第2回はマスターデータ管理(MDM)が業務のインフラであること、そしてインフラとしてのMDMの整備が企業の発展に重要なことを解説しました。今回はMDMを業務としてきちんと運営していく(言い換えると、MDMという業務のインフラを運営していく)うえで欠かせない重要な視点について説明します。
MDMを運用するには、何が必要なのか。そのことは、企業の活動を支える基幹業務の実態をみれば、自ずと答えが見えてきます。
話をシンプルにするために敢えて粗く捉えると、企業には大きく4つの業務があると考えられます。販売、人事・給与、生産、財務会計の4つです。そして、これら4大業務にはそれぞれ営業部、人事部、生産部、経理部といった形で担当の組織が存在し、日々適切な運用がなされることで企業活動を支えています。
MDMについても同じことが言えると考えられます。適切に運用して企業の発展を支えていくのに、組織の存在が大きなウエイトを占めるはずです。
ところが、多くの企業では現在、マスターデータの登録や修正などMDM関連の作業は、各部門・システムが独自に行っており、全社横断的にルールなどを設定しているケースは稀です。大方の認識は「MDM=登録作業」といったところで、全社レベルでの運用ルールやセキュリティなどに関して触れられることはほとんどありません。
もちろんMDMの運用に組織の視点を持ち込む重要性は、これまでも議論され続けています。その一つのテーマが「データガバナンス」です。この言葉を一度は聞いたことがある、という読者も多いのではないでしょうか。日本では最近、クラウドコンピューティングの話題が花盛りですが、世界に目を転じてみると、データガバナンスへの注目度も引き続き根強いことに気がつきます。
平たく言うと、データガバナンスとは、品質や信頼性などの面からデータ資産を適切に管理するために企業が実施すべき統制活動のことです。MDMは、データガバナンスの構成要素として大きなトピックの1つになっています。そして、データガバナンスを徹底するうえで重要視されているのがデータを管理する組織と、その組織に所属する「Data Steward(データスチュワード)」の存在です。
データスチュワードとは、モデル管理やルール管理、意思決定権管理など多岐にわたる知識を有し、MDMプロジェクトの立ち上げから運用、見直しといったすべてのプロセスで責任を担う人物を指します。日がな一日、Web画面に向かってマスターデータを登録・修正しているという人ではありません。
このデータスチュワードにしても、「データを管理する組織」という考え方にしても、日本ではまだそれほど馴染みがなく、お目にかかることは少ないでしょう。最近でこそ、「マスターデータ管理部」なる専門の組織を設ける企業をチラホラと見かけるようになってきましたが、当社がMDMのビジネスを始めた2008年には、データを管理する組織を設置している企業は見当たりませんでした。
ところが当時から海外ではまったく様子が違います。社内の個々の組織に依存しない形で組織を設け、データスチュワードを配置しながらMDMを実践している事例は、珍しくありませんでした。それから約2年、MDMに積極的な企業の中には、数十人を超える規模でデータスチュワードを配置するところも出てきていると言われています。
読者の皆さんもマスター統合に着手する際は、是非とも組織に目を向けられることをお勧めします。
[執筆 : インフォテリア株式会社 エンタープライズ事業部 企画部 製品担当]
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