株式会社リコー
拠点間の連携基盤構築によりリコーの半導体生産管理システムを統合
異なるシステムを強固につなぐASTERIA WARPと外部との安全なデータ伝送環境を作り出すASTERIA DataCaster
複写機やプリンタを中心としたオフィスソリューション分野を中核に、光学機器や半導体などの産業分野、デジタルカメラをメインとしたコンシューマ分野など、幅広い製品群を展開している株式会社リコー。中でも、産業分野における半導体事業は、ノートPCやデジタル家電に使われる制御ICと主に携帯電話に使われる電源ICに分かれており、PCのカードインターフェースICについてはワールドワイドでトップシェアを占めている。そんな電子デバイスカンパニーではMES(Manufacturing Execution System)を運営し、また協力工場や委託先倉庫とはデータ連携を実施している。MESや拠点間のアプリケーション連携基盤となっているのがASTERIA WARP、拠点間とのセキュアなデータ連携を強力にサポートしているのがASTERIA DataCasterだ。
さまざまなシステム間のデータの整合性確認にかかる膨大な工数が課題
![]() |
| 電子デバイスカンパニー 生産統括部IT/S技術支援課 スペシャリスト 高田 雅弘 氏 |
同社の電子デバイスカンパニーは、電源用や通信用など目的に合わせたIC開発を行っており、あわせて設計・生産管理・製造・品質保証・販売まですべて自社で行うことができる環境を整えている。しかし、携帯電話に使われる電源ICの需要が7.8年前から急激に伸び始めたのをきっかけに、製造コストの圧縮や生産の効率化を図るべく、外部への委託生産が拡大したと電子デバイスカンパニー生産統括部IT/S技術支援課の高田雅弘氏は語る。「当社の工場にあるMESと呼ばれる生産進捗工程システムが半導体の生産管理を行っています。実は、需要が伸びた数年前から、そのMESだけでは委託先を含めすべての工程を管理できなくなり、様々なシステムがそれぞれの工程を受け持つことになり、アプリケーション連携においてデータ間の整合性が取れない状況に陥ったことがあります。そのため、本来実施すべき週次による生産計画を完全な形で立案できずにいました。」と当時を振り返る。半製品在庫などが毎朝、正確に確認できなかったのだ。
そこで出会ったのが、当時セミナーを受けたASTERIAだった。当初は、様々なプログラムを駆使してDBテーブル間のマッピングを行っていたが、複数のDBやファイルとの柔軟な連携が可能なASTERIAに出会ったことで導入を決意したと高田氏。実際にASTERIAを導入してシステムを構築したところ、アプリケーション連携部分のデータ整合性作業に手間がかからなくなり、作業効率が大幅に改善されたという。しかし、データ通信部分については、ファイアウォールを越えていかないと外部とのデータ連携ができないということもあり、EIAJに似たフリーフォーマットによるEDIを今年まで実施していたと高田氏。しかし、フリーフォーマットによるEDIでは、委託先に仕様を実装してもらう必要があるため、小規模な取引の委託先では対応していただきにくいという課題が浮上したという。
ASTERIA DataCasterでセキュア通信に対する抵抗感を完全払拭!
EDIによる連携について高田氏は、「EDIの仕様は人間が目で見て確認するには難しいものです。自動連携しているときには気になりませんが、エラーが発生したときにはどうしても人の手が介在することになります。その場合は原因特定に時間がかかることも多くありました。」
そこで高田氏を含めたメンバーは、EDIによるデータ連携から別のデータ受け渡し方法を模索することになる。「社内で特定ツールによるデータの受け渡しを行っているシステムがあり、その手法でファイアウォール越えができるかどうかを検討しました。」しかし、同社のセキュリティポリシーでは特定のポート接続を許可しない運用となっており、ファイアウォールの非武装地帯であるDMZ上に複数のサーバを設置するなどの工夫が必要だったという。「運用でログがきちんと取れるのかなど不安な点が多々ありました。」
そんな中、インフォテリアから新たな製品であるASTERIA DataCasterを紹介されたと高田氏。「ASTERIA DataCaster上に名刺を登録するだけでデータの安全なやり取りができる名刺の交換機能というアイデアはかなり斬新だと思います。SSLというキーワードを聞いただけで抵抗感があるものですが、登録された情報のみでデータ及び通信の暗号が同時に実現できるASTERIA DataCasterのコンセプトはすばらしい。なぜこんな便利な仕組みがこれまでなかったのか、不思議でなりません。」と高評価だった。また、事前に導入したASTERIAがトラブルも少なく安定稼動しているという信頼性についても、製品選定のポイントとして評価したという。
約50%の通信コスト削減に成功! 生産量増加にも大きな追加投資なく対応
現在は、MESが構築されている自社工場で作られた半導体ウェハを、各協力工場で組立を委託した後、その出荷実績が事業所にある外注管理システムに送られるのと同時に、品質管理のQA(Quality Assurance)システムにASTERIA DataCasterを介してデータが渡される。品質検査で問題がなければ、委託先の倉庫へ入荷され、その実績をASTERIA DataCasterを介して営業システムに送る運用になっている。また、営業システムでは倉庫にある製品在庫の出荷指示を行い、客先・代理店へ製品を出荷している。その実績のデータ通信もASTERIA DataCasterを介して行っている。今年中には組立を行う各協力工場とも連携する検討をしたいという。
実際のコストについて高田氏はこう評価する。「これまでのEDIでは、基本料金プラス従量によって課金されていましたが、ASTERIA DataCasterでは月額の基本料金のみ。約50%のコスト削減に成功しました。また、非常にシンプルな仕組みで通信を行うことができ、運用コストも削減できそうです。」シンプルな仕組みだからこそ、人を介した小規模な取引もできるようになり、今後、新規で行う取引先が増えても、データ連携に対する負荷も減らすことができそうだと高田氏は満足げだ。
さらに、これまでは定刻のバッチで上記のようなデータ連携を行っていたが、リアルタイムに近い形で連携が可能になるため、今後の生産量増加にあわせても柔軟に対応できるようになる。大きなシステムの追加投資を行わずに生産量増加に対応できることは、大きなメリットだという。
車載ビジネスに必要なトレーサビリティ環境の実現と
ASTERIA MDM One導入も視野に入れた生産管理システムの統合を目指す
今後の展望について聞いたところ、技術系のデータ統合も視野に入れていると高田氏は語る。「生産システムで作ったモデルを横展開していくことで、各拠点に散在している技術情報を紐付け、トレーサビリティができるシステムを構築したいと考えています。」今後の取引には、品質基準のより厳しい車載向けICのビジネス展開を計画しているという。車載ビジネスでは、障害発生時に原因特定が可能なトレーサビリティの考え方が欠かせない。
また、前述の通り、委託先倉庫との間だけで行っているASTERIA DataCasterでのデータ連携を、国内数社の協力工場へもシステムを展開していくことも検討している。「委託先倉庫での運用実績をもとに他の取引先にもシステムを拡大することで、ERPのような大型パッケージを導入することなく、柔軟な連携が可能な生産管理システムを作りたいと考えています。」と高田氏。
さらに今回の導入によって、アプリケーション連携のみならずマスターデータを連携させることで巨大なシステムを構築できるASTERIA MDM Oneの導入にも意欲をにじませる高田氏。「ASTERIAでの成功があったからこそ、マスターデータ連携まで視野に入れた将来像を描くことができるようになったのです。」社内のデータ連携のみならず、様々な場面で今後も積極的にASTERIA製品群を活用していきたいと抱負を語ってくれた。
※この内容は2008年5月時点のものです。
会社概要
株式会社リコー
複写機やプリンタ、ネットワーク機器、半導体、光学機器、デジタルカメラなど、幅広い製品の設計・製造・開発・販売などを行う。2007年3月現在で従業員数は約8万人、連結売上は2兆円を超える。
| 所在地 | 東京都中央区銀座8丁目13 番1丁目 |
| URL | http://www.ricoh.co.jp/ |



