なぜ、ダイバーシティ採用を推進するのか?

11月12日、インフォテリアはLGBT※の方々を含むダイバーシティ採用の推進を発表しました。そして、テレビメディアや日本経済新聞をはじめ、IT分野以外も含めて多くの媒体に興味を持っていただきました。

特に今月から渋谷区で発行が始まったLGBTを対象とした「パートナーシップ証明書」を婚姻届と同等に扱う点などについて、一部で「先進的」と話題にしていただいていますが、実は私自身はむしろ遅れているという感覚すらあります。

というのも、私がインフォテリアを創業する前に10年以上勤務していたLotus Development Corporation(本社:米国マサチューセッツ州)では、今から24年前の1991年にHomosexsual couplesを通常の婚姻と同等に扱うということを始めていたからです。そして、Lotus社内でもおおっぴらにその方々の掲示板ができたり、イベントが行われたりしていました。 Homosexsualであることをカミングアウトしている人の中には凄腕エンジニアも、辣腕マネージャーもいました。そういう環境を経験してきたので、いま注目を浴びてきていることは社会的にも企業的にも「ようやく」という感覚があるのです。

多くの人は別性同士でカップルになりますが、様々な理由や本人の思いなどから多様なパートナー関係が実際に存在しています。「自分達がそうじゃないから」とマイノリティの人たちを「間違っている」と言わんばかりに排除するのは、まさに多様性を認めないことにほかなりません。ですので、インフォテリアはLGBTの方々に門戸を広く開くだけではなく、社内制度においてLGBTの方々のパートナーを通常の婚姻と同等に扱うことや、社員のLGBTをはじめとするダイバーシティへの理解を深めるための研修も行います。

もちろん、ダイバーシティはLGBTのことだけではありません。インフォテリアでは、これまでも国籍、性別、宗教などを問わずに採用をしています。東京本社オフィスでも約1割の社員が外国籍ですが、まだ不十分と考えています。なぜなら、世界を目指す企業において、多様なマーケットで受け入れられる製品開発、営業活動を行い、国際競争力を強化していくには、メンバーの多様化が不可欠だからです。シンガポールにいると、まさに世界中の様々な人たちがチームを組み、違う考えを尊重し合い、刺激し合い、新しい価値を生み出している現場に遭遇します。日本のモノタイプな考え方や心地よさに危機感を覚えるのです。

ところで、このようなことは、各社で粛々と進めればよいという意見もあるなか、今回あえて報道発表を行ったのには、2つ理由があります。ひとつは、私たちだけでなく、多くの企業が、同じようにダイバーシティを意識した経営をすることを「宣言」すれば、マジョリティ以外の人たちにとって働きやすく生きやすい社会づくりに貢献できると信じているということ。もうひとつは、企業にとっても、マイノリティの方々の能力を引き出すだけでなく、多様性からもたらされる刺激や組み合わせによって、生産性を上げ、イノベーションを促進することにつながると考えていること、です。

よりよい社会を作るための動きも、政府や自治体にお任せではなく、各企業でできることはまだまだ「そこにある」のではないでしょうか。


※LGBT = 女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、性同一性障害含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の頭文字を繋げたもの。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT

 

バック・トゥー・ザ・フューチャーの日


2015年10月21日午後14時29分。

「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のドクが、デロリアンで到着したようです。
まずはビデオを観てみましょう。

「未来は自分で作るもの (Your future is whatever you make it)」

ドクに言われるとまた重みが違いますね(笑)。

確かにドクのいう通り、「バック・トゥー・ザ・フューチャーII」で描かれた2015年10月21日と、今日はかなり違っています。例えば、

一方で、実現している未来もあります。

  • テレビ会議
  • タブレット端末
  • ウェアラブル端末

どうでしょう、実現していないものも途上というものも多いですね。まさに、未来予想が当たっていないということは、未来は確定していない証拠といえるのでしょう(笑)

映画が想定していた30年後の未来への旅。個々のモノの進化は予想の通りではなかったにしろ、30年間を振り返ると世の中で数々のイノベーションがあり、いまや30年前の世界に後戻りして仕事をしたり生活をしたりするのはかなり難しい状況だということがわかります。

ですから、これからの30年もさらにイノベーションは続き、世の中は変わっていくのでしょう。そしてそのイノベーションは、天から降ってくるものではなく、世の中の誰かが作っていくのです。つまり、未来は確定していないだけではなく、世の中の誰かが作っていくのです。

私の座右の銘に、アラン・ケイ博士の「The best way to predict the future is to invent it.」という言葉がありますが、ドクの言葉はまさにこれとかぶります。ドクの言う通り、予想通りにならなくても、これからも自らの未来を作り続けていこうではありませんか。デロリアンで、どの時代を見に来られても恥ずかしくないように。

(参考:ドクの発言全文)

“If my calculations are correct, it is now precisely October 21st, 2015. The future has finally arrived!  Yes, it is different than we all thought, but don’t worry, it just means your future hasn’t been written yet.  No one’s has. Your future is whatever you make it.  So make it a good one.”

ノーベル賞と研究開発の大切さ

日本中がノーベル賞受賞に湧いていて、その興奮はシンガポールにまで伝わってきます。

大村智博士、梶田隆章博士、本当におめでとうございます!

ひとりの日本人として、本当に嬉しいし、誇らしく思います。
新たな元気をいただき、ありがとうございます。

喜びの反面、一方で気になることがあります。
それは、日本がこれからもノーベル賞受賞者を輩出しつづけるのだろうかということです。

ノーベル賞は元来、かなり以前の研究が多くの今の人の役に立っている成果に対して与えられることが多いものです。実際、今回のノーベル賞受賞理由も2000年代に入る前の研究や開発です。大村智博士の場合、抗生物質「エバーメクチン」の発見が1979年、メルク社で薬剤「イベルメクチン」が開発され発売されたのが1981年。梶田隆章博士の場合、スーパーカミオカンデの建設開始が1991年、ニュートリノ振動確認の発表が1998年。昨年ノーベル賞受賞の青色発光ダイオードも同様に、1980年代に研究され、開発を経て実用化されたのは1993年です。

しかし、多くの方々が危惧されているように、国内では1990年代後半から大学でも民間でも研究開発において直接的な成果や収入を重視するようになり、長い時間かけてじっくり研究開発するようなことが減っていきました。大学では成果の出やすいテーマに予算が回され、民間では中央研究所が縮小され多くの研究員が収入に直結する部署に回されました。

研究開発には、多大な時間がかかるし、成就しないものも多く、つまり無駄も多いものです。研究開発に絶対はない。だから研究開発なのですが。しかし、それでも、或ることを探求するために、信じて、考えて、工夫し続ける。ハタから見たら、なかなか成果が見えない、進んでいるのかどうかさえわからない、いったい何やってるんだと言いたくなる。それが研究開発です。

言われたことを確立された方法でやるのであれば、成果も出やすいし、目の前の収入にも直結しやすいのは明らかです。しかしそれは、研究開発では無いし、ノーベル賞を受賞するような世界中に貢献するような成果に繋がることも難しいでしょう。失われた20年と言われていた間にどれだけの研究開発ができていたのか、その答えの一つがこれから先のノーベル賞ではないでしょうか?

企業における研究開発でも同じだと考えます。

日本のソフトウェア産業では、売り上げに紐付いていない研究開発費が売り上げの1%を切っている会社がほとんどです。ゼロの会社も珍しくありません。ですから、インフォテリアが、研究開発費を売り上げの1割近くも費やしている(2014年度実績)のを見ると奇異に見えるかもしれません。しかし、それが私たちの挑戦の形です。目の前のニーズに応えるだけでなく、世界に大きな貢献をしたい。だから、注文書をいただいたから作るのでなく、失敗があろうが、無駄があろうが、自らのテーマを研究し開発を続けるのです。

シンガポールが世界大学ランキングで躍進

世界大学ランキングの最新版が発表となりました。

このランキングは毎年発表されているものですが、シンガポール国立大学が昨年の第22位から第12位、ナンヤン工科大学(シンガポール)が昨年の第39位から第13位へ躍進しています。ちなみに第1位は米国のMIT(昨年第1位)、第2位は米国のハーバード大(昨年第4位)、第3位は英国のケンブリッジ大(昨年第2位)です。

評価項目は、Academic reputation(教育に関する評価:アンケート調査)が40%、Employer reputation(採用に関する評価:アンケート調査)が20%、Student-to-faculty ratio(生徒とスタッフの割合)が20%、Citations per faculty(論文の参照数)が20%、国外からの学生とスタッフの割合が10%となっています。(詳細

ハブ国家であるシンガポールの特徴として、シンガポール国立大学の国外からのスタッフの数が6割以上(MITやハーバード大よりも多い割合)と多いこともあり、国外から入学した学生の割合も3割を超えています。これは、国外からの優秀な学生を受け入れることができているということで、当の世界ランキングでも重きが置かれている教育の内容に関する評価や、卒業生を採用した企業の評価の高まりにつながっているのでしょう。

実際にシンガポール国立大学の関係者に伺ったところでは、大学の国際的レベルを上げるために、国外から破格の給与で教授を迎え入れているとのこと。今年5月に発表のあったイェール大学のStone Sweet教授のシンガポール大学への着任などもその一例なのでしょう。また、シンガポール国立大学では授業においても一方通行の講義とは異なる、議論や双方向性を重視した授業を取り入れ、学生個々の能力を高め、国際競争力の高い卒業生を送り出すことを強く意識しているとのこと。

この双方向型の授業で思い出すのが、東京工業大学における「Handbook」の事例です。東京工業大学では、アクティブ・ラーニングという手法に「Handbook」を用いて、双方向型の授業を行い、生徒の参加意識を高め、成績を上げることに成功されています。東京工業大学の他にも、九州大学や法政大学でも活用されている「Handbook」のさらなる普及を通じて、日本の大学や学生の国際競争力を高めることに少しでも貢献できればと考えています。

 

追記:2015/09/18〕世界の大学のランキングは、今回の「QS World University Rankings」以外にも複数あるので、紹介しておきます。

 

「インフォテリアの森」スタート!

ASTERIAシリーズ、5,000社達成記念の活動「Infoteria Green Activity」の第1弾として「インフォテリアの森」が、いよいよスタートしました!

「インフォテリアの森」は、熊本県阿蘇郡小国(おぐに)町にある、5,000本を超える杉の森。インフォテリアはその森の保全、例えば間伐や林道整備などにかかる費用を支援し、緑を中心としたエコシステムの持続に貢献していきます。

9月3日、そのスタートとしてインフォテリアは、「無印良品」の良品計画や内田洋行に続き全国で第9番目の「ウッドスタート宣言」を行い、熊本県阿蘇郡小国町で調印式を行いました。調印式では、小国町長の北里耕亮氏、小国町森林組合長の時松明弘氏、東京おもちゃ美術館副館長の馬場清氏と私の4名で署名を行い、地元テレビ局をはじめ13ものメディアにお越しいただきました。

小国は、「屋久杉」と並んで九州の杉材を代表する「小国杉」の産地。調印式の会場となった小国町森林組合の建物は、すべて杉材でできており、机や椅子などもすべて杉。特徴のある心地よい杉の香りが体を包みます。

調印式では、「Infoteria Green Activity」の第2弾も発表しました。それは、「小国杉を使ったおもちゃやノベルティの制作」。木製のおもちゃを社員やパートナー企業社員の子供に配り「木育」を推進したり、インフォテリアがイベントなどで配るノベルティに小国杉を使ったりします。例えば、調印式でお披露目した100%小国杉の「うちわ」。表面には、インフォテリアの得意技である”繋”の文字を大きな樹に見立てたデザインを、裏面には、「Made in Oguni, Aso.」の文字を。海外でも小国町をアピールできるように、英語としました。

調印式の後に、報道の方々と一緒に実際に「インフォテリアの森」へ。その約11ヘクタールの森の入り口には、真新しい「インフォテリアの森」の看板が設置してあります。看板とともに今回お世話になった北里さん、時松さん、馬場さんと一緒に記念写真を撮り、緑を守り、緑を活用し、緑を中心としたエコシステムへの貢献に思いを新たにしました。

「おもちゃ」がつなぐ、木と気と記と機と

素晴らしい施設に伺いました!
その名は「東京おもちゃ美術館」。

「施設」と呼ぶのが躊躇されるほど素晴らしい「空間」です。
私は「美術館」という名称から、古今東西さまざまなおもちゃが展示してある所だと想像をしていました。

しかし、実際に伺ってみると確かに古今東西のおもちゃがあるのですが、いわゆる展示はほんの一部で、ほとんどがそのおもちゃを使って遊ぶことができる空間だったのです。昭和10年に建築された旧四谷第四小学校の3階建ての古い校舎を使って、さまざまなおもちゃに触れ、実際に遊ぶことができるのです。この美術館を運営するNPO日本グッド・トイ委員会の趣旨に沿った、木を使ったおもちゃを中心に、昔からのおもちゃ、毎年応募がある新作おもちゃ、世界各国のおもちゃ、さらにはこの美術館のオリジナルのおもちゃなど、元校舎全体にところ狭しと置いてあります。

館長の多田さんに案内していただいた「美術館」は、まさにおもちゃのワンダーランド。旧小学校の家庭科室は、手作り体験ができる「おもちゃこうぼう」、理科室は、赤ちゃん限定の「赤ちゃん木育ひろば」。かつては教室だった部屋は、けん玉やコマなど日本の伝統おもちゃで遊べる「おもちゃのまち」や、世界中のアナログゲームで遊べる「ゲームのへや」など、それぞれのコンセプトに合わせたおもちゃがぎっしりつまっているのです。これなら子供はだけでなく大人でも何時間でも滞在して遊んでいたいと思うほど。スタッフの中には、外国語が堪能な方もいらっしゃって、海外からの来館者にもしっかり説明をされていたことも印象的でした。

圧巻は、1階奥にある木庭(もくてい)の部屋(写真)。インフォテリアのパートナーでもある内田洋行のスペシャルユニット「パワープレイス」の若杉さん率いるチームのプロデュースです。

ここは部屋の入り口の杉のトンネルから始まって、床も全面が杉、おもちゃも全て杉。コンセプトは、「石庭」を木で実現する「木庭」、写真のように、砂の代 わりに敷き詰められた杉、石の代わりにドーンと置かれた杉のオブジェが印象的です。木の香り、木の手触りがとても心地よい空間です。中では、多くの子供と 引率のお母さんとお父さんが遊んでいました。

「ここでは、携帯をいじっているお母さんはいません。子供をほったらかしにしているお父さんもいません。」

と、多田さん。見渡してみると確かにその通り。

「なぜですか?」と訊いたところ、

「木に囲まれ、木に触れることで、大人もリラックスできて楽しくなるんだと思います。」と。

確かに私もこの部屋に入っただけで、気持ちが落ち着くような、それでいてワクワクするような不思議な感覚に包まれました。木が多くの人の「気」に作用する、それを実感しました。

実はこの部屋は、すでに有名で、企業でもこの杉の部屋を作って欲しいという要望が多く来ていて、店舗のキッズスペースや、マンションの部屋として導入されるなど注目を集めています。

私が今回、「東京おもちゃ美術館」を訪れたのは、ASTERIAシリーズ5,000社突破記念として始めた「Infoteria Green Activity」の一環で、国産の木をもっと使っていくことに少しでも貢献しようという考えで、「ウッドスタートプログラム」に共感したからです。木を使う一つの方法として、小さな頃から木に触れる、つまり木のおもちゃや木のぬくもりを感じるようにということで、おもちゃ美術館は運営されています。

5,000社達成を記念をきっかけとして巡り合った方々と、自然を生かしたエコシステムの構築に、微力ながら貢献できる機会に恵まれたことを本当にありがたいと感じています。

なぜ「猛暑テレワーク」を始めたのか?

今日、東京では7日連続の猛暑日に突入。
「炎天下」という言葉がぴったりの日々が続いています。

インフォテリアでは、この猛暑対策として「猛暑テレワーク」の推奨を始めました。「猛暑テレワーク」とは、猛暑日(最高気温が35度以上)が予想される場合に、オフィスに出勤せずに自宅などオフィス以外の場所で勤務するものです。発表ではわかりやすいように(在宅勤務)と補足しましたが、実際には近くのカフェやコワーキングスペースなど、仕事のしやすい場所どこでもOKというものです。

この取り組みは日本初だったようで、IT系のメディアだけでなく、複数の新聞で取り上げられ、昨日はテレビ朝日の「報道ステーション」でも放送されるなど反響を呼びました。

一連の取材では、「どこもやっていない事に何故踏み切ったんですか?」とも聞かれました。しかし、「発想と挑戦」を経営理念のトップに挙げるインフォテリアでは逆に「前例がないこと」はやる理由にはなっても、やらない理由にはなりません。誰かがやり始めないと何も始まりません。今回もインフォテリアの取り組みが他の企業でも働く環境を工夫するきっかけになればと考えて発表したものです。

インフォテリアでは、2011年の東日本大震災を機に、タブレットの全社員配布や、自社製品「Handbook」を使った情報共有など、テレワーク環境の整備を進め、個人個人の事情による事前申請型のテレワークを行っていました。これによって、例えば、子育てなどの個別の事情に合わせた働き方の多様性を促進しています。

今回の「猛暑テレワーク」は、「良い仕事は、良い環境から」の考えのもと、猛暑日に満員電車で通勤する必要なく、快適な環境で良い仕事をしてもらうことを意図して決定・実施しました。実際、この夏FacebookやTwitterでは、会社に着くまでに疲れ切っている投稿も多く、猛暑時の通勤は無駄なエネルギーを費していることがよくわかりました。全社員にテレワーク環境の整っているインフォテリアなら追加のコストや制度構築なくすぐにでも始められたことも大きなポイントです。

具体的には、午前5時に気象庁から発表されるその日の最高気温が35度以上が予想される日に、仕事の予定上支障がない場合、上長の許可を得てテレワークを行うというものです。気象庁のウェブサイトに毎朝見に行くのが面倒という人のために、猛暑日の予報が出た場合にメールが届くサービスも「ASTERIA WARP」で開発しました。(開発期間:15分)

このようにITを駆使することで、働く環境を良くしていくことに、インフォテリアはこれからも取り組んでいきます。

初蝉に

私の師匠、堀場雅夫さんが旅立たれました。

享年九十。半年ほど前にお会いした時(写真)には、まだお元気だったのですが。

年に2回、事業報告を行い、指導をいただきに京都を訪ねていましたが、つい先月に予定されていた訪問は、堀場さんの体調がすぐれないということで延期になり、ご連絡をお待ちしていたところでした。。

堀場さんとの出会いは、20年前の1995年に遡ります。とは言ってもこの時は、私が一方的に影響を受けただけです。勤めていた会社がIBMに買収され、会社を辞めようかと考えていたところ、出会った本が堀場さんの「イヤならやめろ!」でした。辞めようとしている私の背中を押してくれると期待して読んだのですが、そのメッセージは「イヤというほどやったのか!?」という問いかけ。

私が辞めたい理由は、IBMというスーツな企業に買われたという「イメージ」だけで、その環境で「イヤというほど」頑張ったわけではないことに気がつかされました。そこで、私は辞めることを止め、IBM傘下でしばらく頑張ってみることにしたわけです。堀場さんの本に出会っていなかったら、なんとなく辞めてしまっていたでしょう。

1998年、「イヤというほどやった」と確信が持て、またその上で、自分のやりたいことのためには独立が最適だと確信ができたので、インフォテリアを創業しました。創業にあたっては、辞めずに頑張った最後の3年間で多くの米国の友人の起業を目の前で見ながら学んだ「米国型の起業」を日本に持ち込むことを企図しました。

それは、融資を一切受けずに投資によって多額の資金を調達し、スピードをもって企業を成長させ、IPOまたは売却によって投資家にリターンをもたらすという方法です。米国のソフトウェア企業の片棒を担いでいた私からみると、当時の日本のソフトメーカーは、日銭稼ぎに走り、融資で運転資金を調達し、新規の研究開発がなかなかできないという状況に陥っていました。それをなんとか変えたかったのです。

そこで私は、起業直後から投資家巡りをしました。そして「米国のように先行評価でベンチャー企業を成長させる」いうことを旗印に日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)という独立系VCを興したばかりの村口和孝氏に出会いました。話を聞いてみると、なんとNTVPには、堀場さんが出資されているではないですか!1999年3月に、インフォテリアはNTVPからの出資を受け、堀場さんは間接的な株主となりました。同時に一連の資金調達について報道発表を行いましたが、その会見には京都から堀場さんも上京しご登壇いただき、それが最初のリアルな出会いとなりました。

その時のスピーチは今でも鮮やかに覚えています。堀場さんは日本にもっとベンチャーを増やそうとの思いを語られ、特に心に残ったのは「日本の株は1株の単位が高すぎる。株式を馬券のように細かくすればもっとベンチャー投資が増える。」(注:当時は商法で1株5万円と決められていた)、「競馬などのギャンプルに毎年8兆円も費やしている。その1%でもベンチャーに回せば日本の起業環境は変わる。」と話された一節です。これがご縁で、私は毎年2回京都に伺い、事業報告と同時に経営指導を行っていただくことになりました。

それからインフォテリアの経営はしばらく厳しい時期が続きましたが、変わらずご指導いただき、2007年には東証マザーズに上場することができました。上場の感謝のパーティーは、どうしてもご報告と御礼がしたかったので、堀場さんの予定に合わせて日程を組ませてもらいました。そしてスピーチでは「世の中には本物と偽物がある。平野洋一郎は本物や。」と、身に余る言葉を頂戴し、感涙しました。

それからもずっと、年に2回京都を訪ねて、その時その時の事業の状況、経済の環境に沿って様々な指導をいただきました。堀場さんの部屋でランチをご一緒しながらのミーティングが多かったのですが、ある時、夕方の時間を指定されました。単なる時間の都合と思っていたら、「あんた、頑張ってここまでやってきた。ご褒美や。これから祇園に連れていく。」と。堀場さんと楽しい夜を過ごさせていただいたこともありました。

思い出は尽きません。日本経済新聞の「交遊抄」に取り上げていただく機会があり、その時も堀場さんとの出会いと交流を書かせてもらいました。できるだけ絞って原稿を書いたのですが、指定の文字数の3倍ほどにもなってしまい、かなり削った上で、堀場さんにもレビューしてもらい無事掲載となりました。(参考:「ソーシャルメディア時代の交遊抄」)その他にも、私が現在理事長を務めているMIJS (Made In Japan Software)コンソーシアムのイベントに基調講演でご登壇いただいたこともありました。

私が、堀場さんを師と仰いだのは、堀場さんが技術者社長としてベンチャー企業を興し、成長させ、一代で世界に役立つ企業を作り上げられた人だからです。元技術者で世界を目指している私がまさに目指す存在だったからです。ご縁があって、直接ご指導いただけることになり、他には相談できない経営課題なども含め、様々なご相談をさせてもらいました。(参考:「100年に一度の危機ではない!」)そして、その度に明快なアドバイスをいただいたのですが、いま脳裏に蘇る幾多の堀場さんの言葉を振り返れば、堀場さんのメッセージは一貫して「他に惑わされるな。王道を行け。自ら信じた道を行け。」だったのだと感じます。

まだまだ、その背中を追いかけ、指導をいただきたいと思っていた堀場さん。

先週末、堀場さんが愛されていた京都に赴き、思い出の地を回りました。

けたたましい初蝉の声の向こうから、
「もう頼らずに行け」と天国の師の声が聞こえたような気がしました。

師匠、安らかにお眠りください。

株主総会のお土産の舞台裏

今年のインフォテリアの株主総会のお土産は、ワインショップで有名なエノテカ様のジャムとクラッカーのセットでした(写真)。

国内の上場企業は約3,500社ありますが、そのうちの約73%が株主総会のお土産を用意しているそうです(東洋経済新報社2014年調査)。そのお土産はどうやって選ばれているのでしょうか?選び方については、特段決まりは無く各社各様ですが、件の調査によると消費者向け商品のメーカーは自社商品をお土産にされるケースも多く、お菓子などの食べ物も定番のようです。また、人気アーチストを抱えるような会社は、アーティストのグッズやライブという珍しい形もあります。

さて、インフォテリアはどうでしょうか。メーカーですから、できれば自社製品といきたいところですが、企業向けのソフトウェア製品のため、株主総会に参加される株主の個人の方々には、適切ではありません。また、法律で決まっているわけではありませんが、あまり高額なお土産を出すのも株主平等の原則からすると適切ではなく、だいたい500円〜1,500円ほどの品が相場のようですから、価格レンジとしても合いません。

そこで、インフォテリアが上場直後の株主総会から始めたのが、その年度に新たにお客様になっていただいた企業の商品をお土産にするという方法です。そして、その中でもインフォテリアのコーポレートカラーであるグリーンの商品か、包装にグリーンが使われている商品をお土産にすることにし、上場以来、いままで続けています。これまでの歴代の株主総会のお土産は以下の通り。

開催年 企業名 おみやげの商品 ユーザー
2008年 ベネトン様 グリーンのエコバッグ ASTERIA
2009年 味の素ゼネラルフーズ様 コーヒーギフト ASTERIA
2010年 ライオン様 石鹸とキレイキレイ(ハンドソープ) ASTERIA
2011年 日本食研ホールティングズ様 そらドレ(ドレッシング) Handbook
2012年 エーザイ様 ユベラ贅沢ポリフェノール(高級サプリ) Handbook
2013年 敷島製パン(Pasco)様 抹茶フィナンシェ(お菓子) Handbook
2014年 ツムラ様 バスハーブ(入浴剤) ASTERIA
2015年 エノテカ様 いちじくのジャムとクラッカー ASTERIA

毎年、新しいお土産を考えるのは、大変ではありますが、複数の候補のなかから絞り込んでいくのは楽しくもあります。

来年は、どんな候補が出てくるのか?それは、今年度の営業の成果でもあり、楽しみです。来年のお土産が気になる方は、是非インフォテリアの株主になって株主総会に出席してください(笑)

 

ASTERIA導入5000社突破!〜感謝のグリーン活動〜

ついに!この日がやってきました。

ASTERIAの導入社数が、5,000社を突破です!

ノン・プログラミングでデータ連携が出来るASTERIA(R2)を出荷したのが13年前の今日、2002年6月25日でした。初年度の導入社数は、たったの20社。そのペースだと、5,000社達成には250年かかる計算ですが(笑)、おかげさまで、13年間で5,000社を達成することができました。

これも、ASTERIAを評価・活用いただいいているユーザー企業の皆様、ASTERIAを推薦・販売いただいているパートナー企業の皆様など携わっていただいた多くの皆様のおかげです。また、製品の開発、マーケティング、営業、サポート等を担った社員一人一人の積み重ね無しには達成することは出来ませんでした。ASTERIAに関与していただいた全ての皆様に感謝いたします。

この皆様への感謝を、具体的に社会に還元すべく、「Infoteria Green Activity」という活動を始めます。この活動を通じて、グリーンをコーポレートカラーとするインフォテリアは、「地球環境・自然」 と「人間社会・産業」との間の「エコシステム」の構築に向けた施策を中長期的な視点で展開し、サスティナブルな社会の実現を目指します。

その第1弾として、私の故郷である熊本県にある小国町に生育する5,000本の樹木の保守管理を行いうことを発表しました。

実は、最初に思い立ったのは、5,000本の植樹です。卒業記念、ホールインワン記念、いろいろな記念植樹がありますから(笑)。しかし、5,000本の植樹をしたいと関係方面に相談したところ、「いま日本に必要なのは、樹を植えることではなくて、樹を切ることだ」という話に面食らいました。

どういう意味か?

いま日本では、木材の使用が減り、植えた樹が使われないために、森林は手入れをされずに放置されていて荒れていることが問題だというのです。

意外と知られていない事実(私も知りませんでした)ですが、日本は世界でも有数の森林大国です。国土の中で森林が占める割合を表す「森林率」が、日本は、フィンランド、スウェーデンに次いで世界で3番目に森林率の高い国なのです。「世界森林白書2010」※1によると、日本の森林率は68.5%で実に国土面積の約2/3強を森林が占めているのです。世界の森林率の平均が約31%である ことを踏まえると、驚くべきことですね。

一方で、これほどの森林大国であるにも関わらず、日本の木材自給率は28.6%(出典:平成26年度 森林・林業白書※2)に過ぎず、多くを輸入木材に依存しているのが実情です。 これほどの森がありながら自国の木材がなかなか消費されないことで、日本の森林は、今、荒廃の危機にされされているというのです。

そこで、私たちインフォテリアがまず取り組むことにしたことが、手入れが行き届かなくなった 5,000本の樹木の管理を請け負い、森林の再生を図ることです。そして、日本の木材の需要が高まれば、こうした問題はおのずと解消されるわけですから、 第2弾、第3弾では、間伐した木を木材加工品の原料として活用するなどして自律的に持続可能なエコシステムをもう一度復活させるための活動を行い、林業や林産業のエコシステムの復活に繋がるような社会に貢献していきたいと考えています。

よりグリーンな(地球環境を守りながら持続可能な)社会のために。微力ながら。

※1:世界森林白書2010  http://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/
※2:平成26年度 森林・林業白書 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/26hakusyo/pdf/6gai4.pdf