと、これは、他国の話ではなくなってきます。

文化を愛し、故郷に感謝しているからこそ、
外に出ることで、その違いのなかで、意味も価値もさらにわかります。

「外は危険」「外は大変」だからこそ、
外に出て、体力、知力を鍛え、パワーアップしようではありませんか。

※1 出典:「Population Trends 2014」by Department of Statistics Singapore

空の上の年越し〜飛翔へ

松の内も昨日で終わり、そろそろ正月気分も抜けてきたことと思いますが、皆さんは、今回の年末年始はどう過ごしましたか?

今回、日本では9連休になった人も多かったと思いますが、私は、昨年の秋からシンガポールベースとなっていますので、シンガポールのカレンダー通りに12月31日まで勤務しました。シンガポールでは、元日の1月1日だけが祝日で一般的に年末年始休暇はありません。ですので、12月31日は通常勤務して、その日の22時過ぎに発つ深夜便に乗り、元旦の午前6時に羽田に着きました。

つまり、年越しはシンガポール→羽田の機内です。
空の上で年を越したのは、実は生まれて初めてのことです。

さて、ここで1つの疑問が生じました。

シンガポールと日本では、1時間の時差があります。時差がある国の間を飛行中に年を越える場合に、新年を迎える瞬間はいつなのか?という疑問です。

シンガポール時間なのか?日本時間なのか?

さらに、ヨーロッパ→日本便のように複数の標準時を越える場合にはどうするのか?

空の上で年を越した経験があるという友人に聞いた話では、年越しの瞬間に、クルーがクラッカーを鳴らしてお祝いをしたという事例もあったので、いつもは離陸後すぐに寝るところを寝ずにその瞬間を待っていました。

しかし、日本時間の0時を過ぎても、シンガポール時間の0時を過ぎてもアナウンスは全く無いまま。そして、いつも通り、羽田に降りる1時間半ほど前に機内が明るくなり、「あけましておめでとうございます」というアナウンスがあっただけでした。

結局、「年を越えるのはどちらの時間か?」という疑問も年を越してしまうことになりましたが(笑)、空を飛んでいる間に2015年を迎えたことで、2015年の活動が大きな飛翔につながるに違いないと、験担ぎをした年始でした。

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

2015年の幕開けです。

今年の初陽の出は、しばらく厚い雲に阻まれながらも、

力強く昇り、そして眩しく光り輝いていました。

本年も、皆様にとって、

チャレンジを乗り越え、光り輝く一年となりますよう祈念いたします。

 

インフォテリア株式会社
代表取締役社長/CEO/CPO
(兼Infoteria Pte Ltd CEO)
平野洋一郎

UUIの先駆者となるか?「Flow」が人気です

インフォテリアの出資先、ドイツのSenic社が新しく発表した「Flow」という新しいデバイスが人気です。INDIEGOGO(インディゴーゴー)というクラウドファンディングで先行ユーザーの募集をしたところ、最初の10日間で目標金額の2倍をクリアしました。

Senic社は米国のY-Combinatorを卒業した会社の1社です。インフォテリアが出資していることは、いままで投資家向け情報でしか公開していませんが、昨年Y-Combinatorの卒業直後に出資を行い、支援をしています。

さて、この「Flow」という新しいデバイスは、コンピュータやスマートデバイスの操作を「画面の外」に持ち出して、人の体感を活かして制御するためのデバイスです。現在、コンピュータのソフトウェアの操作は、マウスにしろタッチにしろ全て「画面の中」で行いますが、「Flow」を使うと人間の手の感覚を活かして操作することができます。

例えば、私がよく使うプレゼンテーションソフトには図形を回転させる機能があります。そのユーザーインターフェイスは下図のようになっていて、回転角度を調整するには、のツマミをマウスで回す、の数字を直接入力する、の数値増減のボタンをマウスで押すという3通りもの方法が用意されています。①のツマミでの調整がGUI的には一見一番簡単そうに見えますが、実際はこのツマミをマウスで操作して思う所に合わせるのは容易ではありません。

そこで、「Flow」。「Flow」を使うと、このUIを画面の外に持ち出して、手の感覚で直接回転させることができるのです。まさに「直感的」。「Flow」は写真のように極めてシンプルなデザインですが、直感的な操作は「回転」だけではありません。他に、表面への「タッチ」、表面での「ジェスチャー」、表面からの「距離」など、さまざまなインプットをすることが可能です。このビデオを見てください。

重要なポイントは、このデバイスが「プログラマブル」であるということです。つまり、「Flow」は様々なアプリケーションや用途に応じて、手の動きとコンピュータの操作の関連性をプログラムできます。現時点では、まだPCやスマートデバイスの制御が主な用途となりますが、IoTがもっと普及してくれば、様々なIoTをシンプルに操作するUIにもなり得るのです。

コンピュータが、テキストのみの時代からグラフィックを駆使できるようになってGUI (Graphical User Interface)が産まれました。これから、IoTの普及によって様々な場所で様々なデバイスを駆使できるようになると、画面が無くても操作が可能なUUI (Ubiquitas User Interface)が産まれるでしょう。

Flowは、単に既存のGUIソフトウェアを使い易くするのではなく、そんな近未来のUUIを具現化した入力デバイスなのです。

ところで、世界のイノベーターたちに人気の「Flow」ですが、日本からの応募はまだ少ないようです。IoTに興味のある方は、こちらからぜひ一つ手に入れてみてください。

※最短で入手できる「Developer Edition」は既に売り切れです。