日別アーカイブ: 2015年6月11日

なぜ社外取締役を過半数にするのか?

この5月に会社法が改正されました。その主旨の一つが、コーポレートガバナンスの強化。企業が、適正な、経営執行とその監督、監査をする仕組みの強化です。

インフォテリアでは、コーポレートガバナンスを強化するにあたって、執行側からの取締役会への参加を1人に絞り、社外取締役を過半数とすることにしました。創業時から米国型の経営体制を意識し、社外取締役を2名置き続けていますが、今回はそれをさらに進めた形で、今月の定時株主総会で承認を得て実施の予定です。執行側の取締役を絞り込むのは、以前から私が主張している「取締役は社内の出世の階段ではない」ということを明示するものでもあります。

取締役会に執行側からは社長だけが入っていて、他は社外取締役だけという構成は米国では珍しくありません。例えば、Appleの取締役会は執行側からはTim Cookだけ。例えば、AmazonもJeff Bezosだけ。また、社外取締役が過半数の取締役会もいたって普通で、GoogleもMicrosoftも社外取締役が過半数を占めています。

Apple社の取締役構成 (Source: apple.com)

日本では、社外取締役を増やすと経営スピードが遅くなるといった議論があります。しかし、そう主張している人たちの会社が上記のような米国の社外取締役が過半数の会社より経営スピードが速いかというと大きなクエスチョンマークが付くのは私だけでしょうか?

「島耕作」の出世物語でも明らかなように、そもそも取締役が「出世の階段」になってしまっていることが問題なのです。そのような会社では、取締役は執行責任者も兼ねていて、自分が執行することを自分で監督するというガバナンスの効きにくい状況になっており、執行を人から監督されたくないという意図も見え隠れします。上場している以上、経営者は責任者ではあっても特権階級ではありません。

このような考えから、今回取締役の過半数を社外取締役する予定です。しかし、日本の会社の体制としては、まだ実態どころかイメージも定着はしていませんので、ある程度の誤解を招くことも承知でチャレンジしてみることにしました。

実際、この件を発表したところ常勤取締役だった2名について一部企業情報サービスでは社内役職も含めて「退任」という誤報が流れたために、「退社」と勘違いされて多くの問い合わせが舞い込むということが起こりました(笑)。しかし、もちろん退社はしませんし、執行における責任者としての立場は変わりません。つまり、共同創業者である北原淑行は、これからも執行役員副社長として研究開発の責任者ですし、上場前から金庫番として管理面を支えている齊藤裕久は、これからも執行役員コーポレート本部長として管理・財務の責任者です。また、私自身は執行を兼務することを明示するために、取締役でかつ執行役員となる予定です。

ところで、今回の株主総会で選任いただく社外取締役(候補)は次の2名です。

Anis Uzzaman

– 米国Fenox Venture Capital, CEO

田村耕太郎

– 国立シンガポール大学兼任教授
– 米国Milken Institute Fellow
– Japan Intelligence Initiative, CEO

お二方とも、それぞれの分野で豊な経験をお持ちでまた、日本国外の知見、ネットワークも広く、世界を目指すインフォテリアの計画、執行をしっかりと監督し、インフォテリアの成長に寄与していただける方です。取締役会も英語での開催が可能になります(笑)。(実際には、取締役以外のメンバーも参加することや、議事録の開示の場合に備えて、日本語での開催になりますが。)日本の上場企業では、社外取締役を過半数にするところはまだ少ないですが、グローバルに求められる上場企業のコーポレートガバナンス強化に寄与すると確信して、今回の株主総会に諮ります。

さらに、この株主総会では、監査役を計4名とする監査役の2名の選任議案や、2016年3月期からのIFRS導入に備えて、国際業務にも強い新日本有限責任監査法人への監査人の選任議案についても審議いただく予定です。

インフォテリアの株主総会は、集中日を避け、また個人株主の方々に一人でも多く参加していただけるよう、今年も6月20日土曜日に開催します。取締役をはじめとする新たな役員体制だけでなく、インフォテリアの経営全般について、株主の皆様と意見交換ができる年に一度の貴重な機会と考えていますので、万障繰り合わせの上ご参加いただければ幸いです。

今年も、グリーンのお土産を用意していますので(笑)