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Horasis Asia Meetingに参加

今週日曜日から月曜日にかけて、タイの首都バンコクで開催された、Horasis Asia Meetingに参加して来ました。Horasisとは、スイスに本部を置く世界的なシンクタンクで、このミーティングは、「新興国版のWorld Economic Forum」(NY Times)とも言われています。

Invitation Only(招待された人のみ)で構成されるこの会に、今回パネリストとして参加しました。先日開催されたEconomist誌のJapan Summitに引き続き、全編英語のパネルディスカッションです。そのテーマは「Rebooting Asian Finance」。私以外の7人のパネラー(下記)は金融セクターの方々だったので、始まる前はアウェー感を持っていて、「それでも技術がアジアの金融の発展に貢献することを話そう」と肩に力を入れていました。しかし、いざパネルが始まってみると、話題はいきなりフィンテック(FinTech)に。

私が発言しようと考えていた「インフラが整っていないからこそ新しい技術を導入しやすい」だとか「ブロックチェーンの導入で先進国より先行するすることができる」と言ったポイントも他のパネリストから挙がり、徐々に「アウェー感」は吹き飛び、リラックスして議論に参加することができました。

総勢8人のパネリストに90分という時間配分だったので、「十分な議論が出来ないな」と考えていたのですが、ChiarのWarren Luke氏の配慮で、自己紹介はスタート前に済ませていきなり議論に入ったことで、下記のように幅広い話題で楽しく議論ができました。

– トランプ勝利のインパクト
– TPPと貿易政策
– 企業会計の透明性と会計基準
– 新興国のアドバンテージ
– フィンテック、技術の貢献、ブロックチェーン
– レギュレータへの提言

ディスカッションの最後に、議論を踏まえてレギュレータへの提言を各パネラーが個別に挙げました。パネル全体で一つにまとめるところまでは踏み込めませんでしたが、私が挙げたデジタライザーションを進めアドバンテージを取ること、技術を活用して企業会計の透明性を上げることなどについては、パネラーの皆さんの賛同を得ることができました。

そして、夜行便で火曜日の早朝には東京に戻り、朝9時から普通に仕事ができます。これが、米国やヨーロッパだとそうは行きません。平日1日を費やすだけでこのような密度の濃いミーティングやディスカッションに参加できるのは、東南アジアの大きなメリットだと改めて感じました。

今日から「日経アジア300指数」もスタートし、日本においても存在感を増すアジア経済。これからも大きな成長が期待できるアジアの国々や人々ともっと交わっていきたいですね。

<チェア>
• Warren Luke, Chairman, Hawaii National Bank, USA

<パネリスト>
• Gaurav Chopra, Founder, Indialends, India
• David Do, Chief Executive Officer, Vietnam Investments Group, Vietnam
• Pina Hirano, Founder and Chief Executive Officer, Infoteria, Singapore /Japan
• Motoya Kitamura, Partner, ROC Partners, Japan
• Aaron H. Kwon, Chief Executive Officer, Summit International Capital, Korea
• Balaji Swaminathan, President International, Westpac International, Singapore
• Riku Sugie, President, Shinsei Financial, Japan
• Shin Hyun Uk, Founder, Popfunding, Korea

中期経営計画と「Triple Twenty」

さる5月13日に、インフォテリアの第18期の決算を発表し、同時に中期経営計画を発表しました。

決算は、インフォテリア株式会社(日本)に加えて、海外の5つの現地法人の連結決算です。結果は一言で言えば「増収増益」。特に利益は大きな伸びとなりました。これもユーザーの皆様、パートナーの皆様のおかげであり、大変感謝しています。誠にありがとうございます。現時点では、まだ日本の会計基準のみの発表ですが、6月末までには国際会計基準(IFRS)での数値も発表する予定です。

また、同時に中期経営計画も発表しました。これは、2016年度(2017年3月期)〜2018年度(2019年3月期)までの3ヶ年計画です。3年後の姿として、売上1.5倍、営業利益2倍を目指します。またさらにその中のテーマとして、「Triple Twenty(3つの20)」を挙げています。「Triple Twenty」と聞いて、「ニヤリ」とした人は、ダーツをやる人ですね(笑)。

ダーツで「Triple Twenty」とは、ダーツ板のもっとも最高得点の場所です。さてそれはどこでしょう?

ダーツの当たった場所の得点は、外周にかいてある数字で、1から20まであります。そして、ブルと呼ばれる中央は50点。そして、一番外側にある細い枠がダブルと呼ばれて、そこの数字を2倍します。つまり、3のダブルに当たれば、6点です。そして、その内側にある細い枠がトリプルと呼ばれて、ここは3倍。ですから、3のトリプルに当たれば9点です。

さて、勘の良い人はもうわかったと思います。そう、最高得点は、20のトリプルで60点。ここが最高得点で、Triple Twentyなのです。

新しい中期経営計画は、この最高得点を意識し、さらにその上を目指して、売上・利益計画の達成を支える指標にしました。

具体的には、以下の通り。
・営業利益率を、20%台に上げる。
・海外比率を、20%台に上げる。
・フロー比率を、20%台まで減らす。

このTriple Twntyの達成を目指します。さらに、中期経営計画を支えるものとして、「3つのD」、「3つの製品」があります。ソフトウェア製品ベンダーとして意欲的な取り組みをしていきます。興味のある方は、資料を公開していますのでぜひご覧ください。
https://www.infoteria.com/jp/ir/about/strategies/

インフォテリアの、これからの飛躍にご期待ください。

LGBT社内研修会を開催

今週月曜日、同性カップルでLGBTアクティビストの増原裕子さんと東小雪さんをお招きして、全社員を対象に「LGBT(性的マイノリティー)社内研修会」を開催しました。

インフォテリアでは昨年11月に、制度面においてもLGBTの方々を男女のカップルと同様に差別なく認め、また社員として積極的に受け入れることを宣言しました(その経緯と理由はこちらのエントリで)。その一環として、受け入れる側の社員全員がLGBTについての認識を高め、差別のない働く環境を作っていくための取り組みの一つです。

LGBTを差別しないと宣言しても、その方々の考えや気持ちをわからずに実践することはできません。そこで、LGBTの方々が暮らしやすい社会作りを目指して活動されている増原裕子さんと東小雪さんから具体的に話を聞くことにしたわけです。お二人のご経験や、他社での事例、私たちが取り組めることなども踏まえ、1時間半のお話は大変参考になるものでした。

日本のLGBT当事者は7.6%(電通ダイバーシティ・ラボの調査)といわれ、単純計算では13.2人に1人がLGBTであるということになります。しかし、まだ日本ではLGBTに対する環境が整っていなかったり、排他的意識があるとカミングアウトすることは難しく、それによって働く意欲や、生産性に影響を与えていることが多いのだそうです。

お話が終わった後には、参加した社員からも活発に質問が出ました。お二人の回答からは、ソフトウェアとして取り組めることなども明らかになり、順次取り組んでいくこととしました。例えば、ユーザー情報を入力する際に一般的には「男性/女性」の選択肢がありますが、これを「男性/女性/その他」とすることで、LGBTの方々のストレスを下げることができるなどは、ウェブや製品で私たちが貢献できることです。


セミナー終了後には、社員本人のみならず家族や周りの人たちとも意識を共有してもらいたいと考え、お二人の最新刊「同性婚のリアル」を全社員に配りました。(表紙がグリーンだったからではありません(笑))

インフォテリアという小さな会社の小さな取り組みではありますが、小さなことからでも社会を変えていく一歩になればと考えています。

なぜ、ダイバーシティ採用を推進するのか?

11月12日、インフォテリアはLGBT※の方々を含むダイバーシティ採用の推進を発表しました。そして、テレビメディアや日本経済新聞をはじめ、IT分野以外も含めて多くの媒体に興味を持っていただきました。

特に今月から渋谷区で発行が始まったLGBTを対象とした「パートナーシップ証明書」を婚姻届と同等に扱う点などについて、一部で「先進的」と話題にしていただいていますが、実は私自身はむしろ遅れているという感覚すらあります。

というのも、私がインフォテリアを創業する前に10年以上勤務していたLotus Development Corporation(本社:米国マサチューセッツ州)では、今から24年前の1991年にHomosexsual couplesを通常の婚姻と同等に扱うということを始めていたからです。そして、Lotus社内でもおおっぴらにその方々の掲示板ができたり、イベントが行われたりしていました。 Homosexsualであることをカミングアウトしている人の中には凄腕エンジニアも、辣腕マネージャーもいました。そういう環境を経験してきたので、いま注目を浴びてきていることは社会的にも企業的にも「ようやく」という感覚があるのです。

多くの人は別性同士でカップルになりますが、様々な理由や本人の思いなどから多様なパートナー関係が実際に存在しています。「自分達がそうじゃないから」とマイノリティの人たちを「間違っている」と言わんばかりに排除するのは、まさに多様性を認めないことにほかなりません。ですので、インフォテリアはLGBTの方々に門戸を広く開くだけではなく、社内制度においてLGBTの方々のパートナーを通常の婚姻と同等に扱うことや、社員のLGBTをはじめとするダイバーシティへの理解を深めるための研修も行います。

もちろん、ダイバーシティはLGBTのことだけではありません。インフォテリアでは、これまでも国籍、性別、宗教などを問わずに採用をしています。東京本社オフィスでも約1割の社員が外国籍ですが、まだ不十分と考えています。なぜなら、世界を目指す企業において、多様なマーケットで受け入れられる製品開発、営業活動を行い、国際競争力を強化していくには、メンバーの多様化が不可欠だからです。シンガポールにいると、まさに世界中の様々な人たちがチームを組み、違う考えを尊重し合い、刺激し合い、新しい価値を生み出している現場に遭遇します。日本のモノタイプな考え方や心地よさに危機感を覚えるのです。

ところで、このようなことは、各社で粛々と進めればよいという意見もあるなか、今回あえて報道発表を行ったのには、2つ理由があります。ひとつは、私たちだけでなく、多くの企業が、同じようにダイバーシティを意識した経営をすることを「宣言」すれば、マジョリティ以外の人たちにとって働きやすく生きやすい社会づくりに貢献できると信じているということ。もうひとつは、企業にとっても、マイノリティの方々の能力を引き出すだけでなく、多様性からもたらされる刺激や組み合わせによって、生産性を上げ、イノベーションを促進することにつながると考えていること、です。

よりよい社会を作るための動きも、政府や自治体にお任せではなく、各企業でできることはまだまだ「そこにある」のではないでしょうか。


※LGBT = 女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、性同一性障害含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の頭文字を繋げたもの。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT

 

ノーベル賞と研究開発の大切さ

日本中がノーベル賞受賞に湧いていて、その興奮はシンガポールにまで伝わってきます。

大村智博士、梶田隆章博士、本当におめでとうございます!

ひとりの日本人として、本当に嬉しいし、誇らしく思います。
新たな元気をいただき、ありがとうございます。

喜びの反面、一方で気になることがあります。
それは、日本がこれからもノーベル賞受賞者を輩出しつづけるのだろうかということです。

ノーベル賞は元来、かなり以前の研究が多くの今の人の役に立っている成果に対して与えられることが多いものです。実際、今回のノーベル賞受賞理由も2000年代に入る前の研究や開発です。大村智博士の場合、抗生物質「エバーメクチン」の発見が1979年、メルク社で薬剤「イベルメクチン」が開発され発売されたのが1981年。梶田隆章博士の場合、スーパーカミオカンデの建設開始が1991年、ニュートリノ振動確認の発表が1998年。昨年ノーベル賞受賞の青色発光ダイオードも同様に、1980年代に研究され、開発を経て実用化されたのは1993年です。

しかし、多くの方々が危惧されているように、国内では1990年代後半から大学でも民間でも研究開発において直接的な成果や収入を重視するようになり、長い時間かけてじっくり研究開発するようなことが減っていきました。大学では成果の出やすいテーマに予算が回され、民間では中央研究所が縮小され多くの研究員が収入に直結する部署に回されました。

研究開発には、多大な時間がかかるし、成就しないものも多く、つまり無駄も多いものです。研究開発に絶対はない。だから研究開発なのですが。しかし、それでも、或ることを探求するために、信じて、考えて、工夫し続ける。ハタから見たら、なかなか成果が見えない、進んでいるのかどうかさえわからない、いったい何やってるんだと言いたくなる。それが研究開発です。

言われたことを確立された方法でやるのであれば、成果も出やすいし、目の前の収入にも直結しやすいのは明らかです。しかしそれは、研究開発では無いし、ノーベル賞を受賞するような世界中に貢献するような成果に繋がることも難しいでしょう。失われた20年と言われていた間にどれだけの研究開発ができていたのか、その答えの一つがこれから先のノーベル賞ではないでしょうか?

企業における研究開発でも同じだと考えます。

日本のソフトウェア産業では、売り上げに紐付いていない研究開発費が売り上げの1%を切っている会社がほとんどです。ゼロの会社も珍しくありません。ですから、インフォテリアが、研究開発費を売り上げの1割近くも費やしている(2014年度実績)のを見ると奇異に見えるかもしれません。しかし、それが私たちの挑戦の形です。目の前のニーズに応えるだけでなく、世界に大きな貢献をしたい。だから、注文書をいただいたから作るのでなく、失敗があろうが、無駄があろうが、自らのテーマを研究し開発を続けるのです。

なぜ「猛暑テレワーク」を始めたのか?

今日、東京では7日連続の猛暑日に突入。
「炎天下」という言葉がぴったりの日々が続いています。

インフォテリアでは、この猛暑対策として「猛暑テレワーク」の推奨を始めました。「猛暑テレワーク」とは、猛暑日(最高気温が35度以上)が予想される場合に、オフィスに出勤せずに自宅などオフィス以外の場所で勤務するものです。発表ではわかりやすいように(在宅勤務)と補足しましたが、実際には近くのカフェやコワーキングスペースなど、仕事のしやすい場所どこでもOKというものです。

この取り組みは日本初だったようで、IT系のメディアだけでなく、複数の新聞で取り上げられ、昨日はテレビ朝日の「報道ステーション」でも放送されるなど反響を呼びました。

一連の取材では、「どこもやっていない事に何故踏み切ったんですか?」とも聞かれました。しかし、「発想と挑戦」を経営理念のトップに挙げるインフォテリアでは逆に「前例がないこと」はやる理由にはなっても、やらない理由にはなりません。誰かがやり始めないと何も始まりません。今回もインフォテリアの取り組みが他の企業でも働く環境を工夫するきっかけになればと考えて発表したものです。

インフォテリアでは、2011年の東日本大震災を機に、タブレットの全社員配布や、自社製品「Handbook」を使った情報共有など、テレワーク環境の整備を進め、個人個人の事情による事前申請型のテレワークを行っていました。これによって、例えば、子育てなどの個別の事情に合わせた働き方の多様性を促進しています。

今回の「猛暑テレワーク」は、「良い仕事は、良い環境から」の考えのもと、猛暑日に満員電車で通勤する必要なく、快適な環境で良い仕事をしてもらうことを意図して決定・実施しました。実際、この夏FacebookやTwitterでは、会社に着くまでに疲れ切っている投稿も多く、猛暑時の通勤は無駄なエネルギーを費していることがよくわかりました。全社員にテレワーク環境の整っているインフォテリアなら追加のコストや制度構築なくすぐにでも始められたことも大きなポイントです。

具体的には、午前5時に気象庁から発表されるその日の最高気温が35度以上が予想される日に、仕事の予定上支障がない場合、上長の許可を得てテレワークを行うというものです。気象庁のウェブサイトに毎朝見に行くのが面倒という人のために、猛暑日の予報が出た場合にメールが届くサービスも「ASTERIA WARP」で開発しました。(開発期間:15分)

このようにITを駆使することで、働く環境を良くしていくことに、インフォテリアはこれからも取り組んでいきます。

ASTERIA導入5000社突破!〜感謝のグリーン活動〜

ついに!この日がやってきました。

ASTERIAの導入社数が、5,000社を突破です!

ノン・プログラミングでデータ連携が出来るASTERIA(R2)を出荷したのが13年前の今日、2002年6月25日でした。初年度の導入社数は、たったの20社。そのペースだと、5,000社達成には250年かかる計算ですが(笑)、おかげさまで、13年間で5,000社を達成することができました。

これも、ASTERIAを評価・活用いただいいているユーザー企業の皆様、ASTERIAを推薦・販売いただいているパートナー企業の皆様など携わっていただいた多くの皆様のおかげです。また、製品の開発、マーケティング、営業、サポート等を担った社員一人一人の積み重ね無しには達成することは出来ませんでした。ASTERIAに関与していただいた全ての皆様に感謝いたします。

この皆様への感謝を、具体的に社会に還元すべく、「Infoteria Green Activity」という活動を始めます。この活動を通じて、グリーンをコーポレートカラーとするインフォテリアは、「地球環境・自然」 と「人間社会・産業」との間の「エコシステム」の構築に向けた施策を中長期的な視点で展開し、サスティナブルな社会の実現を目指します。

その第1弾として、私の故郷である熊本県にある小国町に生育する5,000本の樹木の保守管理を行いうことを発表しました。

実は、最初に思い立ったのは、5,000本の植樹です。卒業記念、ホールインワン記念、いろいろな記念植樹がありますから(笑)。しかし、5,000本の植樹をしたいと関係方面に相談したところ、「いま日本に必要なのは、樹を植えることではなくて、樹を切ることだ」という話に面食らいました。

どういう意味か?

いま日本では、木材の使用が減り、植えた樹が使われないために、森林は手入れをされずに放置されていて荒れていることが問題だというのです。

意外と知られていない事実(私も知りませんでした)ですが、日本は世界でも有数の森林大国です。国土の中で森林が占める割合を表す「森林率」が、日本は、フィンランド、スウェーデンに次いで世界で3番目に森林率の高い国なのです。「世界森林白書2010」※1によると、日本の森林率は68.5%で実に国土面積の約2/3強を森林が占めているのです。世界の森林率の平均が約31%である ことを踏まえると、驚くべきことですね。

一方で、これほどの森林大国であるにも関わらず、日本の木材自給率は28.6%(出典:平成26年度 森林・林業白書※2)に過ぎず、多くを輸入木材に依存しているのが実情です。 これほどの森がありながら自国の木材がなかなか消費されないことで、日本の森林は、今、荒廃の危機にされされているというのです。

そこで、私たちインフォテリアがまず取り組むことにしたことが、手入れが行き届かなくなった 5,000本の樹木の管理を請け負い、森林の再生を図ることです。そして、日本の木材の需要が高まれば、こうした問題はおのずと解消されるわけですから、 第2弾、第3弾では、間伐した木を木材加工品の原料として活用するなどして自律的に持続可能なエコシステムをもう一度復活させるための活動を行い、林業や林産業のエコシステムの復活に繋がるような社会に貢献していきたいと考えています。

よりグリーンな(地球環境を守りながら持続可能な)社会のために。微力ながら。

※1:世界森林白書2010  http://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/
※2:平成26年度 森林・林業白書 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/26hakusyo/pdf/6gai4.pdf

Egisonに見る「イノベーション」の「べき」と「たい」

2月3日(火)に開催された日本情報処理学会主催のSOFTWARE JAPAN 2015の招待講演として「日本のソフトウェアはもう世界に羽ばたくチャンスはないのか?」と題して話をしました。イベント全体のテーマは、「日本から破壊的イノベーションを起こすには?」ということでしたので、大まかに以下のような内容で話を構成しました。

・ソフトウェアの輸出入格差、日本の市場シェア
・ソフトウェア企業米国輸出/撤退の数々
・米国と日本の違い:技術以上に経営とマーケティング
・破壊的イノベーションを阻害する3つの罠+最大の罠

その中でも特に私が強調したのは、イノベーションを阻害する最大の罠である「『べき』の罠」です。

このようなイベントで「イノベーション」が話題になるときに、よく聴くのが、「イノベーションを起こすにはどうすべきか/どうあるべきか」という言説です。しかし、私にはこのような大人数での討議や活動の「べき」論からイノベーションが起こる気が全くしません。「べき」で語られることは、全て誰かがやっていること、言っていることです。一方で、イノベーションは、その定義により「斬新なこと」ですから、そもそも「べき」とイノベーションは対局にあるのです。

私は、イノベーションを生み出す源泉は「べき」ではなく「たい」であると確信しています。そして、なんと同じSOFTWARE JAPAN 2015で、まさにその実例に遭遇したのです。

その実例とは、本編の一連の講演ではなく、「ソフトウェアジャパンアワード」を受賞した新プログラミング言語「Egison」。「Egison」は、その作者の江木(Egi)聡志さんが東京大学在学時に、「より人間の直感に近い表現でコンピュータを使いたい」という思いから生まれた新しいプログラミング言語です。具体的には、コンピュータ処理の中でも重要な要素の一つであるパターンマッチングを簡潔かつ直感的に記述できます。


江木聡志氏ソフトウェアジャパンアワード受賞スピーチ資料より

江木さん本人の受賞スピーチでその説明を聴いて、この言語が、まさに江木さんの「たい」を実現するために作られたことと、この言語がプログラミング言語の歴史の中でも破壊的なパワーを持つ可能性を秘めていることを感じ、身震いがしました。

Egison」は、まだほんの一部でしか使われていませんが、「Ruby」に続いて日本発で世界で使われる可能性を秘めています。まさしく、大人数でイノベーションを討議するよりも、一個人の「たい」が実際にイノベーションを起こしていく好例です。プログラミング言語に興味のある方は、ぜひ「Egison」に触れてみてください。

《関連リンク》
Egison受賞プレゼン(Slideshare)
Egisonウェブサイト

BSイレブン「財部誠一の経済深々」に出演

BSイレブン「財部 誠一の経済深々」の出演が終わりました。

この放送は、経済ジャーナリストの財部誠一さんが、毎回1人のゲストを呼び、その経営や哲学について30分強の時間をかけて鋭く切込むという番組です。この手の番組には珍しく生放送。

本番より少し早めにスタジオ入りしたのですが、全く打ち合わせなしで「流れに任せてください。いつも通りでいいですから」と、シナリオもリハーサルもなしで生放送の本番に突入!

「最初に会社のことを少し紹介します」ということで、唯一用意した(それもスタジオで(笑)Handbookの画面は、生放送ならではのハプニングで、表示されずに生放送内でやり直し(笑)

それでも、財部さんの軽快なリードのおかげで、緊張する暇もなく、あっという間に放送が終わりました。

放送の冒頭で「こういう内容は収録でやることが多いですよね」と言ってしまったのですが、財部さんが生放送にこだわっているのは、「Larry King Live」のように、ライブならではの面白さを引き出すことなのだそうです。

確かに、大企業の経営者のインタビューを「収録」にしてしまうと細かなカットや編集が入ってしっかり管理された内容になりそうですが、その分「生の声」の度合いは下がってしまうに違いありません。

前回の出演者はJR東日本社長、そして次回は三井住友銀行頭取、といかにも場違いな今回の私の出演でしたが、ライブ感だけは前後の社長に負けない自負はあります(笑)

社外取締役は必要なのか?

いま経済界では「社外取締役」の義務化が取り沙汰されていますが、先週、インフォテリアの定時株主総会では、社外取締役が2名選任されました。取締役会は「会社の重要な意思決定と業務執行の監督を行う」役目を負っています。そのメンバーのなかでも社外取締役は、社内のしがらみや利害関係に縛られず役目を適切に果たし企業ガバナンスの強化を行う事を期待されています。

日本の企業は、取締役を出世の階段として扱うために取締役の職務が単に「偉い人」であることも少なくなかったのですが、最近では取締役本来の役割が少しずつ重視されてきているようです。その結果、社外取締役の設置の義務化が議論されていますが、これに反対している企業・団体も少なくありません。

一方、インフォテリアでは、創業時から一貫して社外取締役を置いています。これは、上記の社外取締役の役目、効果に加えて、ベンチャー企業である当社が、新たにチャレンジ(リスクテイク)していく領域に対して経験・知見を持った方に、経営判断・監督に参加していただくためです。

この考えから、インフォテリアでは創業からこれまで、以下のような視点で社外取締役を選んでいます。

<創業期のチャレンジ>
企業としての基礎体力をつけること
→財務・ソフトウェア企業経営に経験・知見のある方
(村口和孝氏、菊池三郎氏)

<上場前後のチャレンジ>
国内における自社製品による確固たる事業基盤を作ること
→国内の情報サービス事業、ネット事業にに経験・知見のある方
(浜田正博氏、千田峰雄氏、樋口理氏)

<現在のチャレンジ>
新市場への投資・展開を成功させること
→海外市場での事業や投資に経験・知見のある方
(宋文洲氏、磯崎哲也氏)

そして今回は、日本を代表する製造業においてEurope統括子会社CEOやAsia Pacific統括子会社社長を歴任された齋藤周三氏と、現在シリコンバレーのベンチャーキャピタルのCEO、Anis Uzzaman氏を推薦し、選任されました。

このように、インフォテリアでは社外取締役に大きな意義を見いだし、創業来一貫して社外取締役を置いています。また、知見・経験に加えて重視していることは、取締役会で活発に発言してくださる方ということです。そうでなければ、社外取締役が形式化してしまうからです。実際、インフォテリアの取締役会は創業時から社外取締役の方が活発に発言いただいてますし、社外取締役からの議案提出や社外取締役の意見で否決される議案もあります。

社外取締役の導入に反対する意見の中に、「外部を入れると意思決定が遅くなる」という意見がありますが、社外取締役が過半数を占める米国の企業の方が意思決定が速いのは多くの人が認めるところと思います。また、「何もわからない人に判断に関わって欲しくない」という意見もありますが、インフォテリアの経験では、社外取締役の方が発せられる的を射ないような質問ですら、社外から見るとそう考えるのかという社内では気がつかない気づきとなり、より熟考することにもつながります。

社外取締役を「義務化」するとなると、形式化してしまいかねないので、私自身は企業の判断で良いとの考えですが、社外取締役には単にガバナンスを強めるだけでない、経営的なメリットもあるということを強調しておきたいのです。