人手に頼る作業が“事件”を起こす
ITは普段、人手による作業の負担を軽減する便利なツールである。ところが、操る「人」がちょっと操作を誤った途端に、経営に鋭い牙を剥く。
少し前のことだが、株式市場を舞台にした“事件”が起きた。ある証券会社の担当者が「61万円で1株」で売り注文を出すところ、誤って「1円で61万株」というデータをシステムに入力。それを取り消すことができず、株式市場が大混乱に陥ったうえ、証券会社自身も買い戻しに伴い大きな損失を出した。その額、実に400億円以上。
損失がこれだけ拡大したのには、いくつかの要因が絡んでいる。ただ、その理由が何であれ、“事件”の引き金を引いたのは、たった一つの事実。人手による作業のミスだ。
業務の隅々まで情報システムが入り込んだ今、似たような“事件”を起こすリスクは、どの企業も抱えている。注文内容を受注管理システムに入力する。在庫管理システムを操作して、商品在庫を引き当てる。物流管理システムで配送指示書を作成する。このように人手が介在する部分には、「入力ミス」という落とし穴が、常に大きな口を開けている。
ところで、システムへの入力ミスは、単にITを操作する担当者の落ち度だけで発生するのだろうか。言い方を変えると、入力ミスが発生した場合、その担当者だけが責められるべきだろうか。少し注意しておけば把握できたはずの入力ミスの「罠」に気づかない。あるいは気づいていながら放置していた。もし、そうであれば、経営サイドの責任は決して小さくない。
もちろん、いくらシステムを使って業務を自動化しても、手作業をゼロにすることは実際にはできない。だが、受注管理システムと物流管理システムを連携させるなどして人手による作業を減らせば、少なくとも「入力ミス」が引き金となって大きなトラブルを招くリスクを1つずつ減らすことは可能だ。
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