株式会社日本AE パワーシステムズ
ASTERIAをETLとして活用
3社合併によるシステム間の壁も難なくクリア
的確な経営判断により事業力の強化を図るには、過去だけではなく現在の企業活動を把握できるような仕組みが必要だ。だが、企業内に存在する膨大なデータを企業の意思決定に利用するためのシステムづくりは、非常に高度で困難も多い。ましてや、異なる企業が合併したとなれば、その困難はより複雑さを伴って増幅する。株式会社日本AEパワーシステムズの情報システム部ではこのような状況を認識した上で、経営情報を可視化するBI(Business Intelligence)システムの構築に取り組んだ。そのBIシステム構築にあたり、現場にある情報をOLAPツールの利用するデータマートにロードするETL用途(Extract、Transform、Load)や、分析結果を利用者に配信する用途でASTERIAが活躍している。
業務提携がもたらすシナジー効果の影に立ちはだかるシステム構築の壁
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| 情報システム部 部長 大庭 幸年 氏 |
今回ASTERIAを導入したのは株式会社日本AEパワーシステムズだ。同社は、電気を安定供給するために必要な送変電・受変電機器の製造や販売、サービスの提供などを行なう企業として、株式会社日立製作所、富士電機株式会社、株式会社明電舎の3社が手を結び、2001年に3社の変電事業を分割して合弁会社が設立された。
それぞれ歴史と実績のある会社であり、各社の技術力やネットワークのシナジー効果が期待されているのは言うまでもない。現在、日本AEパワーシステムズでは新しい時代のエネルギービジネスに対応するために、今まで以上の製品やサービスをお客様へ提供することを使命に活動している。
そのような中、同社の経営陣は、ビジネス環境が急速に変化している時勢をかんがみ、よりスピーディーな経営判断を下すため、企業活動の動向を把握するためのシステム構築を情報システム部に要求した。
そこで、同社情報システム部部長の大庭幸年氏を筆頭に、2005年4月に経営情報を可視化するBIシステムの構築を検討することとなった。現在提供している情報は全て結果の集計であり今がどうなっているかを把握することしかできない。そのため手作業により多くの情報を編集して将来を判断する資料を作成していた。経営判断には過去に加えて現状把握が欠かせない。過去と現在の経営の動きを把握してこそ、将来が見通せて正確な意思決定が下せる。大庭氏はこのような問題に着目し、「将来が見える仕組み作り」を目指した。
BIシステムを稼働させるためには東京本社で保有している情報だけでは足りず、実際に製品を製作している事業所からも情報を収集する必要がある。しかし、3つの会社が一つになったことによる弊害が、システム構築にあたって大きく立ちはだかっていた。日本AEパワーシステムズは国内に東京本社と3つの事業所、8つの支店を持ち、海外にも拠点を持っているが、情報収集の対象となる国内の事業所で稼動しているシステムは同社が設立される前の日立製作所、富士電機、明電舎時代の仕組みであり、管理情報や考え方はもちろん、情報の意味さえも違う。さらには、社内で使われる言葉の定義も出身母体が違う3事業所で微妙に違うなど、乗り越えなければならない壁が複数存在した。
SAPやOracleなど異システムからのデータ抽出もFTPやメールからの抽出もASTERIAで処理
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| 情報システム部 生産システムグループ マネージャ 大友 幸太郎 氏 |
大庭氏が頭を悩ませていた時、SIを担当していた日立INSソフトウェアから紹介されたのが「ASTERIA」だった。「それぞれのデータベースごとにインターフェースを作成するとなるとかなり面倒ですし、データベースに登録したデータの検証には時間が掛かります。しかし、インターフェースをすべて作るのではなく、システムへ渡すデータを作れば、あとはASTERIAがやってくれますので、これは便利なソフトウェアだと思いました」
ASTERIAは今回のBIシステムで主に、基幹システム(SAP/R3、ORACLE)データの収集、個人で管理されているEXCELデータの収集、データ変換・加工、データマート(ORACLE)への取り込み、また分析結果のメール配信、といった用途で利用されている。これらの各処理は開発ツール“Designer”によりノンコーディングで実現し、WEBベースの管理コンソール“ ASMC(ASTERIA Server Manager Console)”によりジョブを管理、日時を指定して自動で処理を行っている。
基幹システムデータの収集では、ネットワークの制限がない場合には、ASTERIAのデータベース連携機能により直接データを取得している。また、ネットワークの制限があり、直接データベースとの接続が出来ない場合には、事業所でデータを抽出しFTPで転送することにより、その後の、FTPでのファイル受信、変換・加工、ORACLEへの取り込み、という処理をASTERIAで自動化している。
また、個人がExcelで管理している更新頻度が高い“予算”や“見込み”といったデータの収集では、ASTERIAのオプション機能であるExcelアダプタを採用することにより実現している。具体的な処理の流れとしては、ユーザーは単にEXCELをメールに添付して送信するだけで、その後のメール受信、添付されたEXCELファイルの抽出、変換・加工、ORACLEへの取り込み、という処理をASTERIAで自動化している。
このようにASTERIAを利用することによりシステム間のデータだけでなく、システム化の難しい個人管理データのやり取りも実現し、また、事業所内のネットワークの制限があっても汎用的な通信手段を利用することにより、ネットワークやシステム環境に制限されないシステムを構築することができた。
ASTERIAは汎用的なデータベース・ファイルフォーマット・プロトコルに対応しており、また、データの抽出・変換・加工・取り込みといった機能を実装している。その為に環境にあった最適な方法を選択可能となっており、この間口の広さや柔軟性がASTERIAの大きな強みとなっている。こうして同社では、ASTERIAを活用することにより、拠点間の異なるシステムやネットワーク環境の壁を乗り越えたのである。

現状把握の鍵は受注情報と生産情報
本システムにおいて柱となるデータは、各営業部門から送られてくる受注情報と各事業所から送られてくる生産情報の2つである。どちらも現在進行形の企業活動を把握するのに鍵となる情報だ。受注情報と生産情報を合わせて把握することで企業活動がより精細に見えてくるようになる。
ここで問題となったのが、事業所ごとの管理の考え方の違いであった。「例えば、同じ製品の原価を複数の事業所に問い合わせると800万、900万、1000万と違う答えが返ってくることがあります。一見して800万が一番安いように思えますが、単純に原価に計上する項目が各事業所で違っていることから起こる問題でした」と大庭氏は説明する。同じように、受注統計でも作る部署によって値が違っていたりするのだ。しかし、これでは正確さを欠いたデータとなってしまう。
そこで、このBIシステム構築を機に、BIシステムが提供する情報を会社の統一情報と位置付け、各所で作成される類似情報を統一させることにした。これは、現場から反感を買いかねないため、決断には勇気が必要だったという。それでもそれを決行した背景には、「同一情報に対して判断の基準となる値が複数存在していては正しい情報が提供できない、統一した管理の元で情報を提供する事により精度も向上するし、システムの存在価値を高めることもできる」(大庭氏)、という思いがあったからだ。
着手から試行までわずか3ヶ月 短期間での構築を支えたASTERIA
同社情報システム部 生産システムグループ マネージャ大友氏を中心に2005年4月の構想を基に、システムの構築に着手したのが同年7月、それから3ヶ月後の10月にはシステムの試行を開始した。わずか3ヶ月での稼動を可能にしたのもASTERIAならではのGUIベースの開発環境だ。その後、本格的に運用を開始したのは2006年4月から。現在150名がユーザーとしてこのシステムを利用している。
4月以降は、生産情報のインターフェース開発に加え、経営者、管理職に提示する最終的なアウトプット方法についても改良を重ねている。知りたい情報は人それぞれに微妙に異なり、そのため求める情報の組み合わせや切り口は十人十色で多様な要望が出ているというのだ。
「このBIシステムは新規のシステムでまだまだ発展途上であるという認識でいますが、既存システムや一般社員に与える負荷は最小限に抑えて構築することができたと自負しています。」(大庭氏)
今回のASTERIA導入で得た社内情報の収集技術を、今後は材料調達のための納期管理システムなどに応用していく構想を持っているという。日本AEパワーシステムズは、このBIシステム構築を弾みに情報システムを発展させ、より確実に経営に活かして成長を続けることだろう。
※この内容は2006年11月時点のものです。
会社概要
株式会社日本AEパワーシステムズ
株式会社日立製作所、富士電機株式会社、株式会社明電舎の送変電・受変電・配電分野での事業提携により、2001年設立。この3社の技術をさらに高めエネルギーをつくる側と使う側との間で、新しい価値、新しいビジネス、ソリューションの提供を行なっている。
| 所在地 | 東京都港区西新橋三丁目8番3号 |
| URL | http://www.jaeps.com/ |



