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コラム[中級編]:第1回「統合マスターの実態に迫る① 大きく2つの用法を整理しよう」

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前回までの連載ではマスターデータ管理(MDM)の基本的な考え方や動向など、全体像を紹介しました。見逃された方は、MDMの原理原則を整理する意味で、前回の連載を一度ご覧になってください。 MDMコラム入門編はこちら >>

さて、今日から新たにスタートする連載では、これまでより焦点を絞り込んでMDMの核心に迫っていきたいと思います。まずは第1回と次回の2回にわたり、MDMとは切っても切り離せないテーマである「統合マスター」についての解説をお届けします。

早速ですが、皆さんは統合マスターという言葉から何を連想されますか?恐らく、「すべての情報が網羅されている理想環境」「実現不可能な空想物」「構築に時間がかかりそう」など、色々なことを思い浮かべるのではないでしょうか。

ここでは、統合マスターの実態をできる限り明確にするために、以下の3つの切り口で体系立てて整理していきましょう。

① 統合マスターの用途
② 統合マスターで何を管理するのか
③ 統合マスターをどう管理するのか


① 統合マスターの用途


最初に統合マスターの用途について考えていきます。情報システムにおける統合マスターの“振る舞い”を把握するうえで、とても重要なパートです。統合マスターの用法と言っても良いかもしれません。

ご存知のように、企業内にはさまざまなシステムが存在し、マスターデータもシステムごとに分散しているケースがよくあります。こうした状況では通常、大きく2パターンでマスターデータを運用します。一つは、複数のマスターデータを統合マスターに集約するもの[図1]。もう一つは、統合マスターから複数のシステムにマスターデータを配信するものです[図2]。

複数のマスターデータを統合マスターに集約

統合マスターから複数のシステムにマスターデータを配信

各システムで運用しているマスターデータを統合マスターに集約するモデルは一般的に「解析型MDM」といわれ、統合したマスターデータを各種分析用途で利用します。実は数年前まで欧米でMDMといったら、大抵この解析型MDMのことを指していました。

解析型MDMに特に積極的に取り組んでいたのは金融や保険業です。顧客マスターデータをターゲットにマスターデータ統合を行いビジネスに活用していました。保険会社が顧客マスターを解析して、「自社の生命保険や入院保険に加入しているが、自動車や損害保険には未加入」の顧客を見つけ出すといった具合に、顧客の情報を360度の視点で確認して営業活動に結び付けるというのが典型的な使い方です。これはCDI(Customer Data Integration)と呼ばれる活用法で、MDMの1カテゴリとして位置付けられています。

解析型MDMの主な特徴は以下のとおりです。

a) 特定マスター(顧客、製品など)に最適化
b) 統合マスターは参照専用
c) 既存システムへの影響は軽微

次に、統合マスターから各システムにマスターデータを配信するモデルです。こちらは「マスターハブ型MDM」といわれ、特定システムだけでなく企業システム全体でマスターデータの最適化を図る目的で用いられます。マスターデータの運用時に、ERPやCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)、DWH(データウェアハウス)など各システム間でデータの不整合が生じるのを防げるというメリットがあります。

MDMで統合対象となるマスターデータは従来、顧客マスターが中心でした。ところが最近は製品マスターや従業員マスターなど、他カテゴリへと対象を広げつつあります。そうした中、欧米でのMDMのトレンドも解析型からマスターハブ型に変わりつつあります。

マスターハブ型MDMの主な特徴を整理すると以下のようになります。

a) 特定マスターでなく複数マスターに対応
b) 統合マスターを中心にデータ運用
c) 既存システムに応じた対応が可能

このように一口にMDMや統合マスターといっても、用途によって情報システムにおける“振る舞い”が違ってくるのですね。

マスターハブ型MDMは、欧米だけでなく国内でも今後の主流になると見られています。そこで次回以降はマスターハブ型MDMに軸足を置いて、「統合マスターで何を管理するのか」「統合マスターをどう管理するのか」という、いくらか実践的な切り口で統合マスターの解説を進めていきます。

[執筆 : インフォテリア株式会社 エンタープライズ事業部 企画部 製品担当]

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