
ITpro EXPO 2008 Autumnの展示場内に設けられた特設会場では、インフォテリアのセミナーが行われました。弊社の油野達也(執行役員/エンタープライズ事業部長)が、「マスターデータ管理の製品ラインナップ完成~MDMの初歩から運用までイッキに解説~」をテーマに、マスターデータに関わる諸問題を解決する新製品「ASTERIA MDM One」について紹介しました。
セミナーでは、その内容を前半と後半に分け、前半でマスターデータマネジメント(以下、MDM)の概要について説明しました。油野は、まず結論として「そもそもMDMとは、経営や業務問題を解決する手段であり、目的ではない」という点を明確にしました。MDMとは、社内システムの基盤を整備することであり、それぞれのサブシステムに本来のパフォーマンスを発揮・向上させるためのアプローチであるということです。それでは根本的な問題として、なぜこのような基盤整備が必要なのでしょうか?
生産管理や販売管理などのサブシステムを構成するパッケージソフトウェアは、業種に特化し、独立性や専門性が高い、優れた製品が数多く登場しています。ところが、これによって問題も起きています。油野は、現在のITシステムの状況を建築に例え、「新しい家が1つずつ独立して建ち並ぶような状況」と述べました。実は現在のITシステムは、さまざまなパッケージソフトウェアがモジュール化された状態でシステムに組み込まれています。必要なものを必要なときにチョイスしてインテグレートしていく「Best of Breed」の考え方ですが、この手法は多くのSIerに大きな負担をかける結果になりました。
油野は「この結果、もう予算的にも面倒をみきれない、と悲鳴をあげるSIerも多く出ている」と指摘しました。そこで、いまBest of Breedをさらにもう一歩進め、システム構築を新しく変革しなければならないタイミングが訪れていると言います。「これらのシステムは、何度変化しても常に整合性を保てるものでなければなりません。それこそ Best of Breedが進化できる理想の形となるものです」と強調しました。
そこでMDMという考え方が出てきます。マスターデータをしっかり管理できる基盤を構築しておけば、たとえ、いつどのような変化が起きたとしても、その基盤上に載るパッケージソフトウェアを交換し、迅速にデータを引き継げる状態になるというわけです。
最近ではASP/SaaS型サービスも多く登場していますが、このサービスにおいてもMDMの考え方は重要です。マスターデータの移行時に、次のシステム側へスムーズに引き継いで整合性をとっていくことは大変なことです。したがってシステム切り替える場合にも、MDMの考え方が大切になるのです。
またMDMは、ITシステム担当者のみならず、経営側の課題にも密接につながるものです。マスターデータをしっかり管理できないと、多重入力によるデータの煩雑化が起こり、それが原因で売り上げを損失したり、顧客情報を正確に共有できなくなることもあります。法規制による対応から、マスターデータへのアクセスコントロールが求められることもあるでしょう。変化の激しい時代ですから、M&Aによる企業買収でデータを統合する必要性も出てくるかもれません。
さてセミナーの後半の内容は「MDMの実際」として、具体的にどのようにMDMを導入していけばよいのか? という実践的な話が中心になりました。油野はMDMの3つの構成として、「データクオリティ」「データガバナンス」「IT(データスチュワード)」の3つの要素について概要を解説しました。
まずデータクオリティに関しては、データの品質が本当に保たれているか、よくチェックする必要があります。データは必ず汚れるものであり、一時的でなく、定期的なクリーニングをしなければなりません。そして、どこまで品質を上げるのかというルールを決める必要もあります。油野は「まず、はじめにあるべき本来の姿(テンプレート)を見直します。次にデータをクリーニングします。そのあとで本当にきれいになっているのかチェックします。もしデータがきれいになっていなければ、あるべき姿を再度、見直します。特に重要なポイントは、これらのプロセスをサイクリックにまわしていくことです」と説きました。
次にデータガバナンスの話ですが、これはマスターデータをどのように運用・管理するのかという指針になるものです。たとえば、きれいなデータと汚れたデータを区別するルールや、データのライフサイクル、データの同期の取り方など、ルールを決めてMDMを導入する必要があります。
そして、これらを支えるIT(データスチュワード)として、データハブ(連携するもの)、管理システム(管理するもの)とテンプレート(あるべき姿)、クレンジング(品質保持)などが挙げられるとしました。インフォテリアでは、各システム間のマスターデータの連携・処理を行う4つの製品・サービスをラインアップにそろえ、「ASTERIA MDM Oneシリーズ」としてMDMに関するあらゆる機能を網羅していることを説明しました。
【ASTERIA MDM Oneシリーズ】
・ASTERIA MDM One DQ(クレンジング・名寄せサービス)
・ASTERIA MDM One MH(マスターデータハブプロダクト)
・ASTERIA MDM One MI(統合マスター管理製品)
・ASTERIA MDM One GT(ASTERIA MDM One MI導入支援サービス)
最後に油野は講演の総括として、MDMは単にITツールを導入すれば済むものではなく、データのクオリティやガバナンスをしっかり決めなければならないこと、さらにMDMを継続的に運用しなければ意味がないことを強調しました。「MDMをサイクリックにまわし、継続的に運用すればするほど、経営品質も向上していきます。MDMの問題は欧米だけでなく、国内でも近いうちに必ずクリアしなければならないものと考えなければなりません」と述べて、講演を締めくくりました。