XMLの今後の方向性とそのインパクト
インフォテリア株式会社 平野洋一郎
「XMLとは何か?」
- XMLが注目されるようになって、最近多くのメディアでこのような記事が取り上げられています。内容は、「技術的な詳細」、「HTMLとの違い」、「標準化の経緯」などさまざまな切り口があります。しかし、XMLの将来性について考えると、これらの切り口だけでは不十分です。XMLは、新たな構造化文書記述言語というだけでなく、あらゆるデータを記述でき、その結果として「ソフトウェアとデータの関係を変える」革新的なテクノロジーであるという点に、大いに注目すべきです。
確かにXMLは、SGMLの流れを汲み構造化文書記述言語として標準化が始められたものですが、今やXMLは、文書記述の領域を超え、あらゆるデータの記述言語としての道を歩み始めています。この新しい方向性について、XMLの生みの親の一人であるTim Bray氏は、PC WEEK 10月23日号のインタビューで「面食らっている」 と答えています。しかし、XMLは既に生みの親の意志をも超えて活躍を始めようとしているのです。
XML
'98 @ Chicago にて
この新しい方向性は、1998年11月に米国シカゴで行なわれた「XML'98」カンファレンスでも感じられました。
このカンファレンスは、米国内外から約1,400人が参加したセミナー&展示会で、XMLに特化したイベントとしては最大の物です。オープニングキーノートスピーチ(基調講演)に立ったアドビシステムズの創立者で、会長兼社長のCharles M. Geschke氏は、「ドキ ュメントとデータベースの収斂とその重要性」を訴えました。また、クロージングキーノートスピーチでは、Oracleが、特定のDTDに依存しないデータとしてのXMLの可能性をデモを交えながら示しました。カンファレンス最終日のアナリストセッションにおけるアンケートでは、約4割の参加者が「データとしてのXML」に興味があって参加したと答えました。
これらの動きから解ることは、ソフトウェアベンダーやユーザーの関心としても、XMLは明らかに「文書記述言語」から「あらゆるデータを記述する言語」に役割をシフトしつつあるということです。
技術動向から見る方向性
技術的な側面でも、この方向性が確認できます。XSL, XLink, XPointerなどの、構造化文書記述としての技術に加えて、RDF, XML Schemaなど、あらゆるデータを処理する為の技術が既に標準化されつつあります。さらに、XMLをベースとした、XQL, WIDL, P3Pなど文書以外への応用が次々に提案されているのです。(個々の技術については、 W3Cのウェブサイト参照)
この点は、まさに今後のXMLの方向性を大きく示唆する物と言えます。XMLは、SGMLの技術を基盤にしており、現在のところツールや用途としても文書が主体ではあるものの、早晩、文書にとどまらず、あらゆるデータの記述をする基礎言語となっていくのです。
そしてソフトウェアとデータの関係を変えていく
従来、ほとんどの「データ」は、ある特定のソフトウェアの従属物でした。オフィスソフトのデータも、メインフレームのデータも、EDIの電文も、アプリケーションソフトウェアプログラム(以下 ソフトウェアと呼ぶ)に依存したプロプライエタリなデータフォーマットで記述され、他のソフトウェアで解釈するには、データを変換したり、一部データの欠損に甘んじる必要がありました。
これらのデータをXML化し共通化することによって、特定のソフトウェアに依存せず、かつ意味付けを保持したデータを記述できるようになるのです。つまり、データは、特定のソフトウェアの従属物という呪縛から離れ、自立することができるという訳です。これによってユーザーは、その資産であるデータを、目的や環境に応じて最適のソフトウェアで処理することができるようになります。
これは、DOSやWindowsにより「ソフトウェア」と「ハードウェア」が分離(アンバンドル)され、目的や状況に応じて最適な組み合わせで使うことができるようになった時の変革と同様です。つまり、XMLによって「ソフトウェア」と「データ」が分離(アンバンドル)され、個々の状況に応じた最適の組み合わせで使うことができるという大きなパラダイムシフトの訪れを意味します。
このように、XMLの普及によって、ソフトウェアとデータの関係が変わるのです。データは、ソフトウェアの従属物では無くなります。ユーザー(企業、個人を問わず)の本当の資産であるデータを、透過的に、そして最適なソフトウェアを選んで処理できるようになり、意味付けされたデータを特定のソフトウェアに依存することなく半永久的に保管することができるようになるのです。これが、構造化文書記述から発展したXMLの今後の方向性であり、この点において、XMLはコンピュータ技術全体に関わる極めて重要な技術なのです。
(C) 1999 Infoteria Corporation 【禁無断転載複製引用】
* 1998/12/26 初掲
* 1999/01/06 一部更新
日時: 1998年12月16日 00:00 | | TrackBack
