あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます!

Happy New Year!!

2017年は、インフォテリアにとって歴史的にもエキサイティングな年になりました。

Year 2017 was historically exciting year for Infoteria group.

まず、次世代を担う新製品2製品「Platio」と「Gravio」を出荷することができました。この2製品は、「デバイス」(モバイル機器やIoT機器など)に対応した新たな繋ぎを提供する製品です。企業におけるデバイス活用はまだ黎明期ですが、これから、あらゆる企業において欠かすことのできないインフラになっていくと確信しています。過去に「パソコン」がそうであったように。「インターネット」がそうであったように。

First, we have shipped 2 new products, Platio and Gravio. These 2 products connect and enable IoT and mobile devices as important parts of enterprise IT systems. Although IoT in the offices is still in very early stage, we believe it will be a MUST of any enterprises. Like as “personal computers”, and “the internet”.

そして、既存の2つの基幹製品も大きく成長しました。ASTERIAは、2回のバージョンアップを行いRPAやAIなど新たな領域を強化しました。ASTERIAユーザーグループ「AUG」も過去最大の盛り上げりを見せました。Handbookは、いよいよ第5世代が登場し、その用途を企業外にまで広げました。

Second, the 2 core products have grown greatly. ASTERIA did 2 times of upgrade to meet rapidly growing area such as AI (Artificial Intelligence) and RPA (Robotics Process Automation). The ASTERIA user group has completed largest ever conference in Tokyo and Osaka. Handbook has grown as its 5th generation with expanding its field to outside of organization.

さらに、新たな領域であるブロックチェーン技術においても、専門組織の立ち上げ、株主総会での実証実験の成功、ロンドンでのハッカソン優勝、業務適用コンサルティングサービスの開始など、多くの結果を残した年となりました。

Third, the blockchain technology. As we believe blockchain will be indispensable infrastructure of any organizations and the society, we have many progress about blockchain, such as started blockchain dedicated business unit, completed PoC of voting at shareholders meeting, victory in blockchain hackathon in London and started consulting services for blockchain adoption.

最後に、近未来に訪れるビジネスソフトウェアの「デザインファースト」時代に向けて、英国の新進気鋭のデザイン戦略コンサル企業のThis PlaceをM&Aにより仲間に迎えたこと。これからのソフトウェアを世界的にリードしていくための重要な布石です。

Lastly, Infoteria group welcomed a new member, This Place in Infoteria group. This Place is a London based rapidly growing strategic design consulting company. This partnership will realize the “Design Led” enterprise software that will be popular in a couple of years.

インフォテリアは、2018年も新たな挑戦を続けます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Please stay tuned for what Infoteria group will challenge in 2018.

代表取締役社長 平野洋一郎
CEO Pina Hirano

2018年カレンダーに込めた3つの念い

いよいよ2017年も残り僅かとなり、来週から2018年。

インフォテリアの2018年カレンダーも出来ました。このカレンダーは、単なるロゴ入りカレンダーとは違う3つの念いを込めています。その念いとは・・・

(1) 世界10ヶ国/地域の祝日が一目でわかる

 

インフォテリアは創業の時から世界を目指しています。現在は5ヶ国に展開をしています。そこで、カレンダーには環太平洋+英国、合計10ヶ国/地域の祝日が印されています。わかり易いように日付の所にフラッグで示しています。

祝日収録国:日本、英国、米国、中国、台湾、シンガポール、カナダ、韓国、タイ、オーストラリア

(2) 小国町(熊本県)、仙北市(秋田県)への貢献

 

カレンダーの裏面にはインフォテリアがCSRの一環として支援を行っている、熊本県阿蘇郡小国町と秋田県仙北市の美しい景色を毎月楽しめます。

ブランド杉「小国杉」を持つ小国町では、「インフォテリアの森」として5,000本の杉の保全費用を毎年負担するとともに、オフィスでもふんだんに「小国杉」を活用し、さらにHandbookで町の災害時の情報共有に貢献しています。

通称「千本桜」を持つ仙北市では、千本桜の保全費用を毎年負担するとともに、Handbookでインバウンドの観光客への市の名所情報提供に貢献しています。

(3) This Placeとのコラボレーション

そして、カレンダーの表紙は、4月にM&Aにより今年4月にインフォテリアグループに加わったThis Place社のデザインチームによるデザインです。このデザインは、それぞれのチームが未来に向かって力強く進んで行く様をイメージしたものです。

2018年も、インフォテリアは大きな成長を目指し、グループ全体で挑戦を続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

ICOの光と影

ICO (Initial Coin Offering)が話題沸騰です。

私が基調講演を務めさせていただいた、日経BP社主催の「1日で理解するICO」のセミナー(2017年11月16日)でも決して安くない金額にもかかわらず、満員御礼。BCCCで開催したICOセミナー(2017年12月8日)は椅子が足りずに通路にまで椅子を出して対応したほどです。

その理由は、調達金額の大幅な伸びによります。2017年のICOでの資金調達額は全世界で4,000億円(相当)を超え前年の40倍に迫る勢いで、1件での最大調達金額は300億円(相当)にもなります※1。ブロックチェーンを軸とするスタートアップの資金調達においては、これまでの主力資金調達先であったベンチャーキャピタルからの投資額を超えています。国内でも、既に100億円(相当)を超えるICOが実施され、スタートアップ企業や個人投資家の間で熱気が高まっています。

この調達金額は、ビットコインなどの仮想通貨高に支えられたものですが、一時的な現象と見ないほうがよいでしょう。これから、仮想通貨が価値交換の基盤として一定のポジションを確立することは間違いなく、それに伴って、ブロックチェーンが支えるデジタルトークンを使った非中央集権的な価値交換が普及して「トークンエコノミー」の時代が訪れます。そして、ICO はその端緒として、資金調達側にとっても、資金提供側にとっても革新的な幅の広さと自由度を与えるのです。

一方で、この熱気には気を付けなければなりません。それは、これから詐欺的ICO(他のICOの偽装、トークンを発行しない等)や失敗ICO(交換所に上場出来ない、調達金額が大きく不足する等)が激増することが目に見えているからです。ですから、「ICOに参加をしないか」という話を聞いた場合には、まずは疑ってかかることです。

さらに、ICOという名前から「IPOの仮想通貨版」という誤った認識が多いことにも気を付けないといけません。下図にあるように、多くのICOの調達金額は、ICOで発行したデジタルトークンを仮想通貨取引所に上場する前の調達のことを指しています。

ICOの理解がないままに「儲かりそうだから」といって、ICOに参加するのは極めて危険です。すでに、金融庁でも注意喚起を発し、BCCCでもステートメントを出している通り、法律も、会計基準も、税制もまったく追いついていません。つまり、参加しても法律やルールによって保護されるものは何もない前提で考えなくてはなりません。さらに、国外では、韓国や中国のようにICOそのものを現時点では禁止している国もあります。何が起こっても100%自己責任ということを改めて認識してください。

ICOの本来の意義は、そのプロジェクトに賛同や参加をして一緒に価値を上げ、価値を享受していくというところにあります。自らが賛同できる応援したいプロジェクトに対して、これからの新しい形のエコノミーに参加をしてみるということなら、大いに価値があります。

デジタルトークンや仮想通貨で形成されていく新たな「トークンエコノミー」は、社会を「階層・規律・統制」の時代から「自律・分散・協調」に変えて行く破壊力を持っています。ICOが気になる人は、短期的な損得に囚われず、その意義と価値を「自ら」考えて取り組むことをおすすめします。

※1:出典:CoinSchedule.com

上半期:大幅な増収増益と決算短信カラー化

 

11月13日に、インフォテリアの上半期(第2四半期連結会計期間)決算を発表しました。結果は、前年対比で売上も利益も大幅な増加です。本業のもうけを示す営業利益に至っては、前年度の2.5倍近くと記録的な結果となりました。

内容も全ての事業領域で売上が大きく伸長、ASTERIAもHandbookも前年同期比で2桁増に加えて4月に買収した英国デザイン子会社が大きく寄与しました。税引前利益では英ポンド高によって為替差損の影響がありましたが、それでも税引前利益も当期利益も前年同期比で大きく伸ばすことができました。ユーザーの皆様、パートナーの皆様に深く感謝いたします。

また、今回の決算説明会では、メールやツイッターから数多くの質問を多くいただき誠にありがとうございました。しかし、そのために時間内に回答ができなかった質問が1つだけ出てしまいました。この質問は「マザースから東証一部に市場変更しないのか?」という質問でしたが、これは現在での以前の説明会の回答と同じですので、参考までにリンクを張っておきます。

今回の開示にあたっては、インフォテリア独自のチャレンジもありました。それは、決算短信のカラー化です。日本初です。これまで上場企業の決算短信は、企業ロゴ以外は白黒というものが常識でしたが、PDFでの開示が当たり前となった昨今、読みにくい白黒ではなくカラーにしても開示コストはほとんど変わりません。そこで、東証にも確認の上、今回からタイトル文字や表などをカラー化したのです。ぜひ一度、比較していただきたいと思います。

上場企業にとって、いかに企業を正しく理解していただくかということは重要なことです。IT企業である利点を活かして、これまでも決算説明会のネットライブ配信やツイッターでの質問受け付けなど新しいことにチャレンジしてきました。今回のカラー短信は地味ではありますが、逆に全上場企業が採用することのできる工夫だと考えています。

当社の経営理念の第一である「発想と挑戦」。小さなことから大きなことまで、あらゆる領域で実践していきます。

世界を駆ける筆に込めた「念い」

 貴重な経験でした。

先週末に、シンガポールでの日曜恒例の早朝ランの後、書家の前田鎌利さんの揮毫(きごう)のサポートをさせてもらったのです。

前田鎌利さんは「日本の文化を未来へ継ぐ」の理念のもとに、国内での活動だけではなく、海外でも書を中心とした日本文化発信の活動を行われています。

これまでにも、米国、台湾、スイス、フランス、ベルギー、イタリアなど数々の国を訪ねて揮毫をされてきましたが、今回、いよいよ初のシンガポールでの揮毫です。

シンガポールでの揮毫の場所に選ばれたのは、以下のような象徴的な場所でした。

・Merlion Park(マーライオン公園)
・Gardens by the Bay(ガーデンズバイザベイ)
・Sri Mariamman Temple(ヒンズーの寺院)
・Masjid Sultan(イスラムの寺院)
・Hillman Restaurant(ペーパーチキンの店)
・Fullerton Hotel(元海軍省、元郵便局のホテル)
・National Museum(国立博物館)
・Lao Pa Sat(ホーカー:屋台村)

その場所に立ち、周辺を見て歩き、音を聴き、気を感じて、揮毫が行われます。観光地では周りに人だかりができます。個性ある、時には力強く、時には優しく、そして時には目を見張る書が捻り出される瞬間に触れて、鳥肌が立つ思いがしました。

 

例えば、Sri Mariamman Templeでの、この揮毫。「神神神・・・・」寺院の門のイメージの書となっています。

 

例えば、Lao Pa Satでの、この揮毫。「交差点」。シンガポールの今と昔の交じり合う場所のイメージの書となっています。

そして最後に、インフォテリアのシンガポールオフィスでも揮毫。私の経営の師匠だった堀場雅夫さんの志を受け継いで、現在の中期経営計画のスローガンとしている「おもしろ おかしく」を選びました。出来上がった書は、写真のとおり。人によって感じ方は違うでしょうが、私は肩を張らず時代に合ったしなやかさ、スマートな趣きを感じました。

私は常々「外に出よ」という意識を持っていますし、そうアドバイスをします。それは、枠の中には無い、組織の中には無い、日本の中には無い、視点や刺激を得ることができるからです。しかし、今回の前田さんの揮毫をサポートしながら、外に出るからには、視点や刺激を「得る」だけでなく、自らも新たな視点や刺激を「与える」存在でありたいものだと、改めて唸りました。

世界へ羽ばたけ!日本のスタートアップ

昨日、東京国際フォー-ラムで「Startup World Cup 2018」の日本代表を決める日本予選の決勝戦が開催されました。これは、世界中のスタートアップ企業がワールドチャンピオン(世界No.1)を目指して行う唯一の世界規模のコンペティションです。今回は前回の倍の規模となる世界32ヶ所(30ヶ国)もの地域で予選が行われますが、その1つが日本。日本では70社以上の応募の中から、10社が決勝にノミネートされました。そして、私はその審査員長を務めました。

決勝ピッチコンテストに残った日本代表候補は以下の10社ですが、あなたが知っている企業はあるでしょうか?

・セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(洗濯物折り畳みロボット)
・カラフル・ボード(感性を個別に解析するパーソナルAI)
・THEO:お金のデザイン(ロボアドバイザー資産運用)
・Empath:スマートメディカル(音声による気分解析技術)
・ユニロボット(次世代型ソーシャルロボット)
・FOLIO(テーマを選んで投資ができるオンライン証券)
・ディライテッド(オフィス受付システム)
・エイシング(機械制御向けAI)
・メビオール(安全で高栄養価の農産物を生産するフィルム)
・リアルワールドゲームス(位置情報ゲームプラットフォーム)

各社毎に行う、30秒の紹介ビデオ、3分30秒の英語でのプレゼン、1分30秒の質疑応答で全てが決まります。7倍超の倍率の中から選ばれただけあって、どのスタートアップも大変レベルの高い決勝戦となりました。その審査を行ったのは、私以外に以下の7名です。

・一橋大学イノベーション研究センター 特任教授 米倉誠一郎 氏
・株式会社セガゲームス 代表取締役社長 COO 松原健二 氏
・経済産業省 新規事業調整官 石井芳明 氏
・株式会社gumi 代表取締役社長 國光宏尚 氏
・株式会社サムライインキュベート 代表取締役 榊原健太郎 氏
・デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部長 斎藤祐馬 氏
・Plug and Play Japan Managing Partner – Phillip Seiji Vincent 氏

審査は、審査員による下記の7つの評価軸とTwitterによる人気投票を加味して行われます。

<7つの評価軸>
・事業を始めた経緯・問題意識
・市場規模・ニーズ
・トラクション(ユーザー数や売上の伸び)
・競合優位性
・ビジネスプラン(拡大可能性や収益性が明確か)
・チーム構成やメンバーの経歴
・プレゼンテーションの説得力

各審査員が7つの評価軸に対して持ち点10点、合計70点で評価。集計の結果としては、上位3社がかなりの接戦となりました。そこで、最終的な審査員の協議も侃々諤々。日本代表を決めるのに審査時間ギリギリまでかかりました。

そうして決まった日本代表の発表の前に、スペシャルスポンサーのCAC特別賞が発表されました。CAC特別賞は投資資金として5,000万円の副賞が付く賞で、世界大会には行かないものの、大変価値の高い賞です。

CAC特別賞は…

メビオール株式会社!

以前に研究していた透析膜を応用して、あらゆる場所で安全で高栄養価の農産物の生産を可能にするフィルムを開発・製造する会社です。プレゼンでは実物も披露されました。

会場は興奮冷めやらぬ中、いよいよ日本代表の発表です。

日本代表は…

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社!

世界的にもユニークな洗濯物折り畳みロボット「ランドロイド(/ laundroid)」を開発する会社です。来年5月11日のサンフランシスコで世界決勝大会に臨みます。

前回のStartup World Cupでは、日本のユニファ株式会社がワールドチャンピオンとなりました。今回、優勝したセブンドリームには、ビジネスもプレゼンももっと磨いて、2連覇を目指して欲しいと思います。

こうやって、日本のスタートアップが世界レベルの活躍をし、プレゼンスを示すことで、日本のスタートアップがもっともっと増えて、世界に羽ばたくスタートアップが次々と出てくることを願ってやみません。

 

英国メイ首相来日イベントで登壇

大変光栄なことでした。

去る8月31日に、英国のメイ首相の来日に合わせて都内某所で開催された「Japan UK Business Forum」という200名以上の日英経済関係で活躍されている方々が参加するカンファレンスのパネルディスカッションに登壇しました。(英国当局からの要請で、これまで公開することができませんでした。)

このパネルディスカッションは、安倍首相のスピーチ、メイ首相のスピーチ、両国政府機関の調印の後に、「Innovation through Partnership」というテーマで行われました。もちろん全編英語です。

■登壇者(写真左より)
モデレーター:駐日英国大使館 原子力担当一等書記官 化学博士 Dr. Keith Franklin
日:インフォテリア株式会社 代表取締役社長/CEO 平野 洋一郎 (Pina Hirano)
英:Cavendish Nuclear社 チーフ・エグゼクティブ Mr. Simon Bowen
日:丸紅株式会社 電力・プラントグループCEO 柿木 真澄 氏 (Masumi Kakinoki)
英:Cambridge Consultants社 戦略的イノベーション 責任者 Mr. Arend Jan Van Bochoven

まずは、各メンバーの英国との関わりに関する自己紹介から。私は、これからビジネスソフトウェアでもデザインが重要になると考え「デザインファースト」のソフトウェアを開発する戦略を持っており、以前からデザインに長けたパートナーを世界中で探していたこと。最終的に、4月に買収したThis Place社にたどり着いたことを話しました。また、国を跨がった連携は大企業のものだけではなく、インフォテリアのような小規模の会社でも重要な意味を持つと強調しました。

そして、なぜ英国企業をパートナーに選んだのかと質問されました。私は以下のような主旨の話をしました。

「正直に言うと、最初は英国は眼中になく、主に米国の会社を探していました。しかし、約3年前に英国大使館の紹介で、実際にロンドンとマンチェスターに行って10社以上のスタートアップに会う機会を得ました。そこで感じたのは、英国にもこんなにイノベーティブでクリエイティブなスタートアップがあるのか!ということでした。日本で「イノベーション」というと誰もがシリコンバレーと言いますが、ロンドンもヨーロッパ各国からスタートアップが集まり活気に満ちていました。私たちはデジタルデザインのThis Placeと仕事を始め、その結果としてアウトプットも素晴らしく、企業カルチャーも相性が良かったことから、買収にいたりました。」

会場からの質問で、話題はどうやったら日英企業間でパートナーシップを成功させられるかという話に移ります。

英国と日本は、島国であることや、文化や、環境などが似ていてること、両国の関係の歴史も長いことなどから相互理解しやすく、またそれぞれの国で暮らすなどのことで、さらに良い協業が築けるだろうなどの意見がパネラーから出されました。

それに対して私は、「類似点の議論がありましたが、イノベーションという観点からは、『違う』ことがある点が重要です。同じ環境、同じ考えをもったモノリシックな集団からはイノベーションは起こりにくいでしょう。イノベーションとは『新しい組み合わせ』(注:Joseph Shumpeter)から起こることが少なくありません。異なる考え、異なる地域の人々が協業し刺激しあうことで、イノベーションに寄与するでしょう。」という主旨の意見を述べました。

会場からの次の質問は、「イノベーションを生み出すには、どのようなマネジメントプロセスが必要か?」とういうものでした。

パネラーの一人からは、イノベーションを生み出すためのマネジメントプロセスの考え方についての意見がありましたが、私は「イノベーションは、マネジメントプロセスからは生まれない」と応えました。その理由として、「イノベーションの生まれるのは、マネジメントが必要な前段階のアイディアだったり、『思い』だったりする。そのアイディアが具体化する段階でマネジメントプロセスを考えるのが順番」という意見を述べました。

また、「いまはビザ取得などの問題もあるが、日英間の交流をさらに進めるにはどうしたらよいと思うか?」という質問が出ました。

私は、「ソフトウェア業界においては、交流の前に日英お互いのプレゼンスが低すぎます。ソフトウェア業界ではシリコンバレーばかり見ていて、シリコンバレーに行く人も多いけれども英国のことを気にしている人は少ないのが実状です。だから、まずはお互いプレゼンスを上げないと交流しようという意識にも繋がらない」との話をしました。

このように、会場からの質問も受けながら、予定された45分はあっと言う間に過ぎていきました。

嬉しかったことは、パネルディスカッションが終わった後には日英で活躍されている10人以上の方から名刺交換を求められ、私の拙い英語でも伝わることがあったのだろうと感じたことでした。逆に残念だったことは、私以外の日本からのパネラーの方は、あらかじめ与えられていたテーマに関してはしっかりお話しされていたのに、会場からの質問には一切応えられなかったことです。せっかくの「ディスカッション」なので、用意した意見を披瀝するだけでなくインタラクションが重要だと思います。

実は今、英国に来ています。半年ぶりにこの地を訪れ、This Placeメンバーの熱気、街の活気、学生の元気に触れています。改めてパネルを振り返り、強調したいことが2つあります。それは、(1)国を跨がった協業は決して大企業だけのものではないこと、(2)これからの英国は要注目であることです。

これからさらにクラウド化が進み、非中央集権化が進み、「個」の時代になっていくあたって、小さな専門性の高いチームこそが様々な枠を超えて繋がる価値を生み出していくでしょう。そして、大企業を超えたスピードと価値を生み出していくことができると確信しています。

また、EU離脱をし独自路線を進むことができるようになる英国はより力を付けていくでしょう。既に、2017年上半期では、輸出金額は前年同期比で10%も増加、観光客(インバウンド)も前年に比べて6%増加、ロンドン金融街の雇用は13%も増加というレポートが出ています。英国全体の失業率は統計を始めて以来過去最低となっています。メディアの報道だけで、英国の行く先を心配する前に、自分の足で英国を見て感じてください。英国には、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学をはじめ世界有数の教育レベルを誇り世界中から若者が集まっています。英国には、新たなイノベーションを生み出す若い力と活力が溢れていると感じるのです。

べき?たい?働き方改革を考える

明日、「働き方改革」を加速させた、電通事件の初公判とのこと。

この事件をきっかけに、残業問題に火がつき、全国的に働く時間を減らそうという
「働き方改革」が広く謳われ始めました。

それに伴って、政府でも様々な動きがあります。残業時間の罰則付き制限、
プレミアムフライデー(関連インタビュー)、祝日のさらなる追加 etc.

しかし、違和感を感じるものも多くないですか?

それは、仕事時間つまり「量」の施策ばかりで、
仕事の内容つまり「質」の施策ではないからだと、私は考えます。

働く時間を減らせば、働く人が皆幸せだと考えるのは、
あまりに短絡的ではないでしょうか?
あなたはどうですか?
内容や効率は横に置いたままで、
とにかく働く時間は短い方が良いという論調となり、
まるで働くことが「悪」のような扱いです。

しかし、本当に必要な働き方改革は「質」の方でしょう。
つまり、
一律に何かやったり、新たに制限や罰則を増やすのではなく、
個人個人の事情や都合に合わせ、働く時間や場所の柔軟性を上げ、
多様性を促進することだと考えています。

言い方を換えると、働き方改革として「質」を上げるには、
「べき」を増やすのではなく、
「たい」を増やすことです。

なぜなら、「〜べき」は「皆同じ」であり「押し付け」だからです。
それは個々の幸せには結びつきません。
幸せは、誰かに与えられるものではなく、
個々の願いの達成と、それに近づく過程にあるからです。

一方で、「〜たい」は、個々の願いであり、
他との差別化との源泉=価値でもあるからです。

仕事とは、個人が価値を創出・提供する活動であって、
少ない時間で同じ価値を創出・提供するためには、
その質を上げていく必要があることは自明です。
さもなくば、単に創出・提供する価値が減るだけで、
その結果として収入が下がり、幸せとは逆の方向に行ってしまいます。

だから、働き方改革が、働く人の幸せを目指すのであれば、
「量」だけに着目した新たな規制や、一律の制度ではなく、
個々の事情や都合に合わせ、パフォーマンスを最大限に発揮し、
「質」を上げていけるような、働き方の多様性が大切なのです。

それは社員と経営のディレクションを合わせることにもつながります。

働き方改革でいろんな施策・対策が出て来ますが、
「量」ではなく「質」の議論にするために、
「べき」が増えることになるのか?
「たい」が増えることになるのか?
という軸で考えるとよいでしょう。

それこそが働く人の「働く幸せ」と「働く成果」の
両方に繋がると確信するからです。

最近、あなたの仕事は、
「べき」が増えていますか?
「たい」が増えていますか?

<関連ブログ>
「べき」を減らせ。「たい」を増やせ。– (2010/01/07) – 笑門来福

Happy 19th Anniversary に感謝

この9月1日にインフォテリアは、19回目の創立記念日を迎えました(写真)。

今年もまた創業記念日を迎えることができたのは、ユーザーの皆様、取引先の皆様、そしてなによりも社員のメンバーと家族の皆様のおかげです。

深く深く感謝申し上げます。

インフォテリアの創業は1998年9月1日。前年には、山一証券、拓銀が経営破綻し、国内はバブル崩壊後の金融危機の影響で厳しい不況風が吹いていたときです。

当時私は35歳になったばかり。「こんな不景気の時に起業はいかがなものか?」などと時期を考えた方が良いとのアドバイスを何人もの先輩にいただきました。しかし、どん底のときこそ上がっていくしか無いわけですから、そこは問題視しませんでした。

それよりも、これからインターネットを介して人も企業も繋がっていく時代の入り口にいる興奮の方が何倍も私を行動に駆り立てたのです。

しかし、日本の経済環境が厳しいことは現実で、創業してしばらくは「1年後には会社が無いかもしれないが、一緒にやらないか」と社員を勧誘していました。

大きな夢はあったけれども、何も保証することはできなかったのです。

でも、だからこそ私は「融資」ではなく全額「投資」による資金調達を行いました。米国で多くの同僚が独立して投資のみの資金調達によって億円単位の調達を実現して新たなソフトウェア企業を始めていました。それは、銀行と組むのではなく、投資家と組むというモデルです。その調達額は銀行の融資に比べると桁違いに大きく、日本でも米国型の投資モデルを持ち込まないと日本のソフトウェア産業は消えて無くなるという危惧を抱いたのです。「非常識」だの「問題外」だの言われながら、結果的に全額を投資によって27億円の資金調達を行うことができ、いまのインフォテリアの基礎を作ることができました。(詳しくは、月刊「事業構想」10月号に)

日本にはまだ浸透していなかった「先行バリュエーション」で「100%投資のみ」というモデルに投資をしていただいた当初の投資家の皆様の「知見」と「先見性」に支えられました。

1年後は存在しないかもしれない設立間もないベンチャーのソフトウェアをその機能と性能に惚れて買っていただいた当初のお客様の「決断」と「覚悟」に支えられました。

そして、安定した会社でのポジションと収入を捨ててジョインしてくれた当初の社員メンバーの「勇気」と「情熱」に支えられました。

それ以降、数多くのユーザー、取引先、そして社員のメンバーなど全ての人々のおかげで、19周年を迎えることができました。本当にありがとうございます。

来年は、いよいよ20周年。

ここまで継続し、成長して来ることができたことに感慨深いものががあります。しかし、世界に羽ばたいた企業の20周年に比べればまだまだ小粒です。まだまだやりたいことは、沢山あります。

創業の時から目指している、ソフトウェアで世界規模で貢献をできる会社への大きな成長を目指して、来る20周年に向けて挑戦を続けます。

<インフォテリアの19年(抜粋)>

  • 1998:大田区の6畳1間のアパートで創業(9月)
  • 1999:世界初の商用XMLエンジン「iPEX」を出荷(1月)
  • 2000:総額27億円の調達を創業時調達を完了(〜3月)
  • 2001:「Asteria for RosettaNet」を発売(1月)
  • 2002:ノン・プログラミングの「ASTERIA R2」を出荷(6月)
  • 2003:「ASTERIA 3」を発売(10月)
  • 2004:「ASTERIA」の導入社数が100社を突破(6月)
  • 2005:「ASTERIA」の解説本が登場(5月)
  • 2006:「ASTERIA」が市場シェアNo.1を獲得
  • 2007:東証マザーズへ株式上場(6月)
  • 2008:中国浙江大学とソフトウェア開発コンテストを実施(12月)
  • 2009:「Handbook」を発売(3月)
  • 2010:「ASTERIA」の導入社数が1,000社を突破(2月)
  • 2011:米Extentechを買収(6月)
  • 2012:中国杭州と上海とに子会社を設置(3月、11月)
  • 2013:香港に開発子会社を設立(11月)
  • 2014:シンガポール子会社設立(11月)
  • 2015:「ASTERIA」導入5,000社突破「インフォテリアの森」CSR開始(9月)
  • 2016:IoTモバイル開発基盤「Platio」を発表(10月)
  • 2017:英ThisPlaceを買収(4月)

 

ブロックチェーンのリスク管理に取り組む

私が代表理事を務めているブロックチェーン推進協会(略称:BCCC)において新たに発足する「リスク管理部会」の説明会を昨日実施しました。会員企業、入会検討中の企業の方々に数多くご参加いただき、また、TV、新聞などメディアの方々にも多く取材いただき、ブロックチェーンに関するリスク管理への関心の高さを強く感じました。

特に仮想通貨周辺では、既に詐欺コイン(Scam Coins)やMLM(Multi-Level Marketing)などの怪しいものが出没しており、消費者庁などへの相談件数が増えているようです。さらに、この10月には日本で初めてと言えるICO(Initial Coin Offering)が予定されており、今後ICOを謳った怪しいビジネスが勃興するものと懸念しています。

ブロックチェーンに関するリスクは、上記に述べたような既に顕在化しているものにとどまらず、今後ブロックチェーンに関連して始まる新しい事業やサービスには、常にリスクが伴うと言っても過言ではありません。(図)

説明会最後のパネルディスカッションでは、既に全国の警察から仮想通貨アドレスの照会を多数受けているBCCC副代表理事の杉井靖典(カレンシーポート代表取締役CEO)が、同社で構築しているデータベースやその考え方を紹介するなど、具体的な内容に踏み込んだ例も示して会場から高い関心を得ていました。

ブロックチェーン推進協会のリスク管理部会では、顕在化しているリスクだけではなく、これから顕在化するであろう潜在的リスクに対してもその内容を検討・研究し、またその対策や情報共有などについて活動する予定です。部会長には、静岡県警のサイバー犯罪対策テクニカルアドバイザーを務められている、株式会社Geolocation Technology社長の山本敬介氏に着任いただき、まずはKYC(Know Your Customer:本人確認)、AML(Anti Money Laundering:資金洗浄対策)等に役立てる上で、問題のある人物や組織に関するデータベースの方法論やその整備から始め、さらに金融以外のリスクに関してもテーマとしていく計画です。

<リスク管理部会事前説明会の式次第>

  • リスク管理部会設立の背景
    • 代表理事:平野洋一郎(インフォテリア)
  • リスク管理部会の活動概要案
    • 部会発起人:小塚直志氏(エス・ピー・ネットワーク)
  • 顕在化しているリスクの具体例
    • 部会長:山本敬介氏(Geolocation Technology)
  • 今後のリスク管理に関するパネルディスカッション
    • 副代表理事:杉井靖典氏(カレンシーポート)+上記3名