キヨスクにPOSレジ導入
ASTERIAをデータ集配新サーバーに起用
JR西日本のキヨスクにおいて、高度なサービスの提供と省力化を推進するために、POSレジと後方業務システムの刷新が行われた。新システムはPOSレジのデータを定期的に本社の販売管理システムへ送り、様々なシステムと連携している。その中で、ASTERIAはシステムの中心に位置し、必要に応じてデータ変換を行いながらデータの集配信を行っている。開発にあたってはASTERIAの特長をうまく生かすことでごく短期間で構想を実現することができた。
キヨスクをPOSレジで情報化 「攻め」のキヨスクへの脱皮
情報システム室
主事
平井 栄一 氏
「キヨスクの仕事は記憶力です」と、株式会社ジェイアール西日本デイリーサービスネット 情報システム室の藤田和史氏は言う。通勤時間帯のキヨスクを見れば分かるように、販売員の手際の良さはまさに神業であり、瞬時に新聞や雑誌を売りさばいている。店舗にところせましと並べられた商品の数々、これらすべての価格を瞬時に判断し販売に結び付けることができる記憶力こそが熟練販売員の証である。しかし、このような熟練販売員に依存する形態には弊害も発生し始めていた。販売効率が良い一方、開店できる店舗数は熟練販売員の数により制限されてしまうからだ。
同社では、このような状況を打開するために2002年からPOSレジを主とする情報化に取り組む事となった。今、コンビニに代表される各種小売チェーンでは、POS端末などのITの導入とそれによるきめの細かな売上予測、販売管理が欠かせない。顧客のニーズをいち早く察知し、高い次元で均一なサービスを提供する仕組みなくしては変化の激しい小売業界で生き残る事は難しいからだ。
「JR西日本では、駅構内の小売店舗の代表格であるキヨスクの運営において、1998年ごろからPOSレジ導入の話が浮上し、いろいろと試験や検討を重ねてきました。2005年3月からPOSレジの導入を開始し、同年8月末には100店舗に導入が完了しました」と同社 情報システム室主事 平井栄一氏は話す。
また、POSレジ導入を契機にキヨスクの基幹システムも一部改修することとなった。新システムは主に店舗系と店舗管理者・本部系とを担う。店舗系にはPOSシステムと業務支援システムがあり、店舗管理者・本部系には就業管理システム、分析システム、発注傾向数量算出システムがある。これら店舗と店舗管理者・本部を網羅する新しいシステムの総称が攻めのキヨスクシステムKATS(Kiosk Aggressive Total System)である。
データ中継の要としてASTERIA 極めて短期間での開発を可能に
情報システム室
藤田 和史 氏
新システムKATSでは店舗のPOSレジから送られる販売データを収集分析し、気象情報などを考慮して発注傾向の数量を算出する。また、店舗管理者向けにデータ参照と帳票出力の機能を提供する。さらに、勤怠管理をシステム化して店舗の端末から勤怠情報を入力。参照可能とし、その情報はKATSの外にある本社の人事/給与システムへも送られるようにしたかった。このようにKATS内外には様々なシステムが存在するため、それらを有機的に連携するための仕組みが必要であった。
この要求にこたえるべく、データ中継の要として選択したのが、数多くのシステム連携の実績を持つ「ASTERIA」だった。ASTERIAを利用すれば、それぞれのシステムが出力するデータを接続先のシステムに合わせてデータを変換できる。普通の開発手段では、それぞれのシステムで接続相手に合わせてデータを調整し変換しなくてはならず、開発工数が増えてしまうが、ASTERIAがあればそんな手間は無用だ。「KATSではPOSサーバー、勤怠管理サーバー、KISS※サーバー、人事/給与システム、キヨスク基幹サーバー、分析サーバーなどが連携します。しかし、例えばホストとPOSレジの間の連携にしても両者は違う形式のデータを持っています。そこで短期間でこれらの連携を可能にするデータの集配信サーバーとしてASTERIAを採用したのです」と平井氏は説明する。
新システムKATSのシステム構築には、トータルで4ヶ月ほどの極めて短い時間しかなかった。この短納期を実現するには、ASTERIAが各システムのデータ形式の違いを吸収できることが大いに役立ったという。
さらに、ASTERIAではシステム間の接続やデータ変換処理をGUIベースの開発ツールであるASTERIAデザイナーで設定することができる。今回、SIを担当したTIS株式会社の開発担当者は「ASTERIAのデザイナーは操作画面が直感的で分かりやすく、すぐに使うことができました」と話している。ASTERIAが純国産のソフトウェアであることも短納期を実現することができた要因の一つだったという。多くの欧米産のソフトウェアでは、技術資料やサポートが英語となってしまうこともあるが、ASTERIAなら日本語のドキュメントを参照できる。
このようにASTERIAを巧く活用することで、4ヶ月のシステム構築のうち実装は実質的に1ヶ月ほどで完了することができた。「もしASTERIAがなかったら今回のような短期スケジュールで開発を遂行することは不可能だったと思います」と平井氏はASTERIAを評価している。

思わぬ効果を生んだ新システム 将来にわたるシステム連携が可能に
同社では、POSレジとKATSにより、駅のキヨスクにおいて販売業務の単純合理化と現金管理の厳正化を実現することができた。さらに、より詳細な販売データが把握できるようになり、意外なことが見えてきた。「これまでどの時間帯にどの商品が売れるかは十分に把握できていませんでした。新システムではPOSレジから5分おきに販売データが本部へ送られてきます。例えば『朝には売れないだろう』と思われていたお酒のつまみが朝でも多少は売れているなど、意外な発見もありました。まだキヨスクでは時間帯で商品の陳列を変えることはできませんが、購買データをさらに分析すればより有用なデータを得られるかもしれません」と藤田氏は話している。
現在、KATSでは、100以上の店舗の販売データを5分おきに本部に送信している。平井氏は「いま当たり前のようにASTERIAは稼働していますが、万が一ASTERIAが止まってしまうと甚大な影響が出てしまいます。今後は信頼性を確保するため、ASTERIAを多重化して運用する方策を検討しているところです。もうASTERIAはなくてはならない存在になりました」と話す。さらに、これまで半年ほどASTERIAを稼働するうち、何度か送受信するデータ項目のメンテナンスを行ってきたが、データ項目の変更作業はASTERIAデザイナーの画面で若干の変更を加えるだけでよいのだという。「ただデータを中継するだけではなく、データ変換もできる」(藤田氏)ASTERIAを選定したことが、システム全体の保守性の高さに繋がっていると言えるだろう。
最近ではJR西日本で利用できる非接触型ICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」が普及してきている。顧客がこうしたカードでキヨスクの品物を購入できるよう、店舗に処理機を導入することも将来的には必要となってくる。同社ではPOSレジの導入を2006年6月から200店舗追加拡大することを予定している。これも合わせて考えると、今回のPOSレジとKATSの導入はまさに当を得た判断だったと言えるだろう。TIS株式会社の天満耕三氏は「今回の基幹システム再構築によりデータ中継が一元化できました。今後のビジネス展開を見据えASTERIAを採用することによりビジネスの変化に素早く対応できるシステムが構築できたと思います。」と話している。
JR西日本のキヨスクは、「攻め」を支える新システムを構築したことで、顧客のニーズに適した商品・サービスの提供する小売サービスとして今後も確実に成長し続けることができるだろう。
※この内容は2006年8月時点のものです。