コラム[上級編]第5回:MDMの展望-マスターデータガバナンス
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上級編の最終回は、最近耳にする機会が増えてきた「データガバナンス」とマスターデータ管理(MDM)の関係について説明します。英語版のWikipediaにある説明の要点を抜き出すと、データガバナンスは次のように位置付けられます。
(1)データガバナンスは発展途上中の新しい学問分野である。
(2)データガバナンスの内容は組織内でデータを取り扱う際に関係するデータ品質、データ管理、データポリシー、ビジネスプロセス管理、リスク管理について統合して具体化したもの。
(3)組織はデータガバナンスを通じて、データスチュワードとデータ管理人がデータを処理する際に、プロセスと方法を正しく制御することを目指す。
より詳しい情報は、米国のData Management Association Internarional(DAMA)が発表したDMBOK(Data Management Body of Knowledge)に譲るとして、ここではデータガバナンスが非常に幅広い領域(もしくは社内のあらゆるデータ)を対象としていることをご理解ください。
実は、データガバナンスの立ち位置は毎年少しずつ変わっているようです。何年か前、私が初めて米国のMDM Summitに参加した当時、データガバナンスはMDMの構成要素に含まれていました。ところが最近は位置付けが逆転し、データガバナンスの構成要素にMDMを含むのが一般的になってきています。こうした経緯から、混乱を避ける意味もあって、MDMの領域では対象となるデータをマスターデータに絞った「マスターデータガバナンス」という考え方を提唱し、その範囲の中で概念整理を進めています。
では、そのマスターデータガバナンスとMDMの関係をどのように整理すればいいのでしょうか?インフォテリアでは米国の文献やカンファレンス資料などから、以下の5つの視点で自社のマスターデータ環境を評価すべきと考えています。

■認識とビジョン
なぜMDMに取り組むのかという認識とビジョンを社内で共有できているかという視点。具体的には、IT部門とユーザー部門がマスターデータに関する課題を共有しているか、会社の上層部も意識を共有しているか、など。
■データ品質管理
データ品質に対する重要性を社内で理解し、場当たり的ではない対策を実施しているかという視点。データ品質に対する課題を認識して、データ品質管理とデータ強化に対する方針およびプロセスが確立されているか。
■マスターデータ統合と配信
MDMの運用がシステムによって適切に実行されているかという視点。例えば、社内に散在するマスターデータに関して組織横断的な正(基準)マスターが整っている、マスターデータ要求に応じた業務系DBへの複製と配信がシステムで一元化してある、など。
■アーキテクチャ
マスターデータ管理システムを構築するうえで、あるべきマスターデータモデルやメタデータ、レコードに関するアーキテクチャを適切に定義しているかという視点
■セキュリティと運用管理
MDMを実践するうえでのセキュリティと運用管理に対する視点。マスターデータの保守におけるデータセキュリティポリシーが整理され、各担当者の機能と役割・責任がシステム化(設定・運用)されているかというもの。
MDMに取り組む際には、上記の各視点について、自社の現状を調査してみることをおすすめします。MDMプロジェクトを推進するうえで目指すべきゴールや、取り組むべき具体策が自然と明らかになってきやすいからです。
例えば、業務面で組織や管理プロセスの整備の必要性がクッキリと浮かび上がってくるかもしれません。一方で、IT面ではデータ品質を高めるためのクレンジング作業やマスターデータ管理基盤の整備といった作業の必要性が見えてくるかもしれません。
なお、先進数カ国では既にデータガバナンスが規制要求対象になり、金融サービス業などで当局へのデータガバナンス実施状況を証明する必要が発生しています。この流れは今後、他業種にも拡大することが予測され、いずれは内部統制のような形で日本国内に流入してくることも十分に考えられます。その日が来てから慌てるのではなく、まずは第一歩として、マスターデータガバナンスを手始めにデータガバナンスの取り組みをスタートしてみてはいかがでしょうか。
[執筆 : インフォテリア株式会社 エンタープライズ事業部 企画部 製品担当]
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