オウンドメディア「in.LIVE」スタート!

インフォテリアのオウンドメディアとして「in.LIVE」を始めました。

読者の中には「オウンドメディアって何?」という方もいらっしゃるかもしれません。英語で書くと「Owned Media」。つまり、自社で持つメディアのことです。広義では、自社ウェブサイトそのものやブログもオウンドメディアですが、狭義では、記事体裁のコンテンツで構成されるいわゆるオンラインメディアの形式をとるサイトをオウンドメディアと呼ぶケースも増えているようです。

ソフトウェア業界で有名な狭義のオウンドメディアとしては、サイボウズの「サイボウズ式」があります。業界を越えると、ライオンの「Lidea」や、資生堂の「Beauty & Co.」などが有名です。

インフォテリアも、コーポレートサイトを含めて、製品毎にサイトを立ち上げブログも展開するなど、広義のオウンドメディアを通じた情報発信は以前から行っています。今回、それらに加えて新たに「in.LIVE」を始めたのには、理由があります。それは、ウェブマーケティングが徐々に自社や自社製品への「囲い込み」から、ユーザーや顧客の方々からの「囲われ込み」に軸足を移してきているからです。

昨今、FacebookやツイッターなどのSNSやキュレーションの発達によって情報発信が一方通行では無くなってきています。つまり、オウンドメディアで企業が発信したコンテンツを、いかにしてSNSなどで拡散されるように仕掛けるか?企業側がどう取り上げるかではなく、個々人にどう「取り上げてもらうか」が重要になってきているわけです。

また、インフォテリアが様々な技術の最前線に立ってビジネスを進めて行く上で、直接自社のソフトウェアには関係しなくても、多くの人にとって有益であろう情報にたびたび触れます。そうした情報を、もっと幅広く、個々人の感覚に近く、考えること、感じることを発信していこうと考えました。

そこで、「in.LIVE」の全体のテーマは「人を感じるテクノロジー」。

インフォテリア製品にかかわらず、関連分野や興味の湧きそうな技術とそれに関わる人にスポットライトを当てて、ユーザーや顧客の方々にかかわらず、幅広い人に少しでも興味をもってもらえる話題が提供できればと考えています。

「in.LIVE」の編集長は、台湾情報サイトの運営でも活躍中の田中伶(広報・IR室)が務めます。これまでの、ビジネス書キュレーションや、スタートアップ企業での広報の経験を活かしながら、「人を感じるテクノロジー」を積極的に発信していきます。ぜひご覧になってください。

URL https://inlive.infoteria.com/

ソフトウェアジャパンアワード2017受賞

「ソフトウェア ジャパン アワード」という賞を聞いたことがあるでしょうか? これは、(一社)情報処理学会が主催し、年に1度、個人に与えられる賞で、下記のような人に与える賞とされています。

日本発の世界に誇るソフトウエアの研究者、開発者、技術者で、情報技術分野において特に産業界への功労がありその業績が顕著であると共に、今後の産業界への活躍が期待できる方へ贈呈。 (情報処理学会ウェブサイトより)

この賞は、これまでにiモードの夏野 剛さん、Rubyのまつもとゆきひろさん、TRONの坂村健さんなどが受賞されていて、昨年はチームラボの猪子寿之さんが受賞されています。このように、日本のソフトウェア界を代表するような方々が受賞されている賞ですが、今年は驚くべきことに私が受賞することになりました。 受賞の連絡をいただいた時には、正直に言って驚きました。受賞理由は以下の通りとされていますが、ソフトウェアに陶酔して大学を中退して以来、2つの会社で学んだことをベースとしてインフォテリアを起業し、やりたいことを精魂込めてずっと続けて来ただけなのです。

平野氏は、日本発のXML専業ソフトウェア開発ベンダとして1998年にインフォテリア社を起業した。その代表製品である、「ASTERIA」は導入企業5,000社を超え、データ連携ミドルウェア市場で9年連続国内トップシェアを継続している。また、XMLコンソーシアム(現先端IT活用コンソーシアム)の立ち上げや、2016年の「ブロックチェーン推進協会」の立ち上げなど、新技術を中核とした業界コミュニティの活動にも熱心に取り組んでいる。コミュニティ活動による技術者育成、市場への新技術の浸透への貢献も大きい。事業のグローバル化を見据えて近年は活動拠点をシンガポールに移し、更なる活躍が期待される。

聖人君子ではないので、私も社会貢献を第一に活動しているわけではなく、その根っこの動機は極めて個人的なものです。そこで、表彰式での受賞スピーチでは、なぜ私がこういった活動をしているのかの根っこの話をさせていただきました。以下、その抄録です。(長文)

「I have a dream.」という有名なスピーチがあります。
ソフトウェアに関して、私にも夢があります。今日は、その話をします。

それは、「ソフトウェアを日本の輸出産業にする」という夢です。

私は、ソフトウェアは産業財として
資源も国土も乏しい日本に適していると確信しています。

なぜなら、ソフトウェアを造るために、資源や原材料を輸入しなくてもよいからです。
そして、製造にあたって大規模な工場を作ったりする必要がないからです。
さらに、いまではソフトウェアは世界中に一瞬で届けることができます。
Windows, Mac OS, Android, iOSなど稼働環境も課金ネットワークも世界中でフラット化してきました。 それなのに、日本の多くのソフトウェア開発企業は、日本国内だけでしか事業を行っていません。

なぜか?

それは、ほとんどが「受託開発」というスケールしないビジネスモデルになっているからです。一つの顧客から注文書をいただいて、その注文通りに開発して、注文者に納めるというビジネスモデルです。このモデルでは、売上を伸ばすためには、それだけ人手が必要となって、スケーラビリティに乏しいのです。

一方で、世界で活躍しているソフトウェア企業は、どうでしょうか?Microsoft、Oracle、Google、Facebook。注文書をもらってその通りに開発して納める受託開発はやっていません。製品開発でありサービス開発です。どこからも注文書は来ないのに、自ら考えて、開発して、どうですか!と言って世に提案するのです。

このように、おなじソフトウェア開発業でありながら、日本と欧米のビジネスモデルは大きく違っていて、構造的に世界で勝負できるようになっていないのです。

私は、その状況を打破し、日本から世界中で使われるソフトウェアを開発するために、米国型・シリコンバレー型の企業としてインフォテリアを起業しました。

その理由は、私の少年時代にまで遡ります。

私は、小学校時代から半田ごてを握っている電子工作少年でした。
愛読書は「ラジオの制作」と「トランジスタ技術」。
高校に入ってすぐに、愛読書に載っていた「マイコン」に衝撃を受けました。

それまでは、「別のことをやる」には「別の回路を設計する」必要があったのですが、「マイコン」では、「別のことをやる」ために別の回路を設計しなくても良いのです。同じ回路のままで、計算ができたり、カウンターができたり、ゲームができたりしました。
これは電子工作少年にとっては「青天の霹靂」でした。

そこから一気にソフトウェアにのめり込みました。
高校での授業中もノートを取るふりをして机上プログラミングをしていました。
最新のコンピュータがあるという噂を聞いて、熊本大学工学部に進学しました。
しかし、1年生、2年生はコンピュータの基礎を座学や古いマシンで習うだけで、
最新のコンピュータなど使わせてもらえません。

「大学の4年間は無駄だ!」と考えて、熊大マイコンクラブの1つ学年が上の先輩と大学を中退しました。そして、アルバイトをしていたマイコンショップでソフトウェア開発組織を作りました。これがキャリーラボという、熊本から日本中にソフトウェアを提供していた会社です。

今、米国では、スタンフォード大や、イリノイ大や、ジョージア工科大やMITなどの大学の周りで多くの企業がスタートアップすると指摘されています。しかし、日本にも以前は各大学の周りに、卒業生や学生がスタートアップしたソフトウェア企業があったのです。
・北大のハドソン
・東大のサムシンググッド
・阪大のダイナウェア
・九大のシステムソフト
そして、熊大のキャリーラボという風に。

当時、これらの会社が開発していたソフトウェアの領域は多岐にわたっていました。OS、プログラミング言語、ゲーム、ワープロ、業務パッケージまで。しかし、各社とも組織が大きくなってくると同時に、外資系の参入によって、経営が厳しくなると、受託開発に走るようになってきました。

私は、自分で開発した日本語ワープロが「日本一」を受賞して、次は「世界一」だということで、当時マイクロソフトより大きくてソフトウェア起業としては世界一の売上だったボストンに本社があるロータスという会社に入りました。

ロータスではマーケティングをやらせてもらいましたが、私が外国製の製品を担いで売っているときにも、国産のソフトウェアベンダー日銭稼ぎに走り、研究開発投資も先細り、どんどん衰退していきました。

一方で、本社のある米国では、優秀なエンジニアがどんどん新しい会社を作り、すぐにアイディアを形にして、ヒット作を世に送り出していく姿を目の当たりにしました。

ソフトウェアエンジニア時代は、私も例に漏れず「良い物を作れば良い」と考えていましたが、完全に甘い考えだということを悟ったのです。 そして、欧米のやり方を研究して、世界と渡り合っていくためにソフトウェア開発企業として最低限必要な3つのことを悟りました。

1つめは、製品開発に集中し、受託開発をしないこと。
2つめは、投資家と組むこと。
3つめは、フォーカスすること。

受託開発がスケールしないことは既に話しましたが、2つめの「投資家と組む」とは何でしょうか?エンジニア時代の私もそうでしたが、なんとなくお金を避けているところがありました。中にはお金を汚いものと考えている人さえいます。しかし、シリコンバレーでもボストンでも、ミリオンドル(億円)単位の投資を受けることで、長期間全く売れなくても優秀なエンジニアを雇い、短期間で製品開発をすることができるのです。日本の日銭稼ぎと並行の製品開発とはスピードが全く違います。

3つめの「フォーカスする」とは何でしょうか?これは一点突破することです。一点突破することで、その小さな領域ではスタートアップが大企業を勝ることができる可能性が高まるのです。例えば、インフォテリアでは、XMLにフォーカスしてXML事業のために27億円を集めました。あの当時XMLの研究を始めていた大企業もありましたが、27億円の投資をできた大企業があったでしょうか?

そして、またフォーカスは2つめの大きな投資を小さな会社が受けられる理由でもあるのです。 一方で、典型的な日本のソフトウェア開発会社は、受託開発の片手間に製品開発をやる。投資家とがっつり組まない。優秀なほど「何でもできます」と言ってしまうのです。これは経営者は安心かもしれないけど、デジタルコピーに基づくスケーラビリティというソフトウェア最大のメリットを捨てているのです。

では、3つの悟りによってインフォテリアが世界展開に成功したかというと、そうではありません。インフォテリアの海外への挑戦はすでに3回目なのです。

2000年にボストンに子会社を出して2002年に撤退。
2005年にシリコンバレーに子会社を出して2009年に撤退。
2012年にサンフランシスコの企業を買収してInfoteria Americaに改名。

現在のチャレンジはすでに3回目なのです。
未だに海外の売上は微々たるもので、この3回目が成功するかどうかはわかりません。 「3度目の正直」になるのか?
「2度あることは3度ある」になるのか?

しかし、3回目がうまく行かなくても、インフォテリアである限り、海外へのチャレンジを続けます。なぜなら、世界で通用するソフトウェアを開発して、世界で使ってもらうために創った会社だからです。

もちろん、実現は簡単ではありません。過去、多くの企業向けソフトウェア会社がトライしましたが、まだ成功した企業はありません。しかし、私は誰かが野球でいう「野茂英雄」になれると確信しています。そして野茂が出れば、野茂と同じようにその後に多くの企業が続くことを。

私は夢を持ち続けます。
「ソフトウェアを日本の輸出産業にする」という夢を。
I have a dream.

驚き!cloudpack(アイレット)との協業、その先へ

AWS (Amazon Web Services) 導入実績No.1の実績を持つ「cloudpack」を運営するアイレット株式会社と協業し、新ラインアップの「ASTERIA WARP Core」との組み合わせによる新サービスの提供開始を、1月23日に発表しました。その記者会見は、翌24日に各種メディアに幅広くカバーされましたが、そうしたら25日にKDDIさんがアイレット株式会社を子会社化するとの発表が!

大変驚きました。「タイミングを狙ったんですか?」と外部の人からも聞かれましたが、こんな重要なインサイダー情報を事前に知っているわけがありません。2日前に記者会見したばかりの齋藤社長にメッセンジャーで驚きと、お祝いと、今後への期待をお伝えしました。

「cloudpack」は、AWSにおいて5年連続でプレミアコンサルティングパートナーを獲得(国内で5年連続はアイレットとNRIの2社のみ)し、技術力と実績では確固たるポジションを築いていますが、これからはKDDIグループのもと、さらに信用基盤も高め、幅広い営業展開が可能になりそうです。新サービスの導入目標の100社という高い目標も、KDDIグループ入りで前倒しで実現できそうに思えてきます(笑)

日本では、いまだに「子会社化」や「買収」といった話にネガティブなイメージを持つ人が多いようですが、最近は今回のような明確にポジティブなケースも増えているのではないでしょうか?KDDIさんは、クラウドインテグレーションに信頼と実績のあるチームをグループとして手に入れ、さらなる成長を目指すcloudpackは、信用とスピードを手に入れるのです。

アイレットは、インフォテリアが新しく始めたASTERIAサブスクリプションパートナーの第1号ですが、幸先の良いスタートに大いに期待を膨らませています。

なぜ、「パンゲア 2.0」を始めるのか?

 

昨日(1月12日)、インフォテリアは「パンゲア 2.0」というスタートアップ支援プログラムのスタートを発表しました。このプログラムは報道発表にもあるように、世界を目指すスタートアップを支援する制度です。その内容は、報道発表を読んでいただくとして、ここでは何故このようなプログラムを始めるのかをお話ししましょう。

その理由は一言で言うと「恩送り」。話は、インフォテリアの創業時、いまから18年ほど前に遡ります。インフォテリアは、多摩川の河川敷の近くの六畳一間のアパートで創業しました。その時に問題になったのが、お客様との商談や、採用面談の場所でした。スタートしてすぐの資金のない会社にとって、交通の便の良い山手線沿線の会議室を借りるお金は無いし、喫茶店のような場所は企業向け製品の商談にはカジュアル過ぎました。

その時に、五反田駅のすぐ近くにあった私の前職の会社に、会議室とワークスペース(机、椅子、ネットアクセスなど)を1年間無償で提供していただいたのです。これには、本当に助かりました。お客様や、採用面談のためだけでなく、メディアからの取材や、投資家との打ち合わせなどにも使わせてもらいました。さらには、セミナールームでの製品説明会や記者会見も行うことができました。これら全てを貸会議室で行っていたら、そのコストは100万円を超えていたのは間違いありません。

インフォテリアは、いまではお陰様で上場も果たし、またオフィスは大井町駅という大変便利の良い駅(知ってましたか?)から徒歩3分のところに立地しています。昨年10月に、オフィスを大幅に増床し「IoT Future Lab.」(略称:イフラボ)を開設したことで、会議室、セミナールーム、コワーキングペースも広がりました。そこで、このスペースをスタートアップの皆さんにも無償提供し、インフォテリアが以前受けた「恩」を送りたいと考えたのです。

登録の条件は、「世界を目指すスタートアップ企業」であること。私たちとしては、特に、インフォテリアが注力をしている分野、例えば、IoTやブロックチェーン関係の企業を歓迎します。また、東京に拠点がない地方の企業も歓迎します。

実は「2.0」の名称が示す通り、このプログラムは、以前から提供しているプログラムのバージョンアップ版です。以前は、提供できるスペースも決して広くはなかったのですが、今回が総面積で530㎡のスペースが対象と大幅にアップグレード。さらには、私や社外取締役であるAnis Uzzamanへの経営相談、交流を促進する月に1回のワインパーティなどの新プログラムも用意しました。

大幅にバージョンアップされた「パンゲア 2.0」では、全体のディレクションを行うディレクターとして株式会社54代表取締役の山口豪志氏を招聘し、いまどきのスタートアップのニーズに合った展開をしていきます。新規登録の第1号企業として、株式会社Tears Switchを紹介しましたが、総数20社程度を支援することができればと考えています。また、インフォテリアとしては「恩送り」が主旨ではありますが、このような熱気溢れるスタートアップの人達と接点が増えることで、私たちの「発想と挑戦」への刺激がもらいたいと副次的な効果も期待しています。

最後に「パンゲア」の名前は、現在の5つの大陸に別れる前の原始大陸の名称です。私たちは、「パンゲア」から、五大陸で活躍するスタートアップが生まれることを期待しています。

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

おかげさまで、昨年もインフォテリアは
いくつもの実績と挑戦を積み重ねた年となりました。

主力製品の「ASTERIA」は10年連続で市場シェアNo.1を獲得し、
10月には最新バージョンと、クラウド時代に即した
新たなラインアップ「Core」を出荷しました。

「Handbook」は、インバウンドのための多言語コンテンツや、
地方自治体における災害発生時のBCP活用までその領域を広め、
社会の要請に応えるサービスとして大きな進歩を遂げました。

業界における活動としては、
一般社団法人ブロックチェーン推進協会を立ち上げ、
代表理事に就任し、ブロックチェーンの普及活動を推進。

さらには新しい時代の働き方の啓発に向けて、
テレワーク導入拡大やLGBTの採用強化に向けた積極的な
取り組みを実施してきました。

2017年は、「3つのD」(Data, Device, Decentralized)に
象徴される時代の潮流を先取りする新製品の提供を
開始するとともに、新たな協業関係の構築などにより
お客様の現場における価値創造を一層加速させてまいります。

2017年も、インフォテリアをどうぞよろしくお願いいたします。

平野洋一郎

ブロックチェーン大学校、修了者が100名を突破!

一般社団法人ブロックチェーン推進協会(略称:BCCC)が、今年8月に「ブロックチェーン大学校」をスタートしてから、その修了者が100名を超えました。

同じ今年8月には、ロイターが日本のブロックチェーン技術者不足を指摘していました。それから修了者が100名を超えたと言っても、データベース技術者やJava技術者などに比べると2桁も3桁も少ない数字です。これから社会へのブロックチェーンの幅広い普及を考えると、ブロックチェーン技術者はまだまだ圧倒的に足りないと言えますし、現に、AI等で無くなる職業が増えるなかブロックチェーン技術者が仕事として有望であるという記事も出始めています。

ところで、「ブロックチェーン技術者」という定義について誤解を受けがちなことがあるのでクリアにしておきましょう。一般的に圧倒的な不足していると言われているブロックチェーン技術者とは、ブロックチェーンそのものを開発することのできる技術者ではなく、ブロックチェーンを使うことができ、適切な実装ができる技術者のことです。「データベース技術者」がデータベースそのものを開発する技術者を指さないこと、「Java技術者」がJavaそのものを開発する技術者を指さないのと同じです。定義がわかれば、データベース技術者やJava技術者の数に対して、100名という数字がいかに小さな数字かということがわかるでしょう。

では、ブロックチェーン技術者を育てるにはどうしたら良いのか。国内では、まだ体系立てた学習のカリキュラムは、BCCCの「ブロックチェーン大学校」しかありません。ブロックチェーンの普及を推進する団体としては、他にもブロックチェーンの教育が始まることを願っていますが、現在のところまだ1つです。

「ブロックチェーン大学校」では、現在ブロックチェーン技術の基礎を固めるための実習を含めた、2ヶ月間8回にわたる講座を実施しています。ブロックチェーンの起源であるビットコインのブロックチェーンを題材に、その基礎について体系立てた学習を行います。すでに2期を修了し、2017年1月開講の第3期の募集も開始しています。受講のためには、BCCCへの加盟が必要ですが、そのハードルは高くありません。

BCCCそのものは、本日現在で加盟社数が109社となりました。最近では、三井住友海上火災保険、あおぞら銀行、阿波銀行などの金融機関に加えて、丸紅、ぐるなび、日本NCRなど幅広い業界からの加盟が加速し、ブロックチェーン技術のニーズの広がりを示しています。フィンテックやブロックチェーン関連の世界は、めまぐるしいスピードで動いている中、国内の動きが遅れをとらないよう、BCCCでは新たなメンバーのパワーを加え活動をより活発化していきます。

Horasis Asia Meetingに参加

今週日曜日から月曜日にかけて、タイの首都バンコクで開催された、Horasis Asia Meetingに参加して来ました。Horasisとは、スイスに本部を置く世界的なシンクタンクで、このミーティングは、「新興国版のWorld Economic Forum」(NY Times)とも言われています。

Invitation Only(招待された人のみ)で構成されるこの会に、今回パネリストとして参加しました。先日開催されたEconomist誌のJapan Summitに引き続き、全編英語のパネルディスカッションです。そのテーマは「Rebooting Asian Finance」。私以外の7人のパネラー(下記)は金融セクターの方々だったので、始まる前はアウェー感を持っていて、「それでも技術がアジアの金融の発展に貢献することを話そう」と肩に力を入れていました。しかし、いざパネルが始まってみると、話題はいきなりフィンテック(FinTech)に。

私が発言しようと考えていた「インフラが整っていないからこそ新しい技術を導入しやすい」だとか「ブロックチェーンの導入で先進国より先行するすることができる」と言ったポイントも他のパネリストから挙がり、徐々に「アウェー感」は吹き飛び、リラックスして議論に参加することができました。

総勢8人のパネリストに90分という時間配分だったので、「十分な議論が出来ないな」と考えていたのですが、ChiarのWarren Luke氏の配慮で、自己紹介はスタート前に済ませていきなり議論に入ったことで、下記のように幅広い話題で楽しく議論ができました。

– トランプ勝利のインパクト
– TPPと貿易政策
– 企業会計の透明性と会計基準
– 新興国のアドバンテージ
– フィンテック、技術の貢献、ブロックチェーン
– レギュレータへの提言

ディスカッションの最後に、議論を踏まえてレギュレータへの提言を各パネラーが個別に挙げました。パネル全体で一つにまとめるところまでは踏み込めませんでしたが、私が挙げたデジタライザーションを進めアドバンテージを取ること、技術を活用して企業会計の透明性を上げることなどについては、パネラーの皆さんの賛同を得ることができました。

そして、夜行便で火曜日の早朝には東京に戻り、朝9時から普通に仕事ができます。これが、米国やヨーロッパだとそうは行きません。平日1日を費やすだけでこのような密度の濃いミーティングやディスカッションに参加できるのは、東南アジアの大きなメリットだと改めて感じました。

今日から「日経アジア300指数」もスタートし、日本においても存在感を増すアジア経済。これからも大きな成長が期待できるアジアの国々や人々ともっと交わっていきたいですね。

<チェア>
• Warren Luke, Chairman, Hawaii National Bank, USA

<パネリスト>
• Gaurav Chopra, Founder, Indialends, India
• David Do, Chief Executive Officer, Vietnam Investments Group, Vietnam
• Pina Hirano, Founder and Chief Executive Officer, Infoteria, Singapore /Japan
• Motoya Kitamura, Partner, ROC Partners, Japan
• Aaron H. Kwon, Chief Executive Officer, Summit International Capital, Korea
• Balaji Swaminathan, President International, Westpac International, Singapore
• Riku Sugie, President, Shinsei Financial, Japan
• Shin Hyun Uk, Founder, Popfunding, Korea

今年も走りました!ITチャリティ駅伝

今年も走りました!

海からの風が心地よい秋晴れの日曜日。今年もNIPPON ITチャリティ駅伝が開催されました。この駅伝は、IT業界で鬱病やひきこもりなどで、就業が困難になった人達を支援するNPOのFDA (Future Dream Achievement)が主催し、チャリティで集まったお金はその支援に充てられます。

今年で、第7回になるこの大会は、参加チーム数がIT関係企業から770チーム。1チーム5人ですから実に4,000人近くが走る大きな駅伝大会となりました。インフォテリアからも2チーム10人が参加。私もBチームのアンカーとして走りました。

走るコースは、お台場の潮風公園を中心とした周回コース。例年、公園内を海風を受けながら気持ちよく走り抜けるのですが、今年は公園内は「ポケモンGO!」のプレイヤーが多いということで、車道脇のコンクリートの歩道を走ることになったのは残念でした。しかし、やはり皆で走ったあとの心地よさは格別で、恒例の焼肉食べ放題反省会では「また来年も走ろう!」と気勢を上げました。

この駅伝で一人が走る距離は3km。タスキを渡しながら5人で走って合計15kmです。私は、初回から毎回参加していますが、今年はいままでで一番快調で距離も足りなく感じました。理由は、わかっています。最近、日曜日にシンガポールの自宅に居るときは、早朝ランで、7〜10kmを走っているからです。出張の時は走らないので、毎週走っているわけでもないですが、たまにでも走っているだけで、3kmは物足りなく感じます。

さて、走った結果は、Aチームが111位、Bチームが664位。Aチームは、第1走者、フランス出身のエンジニア、Clement Teuleをはじめとしてかなり健闘し、インフォテリアとして史上最上位の結果です。もともとチャリティーが目的で、順位争いではないのですが、それでも成績がいいと嬉しいですね。来年は100位以内を目指せるか?そのためには、私もタイムに貢献できるくらい鍛えないとだめですね(笑)

インフォテリアは、何故イフラボを作ったのか?

インフォテリアのIoTアプリ開発ソフトウェア基盤製品「Platio」(プラティオ)の発表に併せて、国内最大規模となるIoT機器100個以上を常時設置する「IoT Future lab.」(略称:イフラボ)を開設しました。品川区大井町のインフォテリア本社があるビルで新たに増床した1階全フロア=約530平方メートルの空間全てが「イフラボ」です。

では、なぜソフトウェアメーカーのインフォテリアがIoT機器を展示する「イフラボ」を作ったのか?それは、IoT機器は繋がなければ価値が生み出せないものだからです。つまり、つないでナンボ。「つなぐエキスパート」として様々なIoT機器をリアルに繋ぐところに私達のソフトウェアの存在意義があります。IoT機器だけでなく、そのミドルウェアや、稼働するクラウドサービスなど多種の共創が必要となり、そこに欠かせないのは「つなぐ」ことです。そこで、インフォテリアは 「つなぐ」ソフトウェアを2製品提供するだけでなく、IoTの価値をリアルにするために、ハードウェアもリアルに「つなぐ」。IoTを推進する人たちもリアルに「つなぐ」。それが「イフラボ」です。

「イフラボ」の「イフ」は「IF」。つまり「もし」。「もし、こんなことができたら〜」、「もし、これとこれが繋がったら〜」、こんな「未来」にむけた「もし」を語り合い、実際に試して、未来に繋いでいくことができるスペースを目指しています。

イフラボの所長には、インフォテリア東京R&Dセンター長の田村健が就任(兼任)しました。技術のインフォテリアの責任者が、未来を見据えつつも地に足の着いた、IoTの活用のための「つなぐ」を、IoT熱量の高い皆様と一緒に実現していきたいと意気込んでいます。

そのために、イフラボには、IoT機器の展示・デモスペースだけでなく、IoT化されたセミナールーム(約90名収容)、IoT化された会議室、コラボレーションスペース、放送スタジオなども備えて、IoTを中心としたさまざまな共創がGo!(グリーン)になる場になればと考えています。そこで、フロア全体のイメージをグリーンにするだけでなく、「インフォテリアの森」がある熊本県阿蘇郡小国町から大量の杉を取り寄せて、フロア全体にふんだんに取り入れ、居心地のよい空間にしています(写真)。

IoT機器メーカーの皆さん、IoTインテグレータの皆さん、IoTインフラベンダーの皆さんと一緒に、仕事に、社会に役立つIoTを考え、作り、提供していきましょう。イフラボのページから、ご相談や、活用アイディアをご連絡ください。是非。

http://iot.infoteria.com/

ガートナーのハイプ・サイクルの見方

ガートナー ジャパン株式会社から「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」が発表されました。今日は、この中身を見てみましょう。

ガートナーのプレスリリースでは、今回発表されたハイプ・サイクルに関する解説がなされていますが、このハイプ・サイクルは時系列でポジションの「動き」を見ることが大切です。

今回は、インフォテリアに関係のある「クラウド」「モバイル」「IoT」の3つの切り口で、2015年のハイプ・サイクルのポジションと比べてみました。

まず、クラウド関係技術です。

クラウド関連では、2016年版には5つの技術が取り上げられていますが、その中の1つは前年には無かった「IoTクラウド・プラットフォーム・サービス」です。これは、クラウドとIoTの両方に関係する技術ですが、現在「黎明期」に位置づけられており、これからAWS IoTAzure IoTさくらのIoTなどのクラウドプラットフォームが、大きく注目を浴びそうであることがわかります。また、面白いのは、ステージの進展において「追い越し」が起きていることです。つまりクラウドの中でも進化が早い技術、遅い技術があることが図で一目瞭然です。具体的には、「クラウドIaaS」と「(パブリック)クラウドコンピューティング」は「プライベート・クラウドコンピューティング」を追い越しており、2015年には最も先行してた「プライベート・クラウドコンピューティング」が追い抜かれたことがわかります。

次に、モバイル関連技術です。

モバイル関連技術は4つの技術が取り上げられていますが、ハイプ・サイクル上の幅広い位置に分布していて、モバイルそのものが幅広いインフラとなって来ていることがわかります。ここで注目すべきは、唯一の「黎明期」にある「モバイル・アプリケーション開発プラットフォーム」です。これは、従来のPCやサーバー向けアプリケーション開発のようにゴリゴリとプログラミングをしてアプリを開発するものではなく、現場や接続先(センサーなど)に合わせて簡単にアプリを開発・配布できるものです。インフォテリアが今年度中に提供を予定している「Hawking(コード名)」も、この分野にあたります。

最後に、IoT関連技術です。

IoT関連技術は、2016年版で5つの技術が取り上げられていますが、その全てがハイプ・サイクルの左1/3に存在し、全体的に新しい技術であることが一目でわかります。また、5つの技術のうち2つ「IoTセキュリティ」と「IoTクラウドプラットフォームサービス」が新たに登場したものです。今後はさらに、IoTの制御、連携、運用などの技術が黎明期に登場してくるのではないでしょうか。現在マスコミで大いに注目され「ピーク期」の頂点を過ぎたIoT(モノのインターネット)、これからの幻滅期にいかに地に足のついた開発を行っていくかが鍵となることが分かります。

世界的にも有名なこのガートナーのハイプ・サイクル。今回は2年間の比較で見ましたが、さらに長いスパンで「動き」を見るのもまた参考になります。あなたが携わっている技術、あなたが興味をもっている技術がどういう「動き」をしているのか。それを確認することで、メディアの報道やライバルの動きに踊らされることなく、これからを見据え、地に足のついた活動の支えになるでしょう。